緑釉透亀甲紋向附

<脂ののった寒鰤のお造り>

冬型の気圧配置が強まると、寒ブリの群れが富山湾に仕掛けられた定置網に入ります。寒鰤のシーズン到来を告げる「寒ブリ宣言」は、今年はまだ出ていません。 地響を伴った激しい雷鳴が轟き渡るのは、11月末から1月の間にかけて。北陸特有の冬期雷です。富山湾に強風が吹き荒れ、沖合では大シケが続き閃光が走ります。鰤の豊漁を告げる「鰤起こし」と呼ばれる気象現象です。 寒鰤のお造りは、上質な脂がのっていて絶品です。富山の地酒、無濾過「苗加屋」、林酒造の生酒「蔵出し」が合います。

季節の器は、「緑釉透亀甲紋向附」です。亀甲紋の透かしを大胆に取り入れた作品です。

祥瑞丸文蓋物

<祥瑞ラビリンス>

氷見漁協より「寒ぶり宣言」が出されると、富山湾の鰤漁が本格化します。去年は21日に出されました。氷見寒鰤の登録判定基準は6kg以上で定置網でとれた物に限ります。寒鰤の脂は、生臭みが全くないので、薄味で焚く蕪との取り合わせは、味の妙です。一般的には鰤と大根を濃味で焚く鰤大根が、郷土料理として親しまれています。

季節の器は、「祥瑞丸文蓋物」です。藍青色の染付は、寒鰤の腹身の部位を美しく見せてくれます。見込みの細かな瓔珞紋様は器を引き立たせ、丁寧な筆の運びが伺えます。



呉須赤絵小蓋物

<雲子含め煮>

急激に寒くなると、富山湾の真鱈が美味しくなります。鱈ちりの季節になりました。新鮮な雲子(白子)は絶品です。そのままポン酢で食すのも美味しいですが、上質な出汁にくぐらせていただくのもお勧めです。地酒に合います。

季節の器は、「呉須赤絵小蓋物」で、永楽妙全です。滑らかな純白の雲子は、小ぶりの赤絵の蓋物に合います。

金箔散六寸皿

<今が旬の香箱蟹>

香箱蟹(こうばこがに)は、津和井蟹の雌で雄と比べるとかなり小ぶりです。活蟹会席の一皿です。サイズが小さいので、丁寧に身を抜き甲羅に盛り付けます。つぶつぶの茶色の卵は外子で特別の食感が味わえます。旨みが凝縮された味噌とオレンジ色の内子は濃厚な味で格別の旨みがあります。

季節の器は、「金箔散六寸皿」です。黄金の輝きに中に、香箱の赤色が映えます。

白高麗銀彩中皿

<上質な甘みの富山海老>

木枯らしが吹き、木の葉が舞い落ちるころ、富山湾で水揚げされる富山海老の甘みが増してきます。お造りがお勧めです。今が旬のアオリイカ、車鯛のお造りも併せてご賞味ください。刺身ダレは延楽オリジナルの煎り酒で。

季節の器は、「白高麗銀彩中皿」です。宮川香斎の作品です。白高麗は、明の福建省泉州徳化窯で焼かれた粗製の白磁です。朝鮮の白掛け茶碗と混同されて白高麗と呼ばれるようになりました。縁と中ほどに銀彩が施されているので、富山海老の赤が優しく引き立ちます。

染付捻文向付

<永寿ならではの美しさ>

白海老はあまりにも小さいため、一般のお醤油だと海老の甘さが負けてしまいます。延楽では特製の出し汁を使います。白海老の甘さを最大限引き出し、地酒に合う旨味です。

季節の器は、「染付捻文向付」で、九谷の名工「矢口永寿」の作品です。呉須の点描で捻文を表しています。永寿の染付は、色合いが美しく優しさがあります。永寿は、明治37年(1904)に京都より永楽保全の門下である滝口加全などの陶工を招き、永寿窯を開業します。仁清、乾山、染付、祥瑞などの作品を多く残しています。

楽双鶴平向付

<内子は格別>

香箱蟹(こうばこがに)は、富山湾で獲れる雌の津合井蟹(ずわいがに)です。茶色のつぶつぶの卵は外子で、味噌の部分のオレンジ色の内子は、濃厚な味で格別の旨みがあります。漁期は1月20日までの短期間です。

季節の器は、「楽双鶴平向付」です。内子、外子の紅色が映える器で、お祝膳の席にも使われます。

渕色絵線輪花

<真鯛香煎揚>

黒部沖合では、1本釣りで底物の真鯛、のど黒、鬼鮋(オニカサゴ)などが釣れます。真鯛は、漁獲量の80%は定置網、残りは刺網や底引網で獲られます。真鯛の美味しい時期の到来です。会席の揚げ物は真鯛の香煎揚げです。

季節の器は、「渕色絵線輪花」です。複数の色彩を使った線輪花です。

網目色絵小花六寸皿

<のど黒・焼霜>

冬型の気圧配置になると気温が急激に下がります。富山湾の底引き網漁が最盛期を迎えます。魚は脂が乗り、最もおいしくいただける季節となりました。のど黒の脂は身と皮の間についているので、焼霜にします。皮を焼くことにより独特の薫香が出て美味しくなります。

季節の器は、「網目色絵小花六寸皿」です。網目文は線描きで網の目を描いた文様です。

網目の描き方は緩やかに波打つものを基本としますが、横幅の間隔の狭まったもの、結び目のあるもの、二重線のもの、網目に魚文や桜や菊の花文を散らしたものなど様々なバリエーションがあります。これらの文様は17世紀前半から伊万里焼に現れます。

灰釉割山椒向付

<新鮮な白子>

富山湾に冷たい北風が吹くようになると、真鱈が美味しくなります。新鮮な白子はポン酢で食すと格別な旨味があります。雲のように見えるので雲子と呼んでいます。身は昆布で〆て真子をまぶします。鱈の子付として地元では食されています。

季節の器は、「灰釉割山椒向付」です。灰釉(かいゆう)は植物の灰を加えた釉です。植物の灰にはアルカリ金属が含まれ、これが高温になると素地の中の長石を溶かしてガラス化します。色は黄緑色や白濁色になります。