蟋蟀在戸(きりぎりす とにあり)

<「秋草の図」塩崎逸陵>

10月19日から七十二侯は「蟋蟀在戸(きりぎりす とにあり)」で、二十四節気「寒露」の末侯にあたる。季節は晩秋、冬がそこまでやってきているので、蟋蟀(きりぎりす)が戸口で鳴く頃という意味。昔はコオロギのことをキリギリスと呼んだ。

一雨ごとに秋の深まりが感じられ、黒部の山々の稜線は紅に染まりつつある。黒部の流れは増々清くなり、サケの遡上が始まる。サクラマスは皐月の頃に遡上が終わり、今は黒部の川の深い淵に潜んで、産卵のために支流へ移動する頃合いを探っている。

塩﨑逸陵の「秋草の図」に秋の虫が描かれている。塩﨑逸陵は、富山県高岡市出身の日本画家で東京美術学校(東京藝術大学)に学び、川端玉章、寺崎広業に師事された。気品あふれる花鳥画や人物画を描きその足跡が、延楽に残されている。