禾乃登(こくのものすなわちみのる)

<芸術家たちを魅了した宇奈月の湯>
<露天風呂付き客室705号室>

9月2日から七十二侯は「禾乃登(こくのもの すなわちみのる)」で二十四節気の「処暑」の末侯となります。禾の文字は、植物の穂の形からできており、豊かな実りを象徴しています。

立春から数えて210日目の8月31日又は9月1日は全国的に風の厄日とされ、台風到来の時節でもあります。9月1日は関東大震災が起きた日で防災の日でもあります。田圃では稲穂が膨らんで黄金色になる収穫の頃なので、9月1日~3日に風神鎮魂を願う踊り「おわら風の盆」が、富山市八尾で行われてきました。舞台となる八尾は、井田川と別荘川が作り出した河岸段丘に拓かれた坂の町です。三味と胡弓が奏でる叙情性あるおわらの旋律は、訪れる人々を魅了します。残念ながら、今年も昨年に引き続きコロナ禍で中止となりました。

新作おわらの代表作は、小杉放庵が詠んだ「八尾四季」で、 八尾の春夏秋冬を詠んだ4首で構成されています。

ゆらぐつり橋手に手をとりて
 渡る井田川 オワラ 春の風
富山あたりかあの灯火は
 飛んでゆきたや オワラ 灯とり虫
八尾坂道わかれてくれば
 露か時雨か オワラ はらはらと
若しや来るかと窓押しあけて
 見れば立山 オワラ 雪ばかり

小杉放庵は、1881(明治44)年に日光市で生まれ、父は国学者で神官あり日光町長も務めていました。放菴先生は小杉未醒の時代、東京大学安田講堂の壁画を手掛けたことでも有名です。八尾四季は、昭和3年に八尾の開業医、川崎順二に招かれ新しい歌詞を依頼されて詠んだ歌です。放庵先生は新潟県赤倉に疎開され、そのまま居を構えられました。その行き帰りに延楽に逗留され、黒部の作品を創作されました。時には親友の中川一政先生とご一緒の時もありました。その芸術家たちを魅了したのは宇奈月のお湯でした。今でも巨匠の足跡は多く残されています。 当時の織部釉のタイルの浴槽を再現したのが705号室の緑釉の浴槽です。今年の7月末に完成しました。湯ぶねからは、お二人ゆかりの琴音の滝がご覧いただけます。

男郎花(オトコエシ) オミナエシ科

<秋の風情を醸し出す花>

男郎花(オトコエシ)は、宇奈月の山野に自生するオミナエシ科の多年草です。早いもので7月初旬から咲きはじめ、10月中旬頃まで見ることができます。

株元から匍匐枝(ホフクシ)を出して増えます。茎は太く直立し、葉は対生し羽状に深裂して、頂部の葉が最も大きくなります。茎頂近くの節から枝を対生に分岐します。上部が平たい散房花序になり、白い5裂の小さな花冠を多くつけます。その形から白粟花とも呼ばれています。

宗全籠に糸ススキ、金水引、河原撫子などを取り合わせると、秋の風情が楽しめます。