立山岩蕗(タテヤマイワブキ) ユキノシタ科

<水の滴る谷間に自生する>

立山岩蕗(タテヤマイワブキ)は、宇奈月の深山の谷筋に生えるユキノシタ科の多年草です。

葉は、円形で根葉のみで、基部は心形で縁に整然として大きな卵型の鋸歯が並びます。花径には疎らに微毛があり、小さな花が円錐状に多くつき花柄基部には苞葉があります。花は一見して、蕗雪ノ下と似ています。

周りには、冷たい雪解け水が、常時流れています。

球紫陽花(タマアジサイ) ユキノシタ科

<苞が外れて中から紫陽花が現れる>

球紫陽花(タマアジサイ)は、宇奈月の湿った林内に群生するユキノシタ科の落葉低木です。 蕾は、新梢の先に付き総苞に包まれて球状なのでこの名前がつきました。

若枝はよく分岐して淡緑色で毛があります。 苞が落ちると数個の枝が出て散房状に淡紫色の花をつけます。周りには4~5個の蕚が発達した白い装飾化をつけます。 中央には小さな両性化が密集します。

宇奈月の山では紫陽花の仲間のが多く見られます。 球紫陽花(タマアジサイ)は葉が対生しているのに対し、蝦夷紫陽花(エゾアジサイ)は葉が互生しているので見分けがつきます。 この他に蔓紫陽花(ツルアジサイ)、草紫陽花(クサアジサイ)などが見られます。

金水引(キンミズヒキ) バラ科

<ひときわ目立つ、鮮やかな黄金色>

金水引(キンミズヒキ)は、宇奈月の道端でよく見かけるバラ科の多年草です。

葉は互生し、羽状複葉で小葉は不揃いで、大きな托葉があります。花は黄金色で茎の上で枝分かれして、総状花序を付けます。ミズヒキとよく似て、しかも黄色であることからこの名前がつきました。 ミズヒキは、タデ科の植物なので金水引とは全く種類が異なります。

9月下旬ごろ花が終わり種子になります。 その種子には鉤状のとげがあり、これが動物の体につき広範囲にわたり分布されます。 金水引は、別名龍牙草と呼ばれ、漢方では口内炎や下痢止めに効くとされます。

宇奈月の樹林内では、小形の朝鮮水引も生えています。

蕗雪ノ下(フキユキノシタ)  ユキノシタ科

<冷たい水が落ちるところを好む>

蕗雪ノ下(フキユキノシタ)は、宇奈月の深山の雪解け水が流れる沢に生えるユキノシタ科の多年草です。

根葉は多数出て、長柄ほぼ円形で、基部が心形で縁に不ぞろいの鋸歯になっています。 花茎には疎らに微毛があり、それに水しぶきによる水滴が一面につき美しく輝いています。 花は円錐状の小花で花茎に多く付きます。

高山帯では、同種の黒雲草(クロクモソウ)が見られ、花の咲き方がよく似ています。

向付・渕金十二曲

<延楽・雅の膳の冷物>

匠膳の一皿、車海老と翡翠茄子です。

富山湾の夏の味覚の一つとして車海老があります。旬の車海老と黒部の名水が育んだ長茄子を合わせます。茄子をゼラチンで固めると翡翠のような模様と色合いになります。彩に夏野菜を使い旨みのある出汁で合わせます。

季節の器は、ガラスの向付け渕金十二曲です。

弟切草(オトギリソウ) オトギリソウ科

<儚い一日花>

弟切草(オトギリソウ)は、宇奈月の日当たりのよい山野や道端に自生するオトギリソウ科の無毛の多年草です。朝露に濡れ、緑鮮やかな葉には、銀色に輝く水玉がいくつも光っています。

茎は円柱形で、葉は広披針形で対生し基部は茎を抱き、葉身には黒い小油点が散在します。枝先は2出葉集散状花序となり、小さな黄色い一日花を次から次へと開花させます。

花言葉は秘密と復讐で、秘伝の薬の秘密を漏らした弟を、兄が切ってしまうという民話から命名されています。古来、薬草として珍重されたので、薬師草や青薬とも呼ばれています。全草を天日干ししたものを生薬では小連翹(しょうれんぎょう)と呼び、鎮痛効果や神経痛や痛風の痛みに効く入浴剤として使われます。

園芸品種の錦糸梅(キンシバイ)や美容柳(ビョウヤナギ)もオトギリソウ科です。河原撫子や水引などと生けると夏の風情を楽しむことができます

大雨時行(たいう ときどきにふる)

<雪解け水が流れ込むうなづき湖>

8月2日から七十二侯は、「大雨時行(たいう ときどきにふる)」で二十四節季「大暑」の末侯。

梅雨が明けてからも、 山にはまだ薄暗い雨雲が立ち込め、今にも激しい雨が襲ってくるようだ。 入道雲が湧き上がるようになれば夕立の合図。 大雨が大地を洗い流し、しばし夕暮れの涼を与えてくれる。

黒部峡谷は、涼を求めるお客様で賑わう。トロッコ電車は、ゆっくりと宇奈月駅を出発する。先ず目に入るのがエメラルドグリーンの「うなづき湖」。 2001年に完成した宇奈月ダムによって湛水されてできた湖である。

黒部峡谷は八千八谷と呼ばれ、谷や沢が多い。 湖には急峻な山から流れ出た雪解け水が、満面に湛えられている。峡谷がもたらす川風は、冷を含み爽やかである。

玉川杜鵑(タマガワホトトギス) ユリ科

<草むらの中に生えるホトトギス>

玉川杜鵑草(タマガワホトトギス)は、宇奈月の深山の湿り気のある木陰に自生するユリ科の多年草です。 萌黄色の葉と黄色の花のコントラストが美しく、宇奈月僧ヶ岳登山道の落葉樹林縁で見かけます。

黄色い花びらに紫色の小斑点があり、杜鵑の胸のあたりの模様に似ているところから和名が付けられました。 冠の玉川の由来は、京都木津川支流の玉川で、 玉川堤は、山吹の名所として知られ、奈良線の玉水駅の近くにあります。 古くは奈良時代に遡り、橘諸兄がこの近くに邸を構え、万葉集に山吹を数多く詠っています。

平安時代には歌枕の地となり、玉川と言えば山吹を連想するようになりました。 黄金色を山吹に見立て、玉川を連想して和名を付けるところは、日本人の自然を愛しむ心の現れだと思います。