白磁雪輪形四五皿

<雪の結晶をデザイン化>

雪が雨に変わり、雪や氷が溶けて水となる二十四節気の雨水。この雨水の期間に、晴れた寒い朝に山から吹きおろす冷たい風に乗って、風花が舞うのが見られます。純白の花ようです。雅膳の先付は、風花の器を使います。

季節の器は「白磁雪輪形四五皿」です。雪輪文は雪の結晶を文様化したもので、輪花状の円に六方の小さな切れ込みが入ったものが基本となります。この器は、向付の輪郭をシンプルな雪輪形にしたもので、皿などにも見られます。もっと複雑な形をした雪輪も見られます。

飴釉俵形向付

<はちめの煮付け>

鉢目は、富山湾の水深100m~150mの岩礁地帯に生息しています。成長するにつれ深所に移動します。くせのない白身で身のしまりがいいので、煮付けが美味しいです。

季節の器は、「飴釉俵形向付」です。飴釉が美しい味わい深い陶器です。

飴釉とは、鉄釉の一種で酸化焼成によって飴色に呈色したものをいいます。鉄釉は、含まれる鉄分の量で発色に違いが出てきます。鉄分の多い順に、焼き上がりが赤黒いものを鉄砂釉、赤褐色のものを柿釉、黒色のものを黒釉、黄色を帯びた黒褐色のものを飴釉として分類します。

染付祥瑞輪花向付

<針木輪花>

雅膳の一皿は、津合蟹の蟹味噌です。強い甘みの身抜きと濃厚な蟹味噌を味わってください。冬の蟹味噌は格別です。津合蟹漁は3月20日まで行われます。

季節の器は「染付祥瑞輪花向付」です。染付の色合いが見事な三浦竹泉の作品です。

輪花とは器の口縁に規則的に入れた切込みが花弁を連想させる装飾のことで、とくに東アジアの陶磁器において多く見られます。日本では1630~1640年代、茶人の趣味を反映して不規則な輪花装飾が考案され、中国景徳鎮に注文されました。特に祥瑞、色絵祥瑞にその遺品が多く伝わっています。

色絵椿絵向付

<春を告げる魚:眼張(メバル)の煮付け>

二十四節気の雨水を迎えると、春告げ魚である眼張(メバル)がおいしくなります。富山県内では、目が大きくて鉢のようなので、鉢目(ハチメ)と呼んでいますが、正式名称はウスメバル。県内では他にヤナギバチメ、アオヤギなどと呼んでいます。脂肪が少なく淡白なくせのない白身なので煮付けが美味しいです。

季節の器は、「色絵椿絵向付」です。椿は、お茶花として初冬が18種、早春が29種あります。いずれも趣があります。

霞始靆(かすみはじめてたなびく)

<雪を纏った後立山連峰(白馬連山)>

2月24日から七十二侯は、「霞始靆(かすみはじめてたなびく)」で、二十四節気「雨水」の次侯となります。靆(たなびく)とは、霞や雲が薄く層をなして横引きに漂うことです。雨水や雪融け水によって湿った大地に、日が差すことによって水蒸気が起こり、霞が棚引くようになります。春霞で野山がぼんやりとかすんで見える頃となります。

霞は気象用語で靄(もや)のことで、春の女神の衣に見立てられます。霞とは春に出る霧の事で、霧はそれぞれ情景により朝霧、夕霧、薄霧、八重霧などと美しく表現されます。朧月夜に詠われる夜の霧は、朧(おぼろ)として使い分けられます。

春霞は、偏西風に乗って大陸から飛来する黄砂によるもので、万葉集にも詠われています。これから多く見られる現象です。これからは雪を纏った黒部の山々が、霧や靄で美しく豊かな景色を見せてくれ日が多くなります。北陸新幹線、かがやき、はくたかが親不知のトンネルを抜け富山県に入ると車窓から北アルプスの大パノラマの絶景がご覧いただけます。黒部川を育む名座です。

檀香梅(ダンコウバイ) クスノキ科

<落葉樹の冬の姿>

落葉樹の冬の姿は、厳寒の環境に耐えている時の姿です。冬を迎える時、一斉に葉を落とし、来るべき春に備えて瑞々しい生命の息吹を宿しています。

その象徴が冬芽です。樹木の種類により特徴が出ています。冬芽には様々な名称がつけられています。枝の先端に付いている芽は頂芽で、枝の横から出る芽が側芽です。更には葉や枝になる芽が葉芽、花の咲く芽が花芽です。冬芽の形や付き方で樹木がわかります。

檀香梅の冬芽は、魚の鱗のような芽鱗に特徴が出ています。落葉樹の中で逸早く花を咲かせます。黄色の小さな花を枝に無数に付けます。葉や枝に芳香があるので白檀(ビャクダン)の漢名の檀香が付けられています。

染付波斯模様高台皿

<大根おろしと山葵・地元醸造醤油で>

二十四節気の「雨水」に入ると雪から植物の芽吹きを助ける雨に変わるのですが、時たま冬型の気圧配置に逆戻りすることがあります。一時的に大雪をもたらすことは季節の変わり目のシグナルです。

富山湾では、大物の寒鰤が定置網に入ってきます。地元では寒鰤の造りは厚めに引きますが、脂が乘っている部位は少し薄めに引いて大根おろしを添えると、格別の味わいとなります。合わせる地酒は、千代鶴酒造の「恵田」がおお勧めです。

季節の器は「染付波斯模様高台皿」です。波斯はペルシアのことで、染付で波斯模様の器は、和食の器の取り合わせに緊張感を与えてくれます。高台の皿は、寒鰤の中でも一番おいしい部位を盛るのに相応しい器です。

仁清色絵桃花絵六寸皿

<上巳の節句が近づく>

雪が雨に変わる頃、二十四節気は「雨水」に入ります。宇奈月温泉は夜半の雪でまだ寒さが残りますが、富山湾の魚たちは春の便りを届けてくれます。延楽・雅膳、早春のお造りは、 赤烏賊、細魚、真鯛、鮪です。

季節の器は、「仁清色絵桃花絵六寸皿」です。もうすぐ上巳の節句です。

志野隅入角皿

<氷見牛と若竹・石焼き>

氷見牛は、さしの入り具合と脂の質が良いので好まれます。高温に熱した石で焼きます。取り合わせは、筍が合います。

季節の器は、「志野隅入角皿」です。志野焼は志野釉(長石釉)と呼ばれる長石を砕いて精製した白釉を厚めにかけ焼かれます。通常、釉肌には肌理(きめ)の細かい貫入や柚肌、また小さな孔が多くあり、釉のかかりの少ない釉際や口縁には、緋色の火色と呼ばれる赤みのある景色が生まれます。

土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)

<吹雪の後の黒部川>

2月19日から二十四節気は「雨水」に入ります。空から降る冷たい雪が雨に変わり、野山の雪がゆっくりと融け始めます。この頃の雨は「木の芽起こし」といって、植物の芽吹きを助ける大切な雨となります。この時期に吹く強い南風が春一番です。

七十二侯は、「土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)」で、二十四節気「雨水」の初侯になります。凍てついた大地が潤いをとり戻す頃で、昔から農耕の準備を始める目安とされていました。

今年は例年になく冬型の気圧配置が強まり、富山県内は今日まで大雪となり、しばらく冬に逆戻りです。たびたび二十四節気「雨水」の初候のおきる気象現象です。一時、強風も伴って吹雪となり猛スピードで雪が横に飛ばされています。この風も長続きはせずに、天気は徐々に回復してきます。これからは日一日と日足も長くなり、三寒四温を繰り返しながら季節は春に向かいます。