霜止出苗(しもやみてなえいずる)

<雪を纏った後立山連峰>

4月25日から七十二侯は「霜止出苗(しもやみてなえいずる)」で、二十四気「穀雨」の次侯となります。

朝晩の厳しい冷え込みは緩み、霜が降りなくなる頃という意味です。農家は、田植えの準備に取りかかり、田圃に水を張ります。満面の水面には、雪を纏った後立山連峰(白馬連山)の山々と新緑の里山が美しく映り込み、山居村の屋敷は浮城のように見えます。名水の里、黒部川扇状地の風景が最も煌く頃となります。

黒部川扇状地は、愛本橋付近を扇頂として扇角約60度で、富山湾に至る日本で一番美しい扇形の平野です。扇頂から河口まで約13km、面積は96k㎡で、氾濫の積み重ねによって形成されました。黒部川は、かつては扇状地で複雑な流路を作り、その網目状のような川の流れから黒部四十八ケ瀬あるいはイロハ川とも呼ばれていました。

昭和12年、国が黒部川の改修計画を直轄事業としてから順次整備が進み、今では大型の堅固な堤防によって川幅の広い河道になりました。上空から見ると、その中を黒部川が蛇行を繰り返しながら富山湾にそそいでいるのがよくわかります。

下流域では湧水箇所が多く、黒部川扇状地湧水群と呼ばれていて人々に様々な恩恵を与えています。黒部が名水の里と呼ばれる所以です。

祥瑞橘文向付

<吉祥文様の向付>

雅膳の2泊目の千代口は、白海老と唐墨です。
白海老は醤油ではなくて、塩分を抑えた旨味出しを使います。
ほど良い旨味と柔らかな塩分の出汁は、白海老の繊細な甘みを引き出します。

季節のうつわは「祥瑞橘文向付」です。
橘は、常緑樹で葉は年中元気よく生い茂ることから、長寿や子孫繁栄の願いを意味する吉祥文様となります。

山延胡索(ヤマエンゴサク) ケシ科

<春の妖精のような花>

山延胡索(ヤマエンゴサク)は、宇奈月の落葉樹林や林縁の適湿地に開花するケシ科キケマン属の多年草です。

全体に毛が無く10cm前後の繊細な山野草です。葉は、2個互生し3出羽状複葉で柔らかく、切れ込みが入り緑色が最も美しい葉です。花は茎の上部に総状花序につき、淡い青紫色や濃い赤紫色まで様々な色のものがあります。花の長さは2cm位で、筒状で先が唇形に開きます。

 淡い色と姿から「水色の妖精」とも呼ばれています。 宇奈月温泉の原野では、菊咲一華の隣で咲いているのが見られます。 春の山野草をめでる季節の到来です。

色絵丸紋胴紐小鉢

<鮮やかな赤丸>

小鉢として染付、古染付、祥瑞の文様や色合いが、よく使われます。
滞在のお客様には、鮮やかな色絵の小鉢を使って雰囲気を変えます。
そのうつわの華やかさで料理が映え、同じ宿で連泊することの楽しみが増えます。

季節のうつわは「色絵丸紋胴紐小鉢」です。
色絵磁器は、陶磁器の釉面に上絵付した加飾磁器で、赤絵、錦手、五彩、十錦手、粉彩、豆釉、染錦手などを総称するものです。
色絵磁器では、色絵の呈色を良好に保つために、白磁素地の純白さが要求されました。

羽団扇楓(ハウチワカエデ) カエデ科

<花が最も美しい楓>

羽団扇楓(ハウチワカエテ)は、宇奈月の山地に生えるカエデ科の落葉高木です。

葉は大型で祖鋸歯があり7裂し天狗の団扇に似た形をしていて、名前の由来となっています。花は、一つの株に単性花と両性花が混ざり合っている雌雄雑居性で、葉よりわずかに早く開きます。若枝の先に紫紅色の散房状花序を下げ、柔らかな萌黄色の新葉とのコントラストが美しく映えます。実は翼果となり回転しながら落下します。花、若葉、紅葉とも美しいので「名月楓」とも呼ばれています。

黒部の山々には多くの種類の楓が見られます。 楓とは似ても似つかぬ葉の一葉楓、薄緑の花の板屋楓、樹が緑色の瓜肌楓、小型の小羽団扇楓、葉の切れ込みの深い、いろは紅葉、少し切れ込みの浅い山紅葉、葉が大きくて切れ込みの浅い大紅葉、等等まだまだあります。秋には深紅や黄色に色づき黒部峡谷の紅葉の美しさを造り出しています。

