深山黄華鬘(ミヤマキケマン) ケシ科

<林道沿いに咲く深山黄華鬘>

深山黄華鬘(ミヤマキケマン)は、宇奈月の山の林縁や林道沿いに一般的に見られるケシ科の越年草で、アルカロイド類を含む有毒植物です。

茎は株から叢生し、全体無毛で多汁質です。葉は柔らかく2回羽状に細裂します。花は長さ4cmから10cm程の総状花序にやや密につきます。黄色の花は、横に長い筒形で先が唇状に少し開き、一方向を向き横向きに咲きます。 果実は線形で数珠状にくびれます。

華鬘とは仏殿の内陣を飾る荘厳具です。それを飾るため金箔で装飾された花々が吊るされています。その様相から命名されています。

赤紫の紫華鬘(ムラサキケマン)は、時期を遅らせて咲き始めます 。

雷乃発生(かみなりすなわちこえをはっす)

<雪解けの原野に咲く菊咲一華>

3月30日から七十二侯は「雷乃発生(かみなりすなわちこえをはっす)」で、二十四節気「春分」の末侯にあたる。不安定な春の空に雷が鳴り始める頃と言う意味。春の雷は、恵みの雨を呼ぶ兆しとして人々が待ち望んだ。

宇奈月温泉街は、コロナウイルスの影響で静寂さそのもの。朝の露天風呂から、薄っすらと雪化粧をした稜線を望むことができる。落葉樹は銀色に輝き思わぬ造形美を作り出してくれる。日中の陽光ですぐ融けてしまう儚き情景であるが、朝風呂に浸かりながらの山々の対峙は、至福のひと時である。

宇奈月温泉街を滝のように流れるのは宇奈月谷である。この谷の流れを作る雪融け水は、これから日一日と勢いを増してくる。雪が消えた谷沿いの落葉樹の中に分け入ると、可憐な水色の花が咲き誇る。キクザキイチゲ(菊咲一華)である。雪融けの大地に一番早く開花させる花でもある。

岩団扇(イワウチワ) イワウメ科

<雪が解けた岩場に咲く岩団扇>


岩団扇(イワウチワ)は、宇奈月の深山の岩場や落葉樹林下のやや湿ったところで見られるイワウメ科の多年草です。

雪が解ける頃、葉脈から花茎が伸びて一輪の薄紅色の花をつけます。葉は円形で端は小さな鋸状で、基部が深くはハート型となっています。春山登山で岩場の上部から岩団扇の花が回転しながら落下するのを目にすることがあります。

和名は、岩場に生え葉は革質で厚く光沢があり、形が団扇に似ていることによります。宇奈月温泉では町の花として親しまれ、宇奈月音頭や宇奈月小唄にも歌われています。



ホタルイカ釜揚げ

<熱々の内臓が旨い>

富山湾の春の風物詩であるホタルイカは、優美な流線型で透き通った薄茶色の可憐な姿をしています。漁は、底引網漁と違って資源に優しい定置網漁業で水揚げされます。網を上げるときに一斉に青白く光るところが名前の所以です。

お造り、酢味噌和え、天婦羅、多彩な料理法がありますが、特にお薦めなのが釜揚げす。アツアツの脂ののったオレンジ色の内臓が格別です。富山の地酒が一段と味を引き立ててくれます。

桜始開(さくらはじめてひらく)

<桜、桜、桜の室礼>

3月25日から七十二侯は「桜始開(さくらはじめてひらく)」で、二十四節気「春分」の次侯にあたる。宇奈月温泉周辺は、未だ風が肌寒く桜は蕾堅し。4月10日前後の開花予定である。延楽ロビーは桜一色の室礼で、ギャラリーの日本画展示作品も桜の題材である。

松岡映丘の「東海の図」では、彼方の海原に朝日が昇り、春霞棚引く山々と手前に松と桜の大樹を配し、波の穏やかな漁村風景を題材にした作品である。児玉希望の「芳埜」は、吉野の山々の桜を気品ある色合いで優雅に描いた大作である。その他、松岡映丘の指導を受けた山口蓬春の「山佐久良」、杉山寧の「春靄」も春の香り漂わせてくれる。いよいよ春霞と、遠山桜の取り合わせが美しく映える季節となる。

鼠志野草紋高台皿

<厚い胎土で大ぶりな器>

早春の山菜の苦みは、揚げることによって和らぎます。タラの芽は甘みが出てきます。天ぷらで春の香りを味わいます。

季節の器は、「鼠志野草紋高台皿」です。土の柔らかさと優しさが感じられる、厚みのある高台皿です。掻き落とした箇所が白く残っています。

志野は桃山時代に美濃で焼かれた長石釉を掛けた焼き物です。茶陶としての志野は、技法によって無地志野、絵志野、紅志野、赤志野、鼠志野、練り上志野に分類されます。

色絵綾文皿

<蛍烏賊と白海老>

宇奈月温泉の早春の調べは、蛍烏賊と白海老によって運ばれます。どちらも今が旬、生姜醤油であっさりとお召し上り下さい。黒部の山では山菜の芽吹きが始まります。

季節の器は、「色絵綾文皿」です。春は爽やかな萌黄色です。須田菁華の作品です。現在は四代目です。

菊咲一華(キクザキイチゲ) キンポウゲ科

<赤みがかった葉で、白花の菊咲一華>

宇奈月の原野の雪が融け始めると、すぐ開花するのは菊咲一華(キクザキイチゲ)で、キンポウゲ科の多年草です。今年は暖冬で、例年より開花時期が早いようです。菊に似た花を一輪つけることからこの名前が付きました。

宇奈月では白や淡紫色の花が多く、まれに淡紅色も見られます。暖かくなると花が開き、夜や雨の時は気温が下がるので花を閉じます。

上部に三枚の苞葉が輪生し、深く切れ込んだ葉はキンポウゲ科の特徴が出ています。多雪地の山地で普通に見られる可憐な花です。落葉樹林内でもよく見かけます。

乾山写桜絵向付

<桜鯛の炊合せ>

3月25日から七十二侯は、桜始開(さくらはじめてひらく)です。巷では、桜の開花が話題になり、桜餅が菓子舗の店先に並ぶ頃でもあります。

富山湾ではホタルイカ、サヨリ、アイナメ等が旬を迎えます。なかでも桜の季節は何といっても、桜鯛が美味しくなります。雅膳の一皿は、桜鯛の炊合せです。添える新牛蒡も春の香です。

季節の器は、「乾山写桜絵向付」です。うつわの中は桜が満開です。

雀始巣(すずめはじめてすくう)

<延楽・庭の枝垂れ梅>

3月20日から二十四節気は春分。太陽が真東から昇り真西に沈み、太陽が春分点を通る日で、昼と夜の長さが同じになることから二十四節気では大きな節目の日とされる。七十二侯は「雀始巣(すずめはじめてすくう)」で二十四節気「春分」の初侯でもある。雀が巣作りを始める頃という意味。この日を境に日脚が少しずつ長くなる。延楽の庭の枝垂れ梅が開花し始める。これからは春の光によって自然の表情が豊かさを増す頃だ。

21日、北陸新幹線富山駅高架下で、駅の南北を走る路面電車の軌道をつなぐ「路面電車南北接続事業」が完成し、100年の夢が実現する。この接続に伴い、富山駅の南側を走る富山地方鉄道の軌道と、駅の北側を走る富山ライトレールの軌道がつながり、約15キロのLRT(次世代型路面電車)ネットワークが構築される。