蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)

<客室露天風呂の源泉吐水口>

9月28日から七十二侯は「蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)」で二十四節気「秋分」の次侯となります。集く虫たちが土の中にもぐり始める頃という意味で、虫たちの冬支度です。秋分の日を境に日一日と陽は弱く、昼が短くなります。

半年前の七十二侯に「蟄虫啓戸(すごもりのむしとをひらく)」とあります。冬眠していた生き物が春の日差しの元に出てくる頃という意味です。蟄虫(ちっちゅう)とは地中にこもって越冬する虫のことです。半年後には虫たちが再び越冬準備をする、季節は確実に廻ります。

宇奈月の朝晩は、黒部の川風で幾分か肌寒さを感じるようになりました。こんな時は、宿に早めに入り、部屋付きの露天風呂で日頃の疲れをいやすのが一番です。黒部川の渕にも似た玉露色の陶器の浴槽は、峡谷の木々の色合いにしっかりと融け込んでいます。源泉がほとばしる信楽焼の緑釉の吐水口は、黒部の自然の中ではえる陶芸家渾身の芸術作品です。

花蓼(ハナタデ) タデ科

<草叢で可憐に咲く>

花蓼(ハナタデ)は、宇奈月の山野の林内や、林道沿いに多く見られるタデ科の一年草です。

タデ科の中では、桜蓼(サクラタデ)と共に花が最も可憐で、美しい野草です。 茎の下部は地を這い、分岐が旺盛で草叢を作ります。

葉は互生し、長卵形で先は細くなり尾状に尖っています。花序は細長く伸び、淡紅色の小さな花をつけます。

普段見慣れている風景の中にも、自然の魅力が多く隠されています。