二人静(フタリシズカ) センリョウ科

<落葉樹林内でひっそりと咲く>

二人静(フタリシズカ)は、宇奈月の落葉樹林内に自生するセンリョウ科の多年草です。

地下の根茎から多くの根を出し、茎は直立し茎頂から2本の花穂の先に米粒のような白い花をつけます。 稀に花穂が3本、4本の物があります。葉は、楕円形で微細な刺状鋸歯があります。

5月の初めに咲く一人静は、花穂が1本で葉の色が濃く厚めで光沢があり、輪生なので容易に見分けがつきます。

大聖寺伊万里向付

<染錦手伊万里の本歌取り>

ホタルイカ漁も終盤になってきました。形も大きなものが目立つようになりました。お湯にくぐらせると形が丸みを帯びてきます。ボイルした蛍烏賊の内臓には格別の旨味があります。雅膳の一皿は、蒸し鮑と蛍烏賊の酢の物です。

季節の器は、「大聖寺伊万里向付」で、滝口加全の作品です。大聖寺伊万里焼とは明治4年の廃藩置県により、大聖寺藩の支援を受けられなくなった九谷焼の窯元が生き残り策として、当時人気が高く高額で取引されていた有田の染錦手伊万里を写しました。古伊万里の傑作である有磯文様、赤玉文様、五艘船文様を描いた鉢や菊型皿、姫皿等、その特徴をよく捉え、国内外で人気の陶器となりました。

滝口加全は、京都で12代永楽善五郎(和全)に師事し、中国古陶磁、仁清、乾山、交趾の写しを得意とし、九谷焼の指導をします。和全より和と加賀の加にちなむ「加全」の号を授かりました。2代目加全もすぐれた作品を残しています。北陸の旧家には大聖寺伊万里が多く残っています。

水木(ミズキ) ミズキ科

<葉は下向きで謙虚な姿勢>

水木は宇奈月の山地に普通に見られるミズキ科の落葉高木です。幹は直立して大きく伸び、枝はテーブル状に水平に張り出します。

葉は長柄単葉で全縁です。全縁とは鋸歯状の切れ込みのない葉のことです。葉は枝先に集まって互生し、下面は白色を帯びて細毛があり、ほとんどの葉が下向きになります。

小枝の散房花序に花弁が4個の白色の小花が多く開きます。枝を切ると水がしたたり落ちるので名前の由来となっています。

草の黄(クサノオウ) ケシ科

<葉の下面は粉白色をおびて毛がある>

草の黄(クサノオウ)は、宇奈月の道端の草地に生えているケシ科の越年草で、草の王とも書きます。

茎は直立し高さは70cm前後で、中空で分岐し、切ると有毒な黄色い汁が出てきます。葉は互生で羽状に分裂し、下部は有柄で葉身は柔らかく、下面および茎は多少粉白色を帯びて毛があります。葉腋から出た枝先に、4個の黄色い花弁を付けます。果実は円柱状で直立します。

仁清色絵波絵切込皿

<五寸五分皿>

蛍烏賊も大ぶりの物が多くなってきました。釜茹で食すのもお勧めです。最もお勧めなのがお造りです。食べやすく目を取り、ゲソは竜宮素麺でいただきます。山菜のヨシナも食べごろです。雅膳の一皿です。

季節の器は、「仁清波絵切込皿」です。四方に切込みが入っていて、小形なので蛍烏賊の大きさには合っています。波絵なので初夏にも使えます。

稚児百合(チゴユリ) ユリ科

<可愛い小花を付ける稚児百合>

稚児百合(チゴユリ)は、宇奈月の落葉樹林や杉林の中で群生するユリ科の多年草で、地下に細い根茎があります。

葉は互生し、楕円形で柄はありません。茎頂に1個から2個の白い花を横向きか下向きにつけます。白色の花被片は披針形で半開きし、葯は黄色です。花被とは花の構成要素の蕚と花冠を総称していいます。その二つが形態的に類似するかほとんど見分けがつかない場合は、まとめて花被片といいます。稚児百合はこれにあたり、百合属に多く見られます。

花が小さくて可愛いところが、名前の由来となっています。小さい花ですが群生しているので幾何学的な美しさがあります。

蚯蚓出(みみずいずる)

<宇奈月温泉周辺の新緑を作り出すカエデ属>

5月10日から七十二侯は、「蚯蚓出(みみずいずる)」で二十四節気「立夏」の次侯となります。夏に向うにつれ、土の中から蚯蚓(ミミズ)が這い出してくる頃と言う意味です。

今まで冷気を含んでいた朝の風は、立夏ともなると爽やかな風になり、宇奈月は今まさに新緑の季節本番。春の陽射しは少しずつ力を増し、萌葱色の草木も日一日と緑が濃くなる。雪を纏った黒部の山々と里山の新緑が最も美しい頃となります。

藪手毬(ヤブデマリ) スイカズラ科

<白色の装飾花が美しい>

藪手毬(ヤブデマリ)は、宇奈月の山の谷筋や湿った林縁に生えるスイカズラ科の落葉低木です。

葉は、対生で卵状楕円形、先は短く尖っています。基部は広い楔形で、縁には鈍い鋸歯があり、葉の側脈は10対前後で、葉の縁近くまでまっすぐ伸びています。

花期は5~6月で、小さな両性花が集まる花序の周りに白色の大きな5枚の花弁の広がった装飾花が縁取ります。装飾花は無性花でそのうちの花序の内側にある1枚の花弁だけ極端に小さくなっています。和名は藪に咲く手毬のような花の意味です。

藪手毬によく似たガマズミ属のムシカリは、5枚の花弁がほぼ同じ大きさです。これにより区別することができます。

春雪の下(ハルユキノシタ) ユキノシタ科

<水が滴る岩場に、可憐に花を広げる>

春雪の下(ハルユキノシタ)は、宇奈月の山の岩場に生えるユキノシタ科の多年草で、日本固有種です。岩旗竿(イワハタザオ)の育つ環境とよく似ています。

束性した葉の中央より20から30センチメートルの1本の花茎を出し、円錐状に配列した集散花序に多数の白い花をつけます。葉は特徴ある腎円形で黄緑色で裂片には鋭鋸歯があり、花茎とともに粗い腺毛が密に生えます。

花弁は下側の2弁が長く、上側の3弁は広卵形で小さく黄色の 斑点があります。雪の下は赤紫色の斑点なので見分けがつきます。

岩旗竿(イワハタザオ) アブラナ科

<水が滴る岩場に可憐に咲く岩旗竿>

岩旗竿(イワハタザオ)は、宇奈月の日当たりよい岩間や崖の上などに生えるアブラナ科の多年草で、基部から地下茎を出します。

茎葉は、茎を抱き長楕円形で互生しています。茎は毛が密生して細くて直立し、時には崖から垂れ下がることもあります。茎頂の総状花序に長い花柄のある白色の十字形花冠を多数つけます。花は下から上へと次々に咲きます。アブラナ科の植物の特徴でもあります。