色絵南天絵向附

<南天の赤が美しく映える>

師走も半ば過ぎて、1年で最も日が短い「冬至」を迎えます。この時期、年末年始の行事が立て込んで1年で最もあわただしくなります。寒くなると富山湾の魚の身が引き締まります。延楽匠膳のお造りです。白身魚は、延楽オリジナルの煎り酒で、お召し上がりください。

 季節の器は、「色絵南天絵向附」です。雪の降る日は、艶やかな色絵の器が映えます。

乃東生(なつかれくさしょうず)

<乃東(なつかれくさ)の花>

12月21日から二十四節気は「冬至」に入る。1年で最も昼が短い日である。「冬至、冬中冬初め」といわれるように冬至は、冬の真ん中で真冬の始まりでもあり、この日を境に太陽が復活を始める。故に冬至を「一陽来復」と言い、物事が良い方向に向かうとされる。七十二侯は、「乃東生(なつかれくさしょうず)」で、二十四節気「冬至」の初侯に当たる。乃東(なつかれくさ)は、冬に芽を出して夏に枯れる夏枯草(かごそう)のことで、この芽がでる頃という意味。

夏枯草(かごそう)とは、宇奈月の山野に自生するシソ科の多年草の靫草(うつぼぐさ)で、花は紫色で直立した茎の先端の密な円柱状の花穂につく。この枯れた花穂が夏枯草で、古くから漢方薬として用いられている。冬至の初侯「乃東生(なつかれくさしょうず)」は、夏至の初侯「乃東枯(なつかれくさかるる)」と対になっている。

12月20日は、「宇奈月温泉スノーパーク」スキー場開が行われた。今年は、例年になく雪が多く、最良の初滑りの日であった。雪の覆われた大地では、乃東(なつかれくさ)の芽が出ようとしている。

色絵南天絵向附

<少し小振りの向付>

富山湾のしけが続くと、真鱈が旨くなります。冬野菜と炊き合わせます。淡白な白身に出汁が効いて美味しくなります。野菜と一緒にお召し上がりください。

季節の器は、「色絵南天絵向附」です。小振りのお向こうなので収まりがいいです。

染付獣面芙蓉手向附

<冬野菜焚合>

魚料理の合間に、冬野菜の焚合せが欲しくなります。水菜や根菜類などの種類が多くなります。中でも蕪は外せません。甘鯛との蕪蒸しも人気があります。ここは特製の出汁で優しく炊きます。

季節の器は、「染付獣面兜形向附」です。染付芙蓉手の器は、落ち着いて安定感があります。

鱖魚群(さけのうお むらがる)

<黒部川支流で産卵するサクラマス・婚姻色が美しい>

12月17日から七十二侯は「鱖魚群(さけのうおむらがる)」で、二十四節気「大雪」の末侯にあたる。鮭の群が、産卵のため自分の生まれた川に遡上する頃という意味。宇奈月温泉を流れる黒部川の鮭の遡上は11月で終わる。

黒部川の河口から宇奈月温泉までの間に、サケが遡上するために越えなければならない堰堤がある。それは愛本堰堤である。愛本周辺は黒部川扇状地の扇頂部で、江戸時代に刎橋が懸けられたところである。黒部川下流域の最も狭い地点である。

現在の愛本堰堤は、昭和44年に流されて同48年に築造された。ここに魚道が設けられている。黒部川は急流河川で流出土砂も多い。その土砂で魚道が度々埋まり、今年も機能しなかった。故に鮭は宇奈月温泉の周辺で見ることができなかった。

ところが桜鱒は、年々数が減少しているものの、支流で確認できる。桜鱒は鱒ずしの鱒である。桜鱒は春に遡上する。春の黒部川は、雪解けで水が増水し、急流となって川幅一杯に堰堤を乗り越えて流れるので、桜鱒は遡上が可能になる。そして夏の期間は、深い淵に潜んでいる。

山の稜線が色づく10月中旬から11月初旬にかけて、黒部川の支流では産卵間近の婚姻色が美しいサクラマスを見ることがでる。この時期の黒部川は透明度が増して、水量が少ないので容易に発見できる。カワガラスが鳴き始めると産卵が始まる。

孵化した稚魚は、降海型と河川残留型に分かれ、降海型は3年かけて桜鱒となって黒部川に戻ってくる。河川残留型は山女魚となる。黒部川ではその稚魚を守るため2月の末まで禁漁となる。

染付芙蓉手輪花向附

<香箱蟹>

香箱蟹は、「活け蟹会席」「雅膳」の一皿です。追加料理としても人気があります。津和井蟹の雌で小さいため丁寧に身を抜き甲羅に盛り付けます。つぶつぶの茶色の卵は外子で特別の食感が味わえます。旨みが凝縮された味噌とオレンジ色の内子は濃厚な味わいで地酒と最高の組み合わせとなります。

雪の峡谷を愛でながらの蟹三昧のシーズンとなります。季節の器は、「染付芙蓉手輪花向附」です。

熊蟄穴(くまあなにこもる)

<黒部宇奈月温泉駅から白馬岳を望む>

12月12日から七十二侯は「熊蟄穴(くまあなにこもる)」で二十四節気の「大雪」の次侯にあたる。熊が厳しい冬を乗り越えるために穴にこもる頃という意味。

例年この時季は、シベリアから寒気団が南下し、北陸に大雪をもたらす。本格的な降雪は、二十四節気の「冬至」に入ってからと予測される。

北陸新幹線が、新潟県と富山県の県境のトンネルを抜けて、朝日町の平野部に出ると眺めに圧倒される。左手には新雪に輝く北アルプス、右手には能登半島と富山湾の景色が広がる。その名座と富山湾の深海の高低差は約4千メートル。まさに絶景である。

焼締片口皿

<津和井蟹洗い>

蟹の洗いは、透き通るような活蟹の身を、氷水にさらすと花が咲きます。とろけるような食感の中に濃い甘みが口いっぱいに広がります。蟹会席の一皿です。

季節の器は、「焼締片口皿」です。荒木義隆氏の焼締めは、土肌を感じながらも造形が美しいので料理を引き立ててくれます。

仁清水玉透向附

<毛蟹の柚子釜>

富山湾では津和井蟹、紅津和井蟹は、冬の味覚として知られていますが、毛蟹は知られていません。あまり市場に出回らないので、馴染みがありません。秋から冬にかけてが旬です。滞在の料理として使います。

季節の器は、「仁清水玉透向附」です。本歌は畠山記念館、MIHO MYUSEUMに所蔵されている「白釉円孔透鉢」を写したものです。シンプルでかつシャープな造形は、現代の工芸品にもひけのとらない斬新さがあります。色絵を使わずにシンプルな色合いは仁清の多才さを感じさせます。

色絵椿絵向附

<艶やかな紅白の椿の色絵>

冬型の気圧配置が強まり、寒さが増すと蕪蒸しが美味しくなります。二十四節気の「大雪」に入りました。おろした蕪を雪に見立てるのは、和食の妙です。具は、朝どれの甘鯛を使います。

季節の器は、「色絵椿絵向附」です。 重々しい灰色の雲が空を塞ぐ雪雲の日が多くなる頃は、色絵の器で華やかにします。