大立坪菫(オオタチツボスミレ) スミレ科

<林縁にひっそりと咲く菫>

大立坪菫(オオタチツボスミレ)は、宇奈月の山の木陰や林内に生えるスミレ科の多年草です。

豪雪地帯に多く見られるスミレで、茎は地下茎から多数出て長さ20cmから40cmぐらいになります。 葉は、円心形で大きくて先が尖らないのでタチツボスミレと区別ができます。 花は地上茎の葉腋からでて長い柄があり淡紫色で可憐に開花します。

花が終わる初夏には小さな蕾のように見える閉鎖花を出し果実を作ります 。

色絵牡丹絵七寸皿

<氷見牛炙り>

四月の終わりから五月の初めにかけて二十四節気は「穀雨」となります。百穀を潤し育てる春の雨が降る節気です。七十二候は「牡丹華」となり、大輪の牡丹の花が咲く頃です。雅膳の一皿は、氷見牛の炙りです。

季節の器は、「色絵牡丹絵七寸皿」で、色彩豊かな器です。紅白の牡丹に縁取りは金彩が使われているのでより華やかになります。

牡丹華(ぼたんはなさく)

<牡丹:松尾敏男>

4月30日から七十二侯は「牡丹華(ぼたんはなさく)」で二十四節気「穀雨」の末侯になります。百花の王である牡丹が大輪の花を咲かせる頃という意味。牡丹は、俳句では夏の季語で、春の終わりを惜しむように咲き、夏への橋渡しをしてくれます。宇奈月温泉は牡丹の開花にはまだ少し早いようです。

延楽には日本画壇の先生達がよく逗留されなした。日本美術院の堅山南風先生も常連で、そのお弟子さん達も含めた作品が残っています。とりわけ松尾敏男画伯の「牡丹」は気品があり展示すると周りが華やかになります。現在、ロビーに展示されています。

宇奈月では山から吹き下ろす朝風は肌寒く、雪が残った山肌と麓の新緑が目に優しいコントラストを作り出します。雪が消えた宇奈月の原野にはカタクリやキケマンの群生が現れ、春の陽光を浴びて一斉に花開しています。時折、鶯の鳴き声が心地よく響きます。5月2日は、立春から数えて88日目で「夏も近づく八十八夜」となります。夏がすぐそこまでやってきています。

三葉躑躅(ミツバツツジ) ツツジ科

<黒部峡谷の断崖に咲く三葉躑躅>

三葉躑躅(ミツバツツジ)は、黒部峡谷の岩場や痩せた尾根に自生するツツジ科の落葉低木です。

4月から5月にかけて峡谷や山の岩場を美しく彩ります。 枝は車状に出て、枝先の混芽から2、3個の紅赤色の花を付け、葉は後にでます。花冠は、深く5裂し雄蕊は5個なのに対して、一般の躑躅は10本なので見分けがつきやすいです。 花が終ると枝先に3枚の葉が輪生するところからこの名が付きました。

早朝ウォークのコースの中で、山彦鉄橋を渡りきると岩場の上部で花を見かけます。新緑の中に紅をさす色合いは、春ならではの光景です。

高麗色絵八ツ橋蓋向

<のどぐろと春野菜の炊合>

富山湾の生地沖で獲れる、のど黒は大きくて脂がのっているので人気があります。 刺し網で丁寧に水揚げするので味は格別です。のど黒と春野菜の焚合せは 「延楽・のど黒会席」の一品です。

盛りつける季節の器は「高麗色絵八つ橋蓋向」です。菖蒲が金彩の縁取りで、華麗に描かれています。明治初期にアメリカ人のフェノロサーやビゲロー等を魅了してやまなかった京焼です。

木通(アケビ) アケビ科

<新緑の若葉と薄紫の花が美しい>

木通(アケビ)は、宇奈月の山中で見られるアケビ科の落葉性木本です。 アケビのように地上部が多年にわたって繰り返し開花、結実し、茎が木化し肥大成長した物を木本(もくほん)といいます。これに対して地上の茎の木部があまり発達せず、1年から数年で枯れる植物を草本(そうほん)と言います。

蔓は左巻きに他の木に絡み成長します。 花は短枝から総状花序を下垂し淡紫色の小花を開かせます。 葉は5個の掌状複葉で、まれに7葉のアケビも見られます。 3葉の物は三葉木通で、紫褐色の花はお茶花として好まれています。

渕赤七宝紋皿

<山菜とホタルイカの天婦羅>

宇奈月の野山は、山菜取りの季節になりました。残雪が融けだすとワラビやウド、コゴミゼンマイ、タラノメ、ススタケ、ウルイなどが現れます。山菜の苦みは、油で揚げることによって食べやすくなります。ホタルイカのワタは油で揚げると格別のうまみが出ます。春の香りを天婦羅でお楽しみください。

季節の器は、「渕赤七宝紋皿」です。白磁に赤の彩色が映えます。

一人静(ヒトリシズカ) センリョウ科

<樹林内でひっそりと咲く一人静>

一人静(ヒトリシズカ)は、宇奈月の山林内に生えるセンリョウ科の多年草です。根茎から地上に出る茎は直立し、その先に1本の穂状花序を出します。小さな白い花糸からなる姿が名前の由来です。

頂部の 輪生しているかのように見える4個の葉は、対生する2組の葉からなり、縁には鋸歯があり光沢があります。 穂状花序が2本の二人静(フタリシズカ)はこれから咲き始めます 。

霜止出苗(しもやみてなえいずる)

<雪を纏った後立山連峰>

4月25日から七十二侯は「霜止出苗(しもやみてなえいずる)」で、二十四気「穀雨」の次侯となります。朝晩の厳しい冷え込みは緩み、霜が降りなくなる頃という意味です。農家では田植えの準備に取りかかり、田圃に水を張ります。満面の水面には、雪を纏った後立山連峰(白馬連山)の山々と新緑の里山が美しく映り込み、山居村の屋敷は浮城のように見えます。名水の里、黒部川扇状地の風景が最も煌く頃となります。

黒部川扇状地は、愛本橋付近を扇頂として扇角約60度で富山湾に至る日本で一番美しい扇形の平野です。扇頂から河口まで約13km、面積は96k㎡で、氾濫の積み重ねによって形成されました。黒部川は、かつては扇状地で複雑な流路を作り、その網目状のような川の流れから黒部四十八ケ瀬あるいはイロハ川とも呼ばれていました。昭和12年に国が黒部川の改修計画を直轄事業としてから順次整備が進み、今では大型の堅固な堤防によって川幅の広い河道になりました。上空から見ると、その中を黒部川が蛇行を繰り返しながら富山湾にそそいでいるのがよくわかります。下流域では湧水箇所が多く、黒部川扇状地湧水群と呼ばれていて人々に様々な恩恵を与えています。

乾山写色絵瓔珞紋角向付

<地鱒の握り>

桜の花が咲き始めると、富山湾から地鱒(桜鱒)の遡上が始まります。地元では桜鱒を地鱒と言って大事に取り扱っています。地鱒は、黒部川を遡上すると夏の期間は渓流の深い淵に潜み、紅葉が始まると支流で産卵します。

延楽・雅膳の一皿は、地鱒の握りです。 季節の器は「乾山写色絵瓔珞紋角向付」です。