鴻雁来(こうがんきたる)

<黒部川の支流・弥太蔵谷>

10月8日から二十四節気は「寒露」となる。夜空に輝く星が冴える頃、秋が徐々に深まり、夜は肌寒く朝夕の露が一層冷たく感じられるようになる。

七十二侯は「鴻雁来(こうがんきたる)」で、雁が北から渡ってくる頃という意味。これに対して半年前の七十二侯には「鴻雁北(こうがんかえる)」がある。雁が北に帰る頃で今年は4月10日だった。七十二侯は季節の変わり目を、気象変化や動植物の行動変化で捉え、漢字3文字ないし4文字で表した日本人の豊かな感性が育んだ暦である。

黒部の川は、流れる水の透明度を増しながらサケの遡上を待っている。川沿いに設けられたやまびこ遊歩道の足元には、冷たい露に覆われた野菊が咲き誇っている。紫式部の小さな実も紫色に染め始める頃である。黒部川の支流である弥太蔵谷は、サクラマスの到来を待っている。白鷺の姿を見るとそれも間近だ。いよいよ山装う季節の到来である。

胡麻菜(ゴマナ) キク科

<葉が胡麻の葉と似ている>

胡麻菜(ゴマナ)は、宇奈月の山地の道端や林縁などに生えるキク科の多年草です。

葉は、両面に短毛のある長楕円形で互生し裏面には腺点があります。 9~10月にかけ茎頂に小さな白い頭花を散房状に密に付けます。 茎の高さは1.5mにも達する野菊なのでよく目立ちます。

和名は、葉の形が胡麻の葉に似ていることに由来します。 若菜は香りが楽しめ、おひたしや天婦羅として食すことができます。沢山の花をつけた胡麻菜が咲き並ぶ山路は、秋の風物詩となります。

染付雲鶴吉祥文様平皿

<のど黒・若狭焼>

二十四節気「甘露」に入ると、富山湾の「のど黒」は脂がのります。のど黒は、アカムツのことで地元では魚神(ギョシン)と呼び、魚の神と書きます。その上質の脂は、お造り、焼き物、煮物の旨みを引き立たせます。

のど黒の焼物は、酒、味醂、醤油を合わせた若狭地をかけながら、丁寧に焼き上げます。「のど黒会席」の一皿です。その他のお勧めは、のど黒のシャブシャブです。脂ののった切り身をサーットお湯にくぐらせ、ポン酢又は特別な出汁でいただきます。まさに魚の神の所以です。

季節の器は、「平皿・染付雲鶴吉祥文様」で染付の美しい器です。貴賓ある染付は永楽妙全の作品です。