黄瀬戸五寸皿

<真鱈の白子>

富山湾に雪が降ると、真鱈が旨くなります。真鱈は炊き合わせ、鱈ちり、昆布締めと料理も多岐にわたります。寒くなると特に旨くなるのが、白子で、雲子とも呼びます。生でポン酢で召し上がるのもお勧めです。だし汁に素早く潜らせ、冬野菜と一緒に食します。

 季節の器は、「黄瀬戸五寸皿」です。黄瀬戸は、桃山時代に美濃窯で焼かれた黄色の焼物で、装飾として胆礬や鉄彩といった加飾の技法が加えられています。胆礬が表裏に現れるものを抜け胆礬と言い高く評価されています。器の表面は、失透性の釉調である油揚肌が特徴です。

色絵南天絵向附

<南天の赤が美しく映える>

師走も半ば過ぎて、1年で最も日が短い「冬至」を迎えます。この時期、年末年始の行事が立て込んで1年で最もあわただしくなります。寒くなると富山湾の魚の身が引き締まります。延楽匠膳のお造りです。白身魚は、延楽オリジナルの煎り酒でお召し上がりください。

 季節の器は、「色絵南天絵向附」です。雪の日は、艶やかな色絵の器が映えます。

染付獣面芙蓉手向附

<冬野菜焚合>

魚料理の合間に、冬野菜の焚合せが欲しくなります。水菜や根菜類などの種類が多くなります。中でも蕪は外せません。甘鯛との蕪蒸しも人気があります。ここは特製の出汁で優しく炊きます。

季節の器は、「染付獣面芙蓉手向附」です。周縁部の獣面は器の中の物を護って邪気を祓うところから、染付芙蓉手の器にはよく見られます。

鱖魚群(さけのうお むらがる)

<黒部川支流で産卵する桜鱒、婚姻色が美しい:11月下旬撮影>

12月17日から七十二侯は「鱖魚群(さけのうおむらがる)」で二十四節気「大雪」の末侯となります。鮭の群が、産卵のため自分の生まれた川に遡上する頃という意味です。宇奈月温泉を流れる黒部川の鮭の遡上は11月で終わります。

黒部川の河口から宇奈月温泉までの間に、サケが遡上するために越えなければならない堰堤があります。それは愛本堰堤です。愛本周辺は黒部川扇状地の扇頂部で、江戸時代に刎橋が懸けられたところです。黒部川下流域の最も岩が固く狭い地点です。現在の愛本堰堤は、昭和44年8月の豪雨で流失し、同48年に築造されました。ここには魚道が設けられていますが、黒部川は急流河川で流出土砂も多いため魚道が度々埋まり、鮭が宇奈月温泉周辺まで遡上できなくなります。

一方桜鱒は年々数が減少しているものの、宇奈月温泉周辺の黒部川支流で毎年確認できます。桜鱒は、富山名産の鱒ずしに使用される鱒で、春に遡上します。春の黒部川は、雪解けで水で増水し急流となって堰堤を乗り越えて流れるので、遡上が可能になります。そして夏の期間は深い淵に潜み、山の稜線が色づく10月中旬から11月初旬にかけて、黒部川支流で産卵間近の特徴である婚姻色が美しいサクラマスを見ることができます。この時期、支流は透明度が増し水量が少くなるので容易に観察できます。産卵が始まるとカワガラスがやってきて、卵を啄ばみます。孵化した稚魚はすべてヤマメで、降海型と河川残留型の2種類になります。降海型のヤマメは日本海に出て3年後には桜鱒となって生まれた川に戻ってきます。黒部川では稚魚を守るため2月末まで禁漁となります。

染付芙蓉手輪花向附

<香箱蟹>

香箱蟹は、「活け蟹会席」「雅膳」の一皿です。追加料理としても人気があります。津合蟹の雌で小さいため丁寧に身を抜き甲羅に盛り付けます。つぶつぶの茶色の卵は外子で特別の食感が味わえます。旨みが凝縮された味噌とオレンジ色の内子は濃厚な味わいで地酒と最高の組み合わせとなります。

雪の峡谷を愛でながらの蟹三昧のシーズンとなります。季節の器は、「染付芙蓉手輪花向附」です。芙蓉手は、万暦年間(1573~1620)景徳鎮民窯で焼かれた染付磁器の様式です。1659年、伊万里にオランダ東インド会社から大量注文が入りますが、ほとんどが芙蓉手でした。この輸出専用の様式は、伊万里焼の様式を大転換させる契機となります。

粉引鉄山水角大皿

<鰤鎌塩焼き>

寒鰤の美味しい季節となりました。中でも鰤鎌の塩焼きは格別です。寒鰤のえらの下の胸びれのついている部分が鎌で、脂も含んで特に美味しいところです。大根おろしと醤油を合わせて食します。皮は香ばしく美味で、地酒も進みます。

季節の器は、「粉引鉄山水角大皿」です。鎌が大きいので、大ぶりの器を使います。

熊蟄穴(くまあなにこもる)

<北陸新幹線・黒部宇奈月温泉駅から白馬岳を望む>

12月12日から七十二侯は「熊蟄穴(くまあなにこもる)」で二十四節気の「大雪」の次侯となります。熊が厳しい冬を乗り越えるために穴にこもる頃という意味です。

例年この時期は、シベリアから寒気団が南下し北陸に雪をもたらします。本格的な降雪は、二十四節気の「冬至」に入ってからと予測されます。

北陸新幹線が、新潟県と富山県の県境のトンネルを抜けて、富山県朝日町の平野部に出るとその眺めに圧倒されます。左手には新雪に輝く北アルプス、右手には能登半島と富山湾の景色が広がります。その名座と富山湾の深海の高低差は約4千メートル。まさに初冬の絶景です。

焼締片口皿

<津和井蟹洗い>

蟹の洗いは、透き通るような活蟹の身を、氷水にさらすと花が咲きます。とろけるような食感の中に濃い甘みが口いっぱいに広がります。蟹会席の一皿です。

季節の器は、「焼締片口皿」です。荒木義隆氏の焼締めは、土肌を感じながらも造形が美しいので料理を引き立ててくれます。

仁清水玉透向附

<毛蟹の柚子釜>

富山湾では津合蟹、紅津合蟹は、冬の味覚として知られていますが、毛蟹は知られていません。あまり市場に出回らないので、馴染みがありません。秋から冬にかけてが旬です。滞在の料理として使います。

季節の器は、「仁清水玉透向附」で、仁清の写しです。本歌は畠山記念館、MIHO MYUSEUMに所蔵されている「白釉円孔透鉢」で、シンプルでかつシャープな造形は、現代の工芸品にもひけのとらない斬新さがあります。色絵を使わずにシンプルな色合いは仁清の多才さを感じさせます。

色絵椿絵向附

<艶やかな紅白の椿の色絵>

冬型の気圧配置が強まり、寒さが増すと蕪蒸しが美味しくなります。二十四節気の「大雪」に入りました。おろした蕪を雪に見立てるのは、和食の妙です。具は、朝どれの甘鯛を使います。

季節の器は、「色絵椿絵向附」です。 重々しい灰色の雲が空を塞ぐ雪雲の日が多くなる頃は、色絵の器で華やかにします。