金盞香(きんせんか さく)

<霧に覆われる黒部峡谷>

11月18日から七十二侯は、「金盞香(きんせんかさく)」で二十四節気「立冬」の末侯にあたる。金盞香が咲き始める頃という意味。金盞香とは水仙のことで、別名「雪中花」とも言う。

五弁の花びらの真ん中にある副花冠が、金色の盃を表す「金盞(きんせん)」に似ているところから、金盞香と命名される。水仙の花が咲くと、上品な香りが漂い始める。

宇奈月温泉では、冷たい時雨が降ったりやんだり繰り返しながら、一雨ごとに冬へと近づいてゆく。雨上がりの霧が山を覆い、その切れ間から深紅に染まった木々が現れる。雨上がりの紅葉の黒部峡谷は一段と幻想的になる。山の頂が雪化粧すると黒部の三段染めが始まる。

寒鰤のお造り

富山湾の海が荒れに荒れて雷鳴が天地を轟かせると、寒鰤が富山湾に入ってきます。

その上質な脂はしつっこさが全く感じられなくて上品な旨みがあります。この時期にしか味わえない極上の富山湾の味覚です。大根おろしと醤油で味わうお造りは絶品で、地酒が一段と進みます。

平向付 楽双鶴

<内子は格別>

香箱蟹(こうばこがに)は、富山湾で獲れる雌の津合井蟹(ずわいがに)です。茶色のつぶつぶの卵は外子で、味噌の部分のオレンジ色の内子は、濃厚な味で格別の旨みがあります。漁期は1月20日までの短期間です。

季節の器は、平向付・楽双鶴です。おめでたい席に使われる器です。

地始凍(ちはじめてこおる)

<紅葉の落葉樹林>

11月13日から七十二侯は「地始凍(ちはじめてこおる)」で、二十四節気の「立冬」の次侯にあたる。陽気が弱まって日ごとに冷え込みが増し、大地が凍り始める頃という意味。

冷たい時雨が降ったりやんだりを繰り返し、ひと雨毎に冬へと近づいていく。黒部峡谷の紅葉はまだまだ見ごろで、色濃い黄金色と深紅の照り葉が、美しく輝く。

宇奈月温泉「やまびこ遊歩道」では、様々な木々の落ち葉が敷き詰められている。黄色く色付いたクスノキ科の壇香梅や、大葉黒文字の落ち葉は、柑橘系の香りを漂わせる。春にはいち早く花を咲かせる、落葉樹である。

山茶始開(つばき はじめてひらく)

<湯鏡に映る錦秋の峡谷>

11月8日から二十四節気は「立冬」に入る。暦の上では冬の到来であるが、宇奈月温泉周辺の紅葉が最も美しく映える頃だ。

七十二侯は、「山茶始開(つばき はじめてひらく)」で二十四節気「立冬」の初侯にあたる。太陽の気配が弱くなり、山茶花が咲き始める頃という意味。黒部の山々は、新雪で雪化粧をして、黒部の三段染めを楽しめる頃を迎える。露天風呂の湯鏡に「錦秋の峡谷」が色濃く映り込む。

山の緑が消え紅葉や落ち葉が多くなると北西からの強い風が吹くようになる。本格的な冬の到来である。富山湾では、冬の味覚ズワイガニ漁が6日から解禁となった。漁はこれから年末にかけてピークとなり、雄が3月20日まで、雌は1月20日までとなっている。

湯量豊富な美肌の湯とズワイガニは、冬の宇奈月温泉の最高の取り合わせである。

津合蟹(ズワイガニ)

日本海の冬の味覚を代表する津合蟹(ズワイガニ)が、11月6日に解禁となります。

延楽・活蟹会席は、延楽流の蟹真丈の吸い物、甘味を引き出す蟹の洗い。お客様の目の前で炭火で焼く焼き蟹は、中はジューシーなので蟹の旨みを引き出させます。蟹すき鍋の後は、締めの雑炊で決めます。

その他地元の魚も味わっていただきます。館主おすすめの地酒もご用意しております。

楓蔦黄(もみじつた きばむ)

<遠山初雪:塩出英雄 セレネ美術館蔵>

11月3日から七十二侯は「楓蔦黄(もみじつた きばむ)」で、二十四節気「霜降」の末侯にあたる。楓や蔦が黄色く色付き、紅葉が始まる頃という意味。

宇奈月温泉周辺は黄色や赤に彩られ、これからその濃さが増してくる。黒部峡谷は、これから深紅が鮮やかになる。黒部峡谷には楓の大樹が多く自生する。赤く染まる楓は、ハウチワカエデ、ウリハダカエデ、イロハモミジ、ヤマモミジ等。黄色く色づく楓は、イタヤカエデ、ヒトツバカエデ等があり、常緑樹の緑と流れる水の青さなどが入り混じり峡谷は極彩色に彩られる。

今はなき日本画家塩出英雄先生が、竪坑上部の展望台から黒部峡谷を望まれた時、黒部峡谷は荘厳で宗教的な美しさがあると感嘆されていた。その時の取材作品「遠山初雪」が、二曲屏風でセレネ美術館に収蔵されている。

活蟹会席

津和井蟹(ズワイガニ)漁は、11月6日から解禁となります。今年も延楽の活蟹料理を求めて、全国から沢山のお客様がお越しになります。

活蟹会席の内容は、蟹を最もおいしく召し上がっていただくために、調理方法を長年研究してまいりました。先ずは、季節の前菜で始まり、時を見計らって特製出汁の吸い物で箸休め。次の料理は蟹の洗いです。透き通るような活蟹の身を、氷水にさらした蟹の洗い。とろけるような食感の中に濃い甘みが口いっぱいに広がります。

蟹味噌を少し召し上がっていただいてから、焼蟹の始まりです。調理長がお客様の目の前で焼き上げます。焼き加減は、中身はあくまでジューシーになるように。

蟹だけでは物足りないので、だしを張った大きな鍋に、ブランド牛として評判の氷見牛の赤みを潜らせます。冬野菜と一緒に召し上がっていただきます。そしてこの後もお料理が続きます。

黒部の山々が、薄く雪化粧をすると富山湾のずわい蟹漁が最盛期を迎えます。婦人画報「美食の湯宿・活蟹会席」で紹介されました。

霎時施(こさめ ときどきふる)

<黒部川扇状地から後立山連峰を望む>

10月29日から七十二侯は「霎時施(こさめ ときどきふる)」で、二十四節気「霜降」の次侯にあたる。霎(こさめ)は小雨ではなく通り雨で、時雨(しぐれ)のこと。一雨毎に気温が下がり、冬が近づく頃という意味。一雨毎に温度が一度下がる「一雨一度」とはよく言ったものだ。

秋晴れの下、黒部川河川敷から上流を望むと初冠雪を戴いた後立山連峰が白く輝いている。富山県と長野県の境をなしている連山である。左から白馬岳(2932m)、旭岳(2867m)、清水岳(2603m)の峰々で、右奥の鹿島槍ヶ岳(2889m)と連なる。いずれも黒部川を育む名座である。

秋時雨は、冬支度を始める合図で、黒部川の支流ではサクラマスの産卵が始まっている。黒部峡谷鉄道の最終駅である欅平付近は標高600mで、今が紅葉真っ盛り。黒部峡谷紅葉前線は、約10日かけて宇奈月温泉へと降りてくる。いよいよ山装う季節に入る。