坪菫(ツボスミレ) スミレ科

<白い小さな清楚な花は坪菫>

坪菫(ツボスミレ)は、宇奈月の山の木陰に生えるスミレ科の多年草で小型なのであまり目立たない花です。

 地下茎は短く、地上に根出葉と複数の茎をのばし、長さは5cmから20cmで低く、周りの草の陰になります。 葉は、丸く円心形で先が尖り、きれいなハート型になります。 花は地上茎の葉腋からでて、花柄は立ち上がり、葉より少し上に出て花をつけます。白色の花弁の上弁は反り返り下弁には基部に向けて深紫の筋が入ります。

小さな花を観察すると、思わぬ自然の造形美に驚かされます。

牡丹華(ぼたん はなさく)

<松尾敏男画伯の作品:牡丹>

4月30日から七十二侯は「牡丹華(ぼたん はなさく)」で二十四節気「穀雨」の末侯にあたり平成最後の日である。百花の王である牡丹が大輪の花を咲かせる頃という意味。牡丹は、俳句では夏の季語。春の終わりを惜しむように咲き、夏への橋渡しをしてくれる。宇奈月温泉は牡丹の開花にはまだ早い。

延楽は日本画壇の先生達がよく逗留された。日本美術院の堅山南風先生も常連で、そのお弟子さん達も含めた作品が残っている。とりわけ松尾敏男先生の「牡丹」は気品があり展示すると周りが華やかになる。現在ロビーに展示されている。

宇奈月では山から吹き下ろす朝風は肌寒く、雪が残った山肌と麓の新緑が目に優しいコントラストを作り出す。雪が消えた宇奈月の原野にはカタクリやキケマンの群生が現れ、春の陽光を浴びて一斉に花開く。時折、鶯の声が心地よく響く。

4月29日から黒部峡谷鉄道は欅平まで全線開通した。5月2日は、立春から数えて88日目の「夏も近づく八十八夜」である。夏がすぐそこまでやってきている。

大立坪菫(オオタチツボスミレ) スミレ科

<林縁にひっそりと咲く菫>

大立坪菫(オオタチツボスミレ)は、宇奈月の山の木陰や林内に生えるスミレ科の多年草です。

豪雪地帯に多く見られるスミレで、茎は地下茎から多数出て長さ20cmから40cmぐらいになります。 葉は、円心形で大きくて先が尖らないのでタチツボスミレと区別ができます。 花は地上茎の葉腋からでて長い柄があり淡紫色で可憐に開花します。

花が終わる初夏には小さな蕾のように見える閉鎖花を出し果実を作ります 。

深山片喰(ミヤマカタバミ) カタバミ科 

<宇奈月の樹林内で静かに開く深山片喰>

深山片喰(ミヤマカタバミ)は、宇奈月の山地の林内や林縁に群生するカタバミ科の多年草です。

地下茎は太く古い葉柄基部に包まれています。茎は分枝せずに長い花柄の先に白い花を1個つけ、花弁は5枚で、古くから家紋として使われています。陽が当たらないと花は開きません。

葉は、混生して長い葉柄があり3出掌状複葉で、小葉は広倒心形です。夜はしぼんでしまいます。

三葉躑躅(ミツバツツジ) ツツジ科

<黒部峡谷の断崖に咲く三葉躑躅>

三葉躑躅(ミツバツツジ)は、黒部峡谷の岩場や痩せた尾根に自生するツツジ科の落葉低木です。

4月から5月にかけて峡谷や山の岩場を美しく彩ります。 枝は車状に出て、枝先の混芽から2、3個の紅赤色の花を付け、葉より早く開きます。花冠は深く5裂し雄蕊は5個なのに対して一般の躑躅は10本なので見分けがつきやすいです。 花が終ると枝先に3枚の葉が輪生するところからこの名が付きました。