延齢草(エンレイソウ) ユリ科

<湿ったところを好む延齢草>

延齢草(エンレイソウ)は、宇奈月の深山や、山地の樹陰に生えるユリ科の多年草です。

太く短い根茎から15cmから20cmの茎が1本伸び、その頂部に3個の葉が輪生します。葉は、広卵円形で葉柄を持たず茎から3枚の葉を直接つけています。葉が双葉葵に似て立っているので立葵とも呼ばれています。花は、輪生した葉の中心から出る花柄の上につき、花弁はなく濃い紫色に近い茶褐色の3個の萼片からなり横向きに咲きます。

根茎にはサポニンが含まれる有毒植物ですが、根茎を干したものを延齢草根と言い、胃腸薬などの薬草として使われていました。このことが延齢草の名前の由来となっています。

岩団扇(イワウチワ) イワウメ科

<雪が解けた岩場に咲く岩団扇>

岩団扇(イワウチワ)は、宇奈月の深山の岩場や落葉樹林下のやや湿ったところで見られるイワウメ科の多年草です。

雪が解ける頃、葉脈から花茎が伸びて一輪の薄紅色の花をつけます。葉は円形で端は小さな鋸状で、基部が深くはハート型となっています。春山登山で岩場の上部から岩団扇の花が回転しながら落下するのを目にすることがあります。

和名の由来は、岩場に生え葉は革質で厚く光沢があり、形が団扇に似ていることによります。宇奈月温泉では町の花として親しまれ、宇奈月音頭や宇奈月小唄にも歌われています。



春虎の尾(ハルトラノオ) タデ科

<樹林内に可憐な花をつける春虎の尾>

春虎の尾(ハルトラノオ)は、宇奈月の落葉樹林内に自生するタデ科の多年草です。
花は、高さ10cm位の花茎の先に密な花穂をつくり、白色でわずかに淡紅色をおびています。
和名は、 花穂を虎の尾に見立て春早く咲くところに由来します。
地下茎は、横に這って所々膨らみ、根出葉は長楕円形で長い柄があります。
花茎の基部の葉はやや心形型です。
宇奈月の樹林内で、かたくりの群落の中にまとまって咲いているのをよく見かけます。
この山野草も初夏には姿を消してしまうスプリング・エフェメラルの一種です。

黒部峡谷鉄道・猫又まで開通

<やまびこ鉄橋を走るトロッコ電車>

4月20日、黒部峡谷沿いを走る軌間762mmゲージ(通称ナロゲージ)の黒部峡谷鉄道は猫又まで部分開通しました。営業運行期間は4月20日~8月31日まで区間は宇奈月駅~猫又までの折り返し運行となります。
9月1日からの時刻表及び、10月1日以降の運行区間については、7月上旬までにプレス発表されます。

今年は沿線の山々の積雪が少なく、例年より早く営業運転を開始しました。車窓から眺める黒部の山々には、残雪が残り稜線に沿ってブナの深緑が美しく映える、ブナの峰走りを見ることができます。

終点の猫又には黒部川第二発電所があり、下流の対岸には高さ200mの鼠返しの大岩壁が望むことができます。黒部川第二発電所は1936年(昭和11年)日本電力株式会社が運用を開始し、1951年(昭和26年)に関西電力に引き継がれ、90年にわたり日本の電力供給を支えてきました。発電所と取水ダムは日本近代建築家・山口文象の設計で、深いV字峡の黒部峡谷に溶け込むように工夫されています。

黄花碇草(キバナイカリソウ) メギ科

<若葉が美しい黄花碇草>

黄花碇草(キバナイカリソウ)は、宇奈月の山の則面に自生するメギ科の多年草です。

茎の高さは40cmから60cmで、まばらに分岐します。根出葉は長柄があって複葉で、3枚つき2段階で分かれるので2回3出複葉と言います。4月に総状花序を出して淡黄色花を数個下向きに開きます。

碇と錨の違いは、碇はかつて日本船に使われていた4本爪のイカリのことで、錨は2本爪のイカリのこです。花の形が碇に似ていることが名前の由来となり、碇草の漢字になっています。碇草は滋養強壮の漢方薬として利用されてきました。花が散ると、葉が急激に大きく広がります。