鱖魚群(さけのうお  むらがる)

<黒部川支流で産卵するサクラマス・婚姻色が美しい>

12月17日から七十二侯は「鱖魚群(さけのうお むらがる)」で、二十四節気「大雪」の末侯にあたる。鮭の群が、産卵のため自分の生まれた川に遡上する頃という意味。宇奈月温泉を流れる黒部川の鮭の遡上は11月で終わる。

黒部川の河口から宇奈月温泉までの間に、サケが遡上するために越えなければならない堰堤がある。それは愛本堰堤である。愛本周辺は黒部川扇状地の扇頂部で、江戸時代に刎橋が懸けられたところである。黒部川下流域の最も狭い地点である。

現在の愛本堰堤は、昭和44年に流されて同48年に築造された。ここに魚道が設けられている。黒部川は急流河川で流出土砂も多い。その土砂で魚道が度々埋まり、今年も機能しなかった。故に鮭は宇奈月温泉の周辺で見ることができなかった。

ところが桜鱒は、年々数が減少しているものの、支流で確認できる。桜鱒は鱒ずしの鱒である。桜鱒は春に遡上する。春の黒部川は、雪解けで水が増水し、急流となって川幅一杯に堰堤を乗り越えて流れるので、桜鱒は遡上が可能になる。そして夏の期間は、深い淵に潜んでいる。

今年は、山の稜線が色づく10月中旬から11月初旬にかけて支流で産卵のために遡上した婚姻色が美しいサクラマスを見ることができた。この時期の黒部川は透明度が増して、水量が少ないので容易に発見できる。今年は数が多く、カワガラスが鳴き始めると産卵が始まる。

孵化した稚魚は、降海型と河川残留型に分かれ、降海型は3年かけて桜鱒となって黒部川に戻ってくる。河川残留型は山女魚となる。黒部川ではその稚魚を守るため2月の末まで禁漁となる。