早朝ウォークで山彦鉄橋を渡りきると岩場の上部に見かけます。新緑の中に紅をさす色合いは春ならではの光景です。

黄花碇草(キバナイカリソウ) メギ科

<若葉が美しい黄花碇草>

黄花碇草(キバナイカリソウ)は、宇奈月の山の則面に自生するメギ科の多年草です。

茎の高さは40cmから60cmで、まばらに分岐します。根出葉は長柄があって複葉で、3枚つき2段階で分かれるので2回3出複葉と言います。4月に総状花序を出して淡黄色花を数個下向きに開きます。

花の色と形が船の錨に似ているのが名前の由来となっています。碇はかつて日本船に使われていた4本爪のいかりのことで、錨は2本爪のいかりのこです。

錨草は滋養強壮の漢方薬として利用されてきました。花が散ると、葉が急激に大き昔から滋養強壮の漢方薬として利用されてきました。花が終わると葉が大きく広がります。

角向附・乾山写色絵瓔珞紋

<地鱒の握り>

桜の花が咲き始めると、富山湾から地鱒(桜鱒)の遡上が始まります。遡上した桜鱒は、夏の間は黒部川の深い縁に潜み、紅葉が始まると支流で産卵します。

延楽「雅膳」の一皿は、地鱒の握りです。
季節の器は角向附・乾山写色絵瓔珞紋です。

霜止出苗(しもやみて なえいずる)

<詩の道遊歩道を彩る花桃>

4月25日から七十二侯は「霜止出苗(しもやみて なえいずる)」で二十四気「穀雨」の次侯にあたる。朝晩の厳しい冷え込みは緩み、霜が降りなくなる頃という意味。

この侯を迎えると農家では田植えの準備に取りかかり、田に水を張る。満面の水面には、雪を纏った黒部の山々と新緑の里山が美しく映り込む。山居村の屋敷はまるで浮城のように見える。

宇奈月の詩のみち遊歩道の花桃が見ごろを迎えた。赤や白やピンクの花が遊歩道を彩る。延楽の館主が案内する早朝ウォークのコースでもある。遠くに臨む新山彦鉄橋にトロッコ電車が通ると、その走行音が峡谷に響く。ひんやりとした峡谷の風を感じながら出かける早朝の1時間。萌葱色の山の色合いに心が癒される。

丁字桜(チョウジザクラ) バラ科

<花の数が少ない桜>

丁字桜は、宇奈月の山地や谷筋に生えるバラ科の落葉小高木で、変種も多くあり日当たりの良いところを好みます。

葉は、倒卵形で先が細長くなり、縁には深い重鋸歯があり表裏両面に毛があります。花は葉とともに出て、一芽から1個または2個の花を下げます。平開した白い花弁と細長い顎筒との形が丁字に見えるのが名前の由来です。




羽団扇楓(ハウチワカエデ) カエデ科

<花が最も美しい楓は葉団扇楓>

羽団扇楓(ハウチワカエテ)は、宇奈月の山地に生えるカエデ科の落葉高木です。

葉は大型で祖鋸歯があり7裂し天狗の団扇に似た形をしていて、名前の由来となっています。花は、一つの株に単性花と両性花が混ざり合っている雌雄雑居性で、葉よりわずかに早く開きます。若枝の先に紫紅色の散房状花序を下げ、柔らかな萌黄色の新葉とのコントラストが美しく映えます。実は翼果となり回転しながら落下します。花、若葉、紅葉とも美しいので「名月楓」とも呼ばれています。

黒部の山々には多くの種類の楓が見られます。 楓とは似ても似つかぬ葉の一葉楓、薄緑の花の板屋楓、樹が緑色の瓜肌楓、小型の小羽団扇楓、葉の切れ込みの深い、いろは紅葉、少し切れ込みの浅い山紅葉、葉が大きくて切れ込みの浅い大紅葉、等等まだまだあります。秋には深紅や黄色に色づき黒部峡谷の紅葉の美しさを造り出しています。