山茶始開(つばきはじめてひらく)

<湯鏡に映る錦繍の峡谷>

11月7日から二十四節気は「立冬」に入ります。暦の上では冬の到来ですが、宇奈月温泉周辺の紅葉が最も美しく映える頃です。七十二侯は「山茶始開(つばきはじめてひらく)」で、二十四節気「立冬」の初侯になります。太陽の気配が弱くなり、山茶花が咲き始める頃という意味です。

黒部の山々は、新雪で雪化粧をして、黒部の三段染めを楽しめる頃を迎えます。露天風呂「華の湯」の湯鏡に、錦繍の峡谷が色濃く映り込みます。山が紅に染まると北西からの強い風が吹くようになり、本格的な冬の到来です。富山湾では、冬の味覚ズワイガニ漁が6日から解禁となりました。漁はこれから年末にかけてピークとなり、雄が3月20日まで、雌は1月10日まで漁期となります。湯量豊富で肌に優しいお湯とズワイガニは、冬の宇奈月温泉の最高の取り合わせです。

呉須赤絵福字皿

<焼き物:目鯛西京漬>

秋から冬にかけて旬となる目鯛は、脂が程よく乗って美味しくなります。伝統の西京漬は、焼き物として会席コースでお出しします。のど黒も脂がのり美味しくなります。

季節の器は、「呉須赤絵福字皿」です。花の芯に金彩が使われているので、華やかで優しさがあります。永楽妙全の作品です。

紫式部(ムラサキシキブ) クマツヅラ科

<落葉後も枝に残る>

紫式部(ムラサキシキブ)は、宇奈月の山野に生えるクマツヅラ科の落葉低木で、小枝は斜上します。

葉は単葉で、葉身は8cm前後の長楕円形で、縁には細鋸歯がありま。初夏、葉腋のやや上部から集散花序を出し、淡紫色の小花を多数つけます。降霜のころ、葉は虫食いの照葉になり石果は光沢のある濃紫色に熟します。落葉後も実は枝に残ります。

紫式部は、宇奈月の今年の最後の山野草で、シーズンの終わりを告げます。雪解けの早春から新たな山野草が宇奈月の山野に芽生えます。

楓蔦黄(もみじつたきばむ)

<遠山初雪:塩出英雄 セレネ美術館蔵>

11月2日から七十二侯は「楓蔦黄(もみじつたきばむ)」で、二十四節気「霜降」の末侯となります。楓や蔦が黄色く色付き、紅葉が始まる頃という意味です。

宇奈月温泉周辺は黄色や赤に彩られ、これからその濃さが日一日と増してきます。黒部峡谷は、これから深紅が鮮やかになります。黒部峡谷には楓の大樹が多く自生し、赤く染まる楓は、ハウチワカエデ、ウリハダカエデ、イロハモミジ、ヤマモミジ等があります。黄色く色づく楓は、イタヤカエデ、ヒトツバカエデ等があり、針葉樹や常緑樹の緑と流れる水の青さなどが入り混じり峡谷は極彩色に彩られます。

黒部峡谷・セレネ美術館の所蔵作品の中に、塩出英雄氏の「遠山初雪」があります。11月初旬に画伯を黒部峡谷鉄道の終点である欅平から工事用の立坑エレベーターを使い、展望台へとご案内しました。そこには初冠雪を戴いた神々しく輝く、白馬連山が眺望できました。左手の欅平側の名剣山は紅葉真っ盛りで、山々が赤と黄色に染まっていました。画伯は、黒部の渓谷は、宗教的な荘厳な輝きを帯びていると感嘆の声をあげられたのが印象に残っています。まさに極彩色を帯びた黒部奥山の秋です。

活蟹会席

<蟹刺し(蟹の洗い)>

津和井蟹(ズワイガニ)漁は、11月6日から解禁となります。今年も活蟹料理を求めて、全国から沢山のお客様がお越しになります。蟹を最もおいしく召し上がっていただくために、調理方法を長年研究してまいりました。

料理内容は、先ずは季節の前菜で始まり、時を見計らって特製出汁の吸い物で箸休め。次の料理は蟹の洗いです。透き通るような活蟹の身を、氷水にさらした蟹の洗い。とろけるような食感の中に濃い甘みが口いっぱいに広がります。 蟹味噌を少し召し上がっていただいてから、焼蟹の始まりです。調理長がお客様の目の前で焼き上げます。焼き加減は、中身はあくまでジューシーになるように。蟹だけでは物足りないので、特製だしを張った大きな鍋に、ブランド牛として評判の氷見牛の赤みを潜らせます。冬野菜と一緒に召し上がっていただきます。そしてこの後もお料理が続きます。

黒部の山々が、薄く雪化粧をすると富山湾の津和井蟹漁が最盛期を迎えます。婦人画報「美食の湯宿・活蟹会席」で紹介されました。