姫青木(ヒメアオキ) ガリア科

<秋には赤く熟した実をつける>

姫青木(ヒメアオキ)は、宇奈月の山地の雑木林内に自生する、ガリア科の常緑低木です。青木の日本海側多雪地帯の変種で、一回り小さいです。

高さは、1mほどで幹は積雪に押され横ばいし、葉がつく部分で斜めに立ち上がります。葉は長楕円形で、葉の縁に粗い鋸歯があります。雌雄異株で、花期は3月から4月にかけて目立たない、小さな褐色の花をつけます。果実は卵型で、秋に赤く熟し翌年の開花のころまでついています。

鼠志野草紋高台皿

<厚い胎土で大ぶりな器>

早春の山菜の苦みは、揚げることによって和らぎます。タラの芽は甘みが出てきます。天ぷらで春の香りを味わいます。

季節のうつわは「鼠志野草紋高台皿」です。土の柔らかさと優しさが感じられる、厚みのある高台皿で、掻き落とした箇所が白く残っています。

志野は桃山時代に美濃で焼かれた長石釉を掛けた焼き物です。茶陶としての志野は、技法によって無地志野、絵志野、紅志野、赤志野、鼠志野、練上志野に分類されます。

玄鳥至(つばめきたる)

<清浄明潔、黒部川扇状地から望む白馬連山>

4月5日から二十四節気は「清明」に入ります。清明とは「清浄明潔」の略で「万物発して清浄明潔なればこの芽は何れの草としれる也」と江戸時代に出版された暦の解説書「暦便覧」に記述されています。まさに万物がすがすがしく明るく輝くころとなります。

黒部川扇状地から上流を望むと雪を纏った後ろ立山連峰の峰々が神々しく輝いています。正面奥から白馬岳(2932m)、隣が旭岳(2867m)と清水岳(2603m)と名座が続きます。いよいよ北アルプスを背景に、桜とチューリップが加わる彩り豊かな季節となります。清明ならではの壮大な情景です。

七十二侯は「玄鳥至(つばめきたる)」で二十四節気「清明」の初侯となります。幻鳥とは燕の事で、燕がやって来る頃と言う意味です。冬鳥が北に帰り、入れ替わるように南の国から燕がやってきます。温泉街で観察できるのは小形の岩燕です。岩燕は、尾羽の切り込みが浅く英名が「House Martin」、燕は大型で尾羽の切込みが深く「Barn Swallow」でマーチンとスワロウです。日本には繁殖のために飛来し、宇奈月では温泉街から山地にかけて集団で営巣します。待ちに待った観光シーズンの到来となります。