仁清色絵水仙絵五寸皿

<ほたるいかのお造り>

春めいてくるとほたるいかの産卵が始まります。昼は深い海底に潜み、深夜から明け方にかけて浅いところへと移動して産卵します。その習性をとらえて行われるのが、富山湾の春の風物詩「ほたるいか漁」です。3月1日から解禁となりました。青白い光は幻想的で、まさに富山湾の神秘です。ほのかな甘みのお造りは絶品です。

季節のうつわは「仁清色絵水仙絵五寸皿」です。富山湾の宝石と呼ばれている白海老のお造りも併せてお召し上がり下さい。

染付内外網目汲出

<しっかりとした網目模様>

寒さが戻ると底物の甘鯛が獲れます。切り身を蒸してポン酢で食します。地酒にあう強肴です。滞在料理の一皿です。
季節のうつわは「染付内外網目汲出」です。
広口の小さな茶碗、汲み出し茶碗で、茶の湯で寄付や待合で用いる茶碗です。勝手から湯を汲み入れて客に出すところから、汲み出し茶碗の名が付きました。
永楽妙全の作で、小さいながらもしっかりとした染付の網目が施されています。

着彩網目花小紋蓋向

<美しい花小紋>

早春の大形のど黒は、脂が乗ってきます。しゃぶしゃぶも美味しいですが、焚き合わせも地酒に合います。やさしく小紋で包みます。
季節のうつわは「着彩網目花小紋蓋向」です。
網目文とは線描きで網の目を描いた文様で、中国の明末の古染付の影響を受けています。19世紀に入ると網目に魚文や桜、菊などの花文を散らしたものが出てきました。

赤楽合蛤向付

<上巳の節句にかかせない器>

上巳の節句で欠かせないのが蛤合わせの器と、食材としての蛤で、吸い物や天麩羅として使います。産卵前が一番おいしい頃で、蛤の持つ旨味に加えて甘みがあり、油で揚げることによって更に旨味が増します。

季節のうつわは「赤楽合蛤向付」です。
赤楽は素地に酸化鉄の粘土を塗って赤色をつけ、透明の釉をかけて焼いたものです。蛤は対の貝殻しか絶対に合わないことから貞操を象徴し、相性の良い伴侶と結ばれることを願う縁起物として使われます。

仁清写色絵桃絵桃形向付

<桃の形の向付>

3月3日の桃の節句は、古代中国の上巳の節句が由来とされています。もともとは旧暦3月最初の巳の日に行われていました。それを今の暦に合わせたため、1か月ほど早く行うことになります。宇奈月では桃の花はまだ咲いていないので、器の花を味わっていただきます。雅膳の一皿は、今が旬の才巻と春野菜の炊合せです。

季節のうつわは「仁清写色絵桃絵桃形向付」です。桃の形の向付に桃花の絵付けは、卓上を華やかにしてくれます。

色絵手毬絵向付

<手毬の柄がすべて違う>

上巳の節句はもうすぐです。雅膳の一皿は、酢の物で津合蟹の身抜きです。
季節のうつわは「色絵手毬絵向付」です。
手毬に使われる絹ならではの美しい光沢を、器の上では金彩であらわしています。
加賀藩では、娘が嫁ぐときに手縫いの毬を魔除けとして持たせる習慣がありました。毬の中に鈴が入っていて、良くなるという掛詞で縁起物とされていました。
加賀手毬は、群青、金茶、朱赤の三色を用いた伝統的な模様を守っています。

鴬宿梅蒔絵お椀

<鶯の宿る梅>

鶯宿梅とは、鶯の宿る梅の意で、紀貫之の娘、紀内侍の家にあった梅の名前です。「大鏡」によれば、村上天皇のとき清涼殿の前の梅が枯れたため西京のある家から掘り取らせてきましたが、木の枝に「勅なればいともかしこし鶯の宿はと問はばいかが答えん」という歌が結び付けてありました。天皇はその家の主が紀内侍であったことを知り、深く感じ心残りなことをしたと思ったという故事によります。

二十四節気「雨水」の末候に入ると、春を告げる魚、はちめがおいしくなります。雅膳の吸い物ははちめの葛打と干口子です。季節のうつわは「鶯宿梅蒔絵お椀」です。

「大鏡」の鶯宿梅の子孫は、現在京都市上京区の林光院に植え替えられています。林光院は臨済宗相国寺派大本山・相国寺の塔頭で、もとは二条西ノ京にあり、そこは紀貫之邸があった所です。

祥瑞一閑人向付

<祥瑞の鉢の写し>

3月に入ると細魚が獲れ始めます。季節のうつわは「祥瑞一閑人向付」です。
一閑人とは、蓋置、火入などで、小さな人形が一つ、内側をのぞくような姿でつけられている意匠のものをいいます。人形を閑人に見立てた説もありますが、井戸を看る意味の「井看人」とも書きます。

明時代(17世紀)の景徳鎮で焼かれた祥瑞の鉢に、見込み口返に一閑人が付いている向付があります。これはそれの写しです。

白磁雪輪形四五皿

<雪の結晶をデザイン化>

雪が雨に変わり、雪や氷が溶けて水となる二十四節気の雨水。この雨水の期間に、晴れた寒い朝に山から吹きおろす冷たい風に乗って、風花が舞うのが見られます。純白の花ようです。雅膳の先付は、風花の器を使います。

季節のうつわは「白磁雪輪形四五皿」です。雪輪文は雪の結晶を文様化したもので、輪花状の円に六方の小さな切れ込みが入ったものが基本となります。この器は、向付の輪郭をシンプルな雪輪形にしたもので、皿などにも見られます。もっと複雑な形をした雪輪も見られます。

飴釉俵形向付

<はちめの煮付け>

鉢目は、富山湾の水深100m~150mの岩礁地帯に生息しています。成長するにつれ深所に移動します。くせのない白身で、身のしまりがよく、煮付けがおすすめです。

季節のうつわは「飴釉俵形向付」です。飴釉の美しい器です。

飴釉とは、鉄釉の一種で酸化焼成によって飴色に呈色したものをいいます。鉄釉は、含まれる鉄分の量で発色に違いが出てきます。鉄分の多い順に、焼き上がりが赤黒いものを鉄砂釉、赤褐色のものを柿釉、黒色のものを黒釉、黄色を帯びた黒褐色のものを飴釉として分類します。