黄瀬戸輪花向付

<秋野菜焚合わせ>

秋の深まりと共に、キノコや根菜類の秋野菜が旨みを増してきます。含め煮にした野菜に出汁のきいた葛餡を掛けて吉野仕立てにします。

季節のうつわは「黄瀬戸輪花向付」です。黄瀬戸は桃山時代に美濃で作られた黄色の焼物で、鉢や向付などの食器に優品が多く見られます。加藤唐九郎は、黄瀬戸を最も広く定義し、瓷器手、ぐい呑み手、菖蒲手、菊皿手の四種類に分類しました。

「黄瀬戸輪花向付」は、菖蒲手で油揚げ肌と呼ばれる失透明性の釉調の物です。装飾として胆礬(たんぱん)や鉄彩といった加飾の技法が用いられ、緑色や茶色とが彩となりますます。特に胆礬が器の表裏に現れるものを抜け胆礬と言って高く評価されます。秋の深まりを黄瀬戸で味わいください。