白鬚草(シラヒゲソウ) ユキノシタ科

<レースで作られたような花を咲かせる白髭草>

白髭草(シラヒゲソウ)は、宇奈月の山地の湿った陰地に自生するユキノシタ科の多年草です。今年も限られた場所にひっそりと咲いています。かつては林縁でよく見かけましたが、最近は絶滅に近い状況です。

葉は、やや丸いハート型で茎を抱くようについています。茎は分岐することなく直立で、茎頂に白い花を1個つけます。和名は、白い5個の花弁の縁が、糸状に細裂している形状を白髭に見立て、白髭草と名付けられました。

可憐でレースのように織り込まれた複雑な白い花は、自然の造形美を魅了してくれます。

山萩(やまはぎ) マメ科

<秋の深まりを感じさせる山萩>

山萩(ヤマハギ)は、宇奈月の山野に自生する、マメ科の落葉低木です。古名で鹿鳴草とも書きました。

高さは2m前後で、枝は細く多数分岐しますが、全体に繊細な感じがします。葉は楕円形でやや薄く、3小葉からなる複葉で、裏面には伏毛があります。

9月、まばらに葉より長い総状花序に、明るい紅紫色の細長い蝶形花をつけます。

水引(みずひき) タデ科

<林内に咲く水引>

水引(ミズヒキ)は、宇奈月の林道の縁に生えるタデ科の多年草です。

茎は直立して高さ50~80cmあり、まばらに分岐します。葉は互生し広楕円形です。茎の先から花穂を伸ばして花径4mmほどの小花を総状につけます。花柄に節があり花は横むきに咲き、花被片は4か所深裂し、上の3個は赤で下の1個は白くなっています。

開花の色彩が紅白なので水引と名付けられたようです。

玄鳥去(つばめ さる)

<セレネで上演された、青い鳥>

9月18日から七十二侯は「玄鳥去(つばめ さる)」で二十四節気の「白露」の末侯にあたる。春に日本にやってきた燕が暖かい南の国へ帰る頃という意味。

20日は秋彼岸の入り。暑さ寒さは彼岸までの言葉通り、燕の渡りが始まる。燕がやってくるのは七十二侯の「玄鳥至(つばめ きたる)」で、今年は4月5日だった。宇奈月温泉で飛び交う燕は、岩燕で尾羽が短くやや小型。

岩燕が去る頃、温泉街では毎年、宇奈月モーツアルト音楽祭が行われる。今年は9月14日から16日の3日間行われ、温泉街がモーツアルトの調べに包まれた。豊かな自然に恵まれた、山あいの出湯ならではの情緒である。

8月23日から行われている、国際的な舞台芸術の祭典「第9回シアター・オリンピックス」はロシアとの共同開催で、9月23日まで行われる。今年から宇奈月国際会館「セレネ」は、鈴木忠志氏の粋な計らいによって会場の一つに加えられた。

セレネでは田渕俊夫画伯の展覧も10月14日まで開催されているので、質の高い芸術がまだまだ楽しめる。祭典が終わると、秋が深まり月影さやかな時季を迎える。

雄山火口(オヤマボクチ) キク科

<大型の花でアザミに似る>

雄山火口(オヤマボクチ)は、宇奈月の山の日当たりのいい斜面に、直立して生えるキク科の多年草です。

花が暗紫色になると茎は紫色になります。茎は直立し、高さ1~1.5mになり、上部で分岐します。根葉は楕円状卵型で、裏側には白い綿毛が密生しています。

この綿毛を火打石の火花を移す火口(ほくち)に使った所から和名の由来となっています。葉が牛蒡の葉と似ているので、ヤマゴボウとも呼ばれ、根は漬物として、若葉は草餅に使われます。信州では蕎麦のつなぎとしても使われるそうです。

9~10月、茎頂に暗紫色の頭花を、横向きまたは下向きに開きます。すぐ近くに大型の立薊も花を開かせ、秋の深まりを感じさせます。

巴塩竃(トモエシオガマ) ゴマノハグサ科

<スクリュー型の花を咲かせる>

巴塩竃(トモエシオガマ)は、宇奈月の亜高山帯の沢沿いや草地に生える、ゴマノハグサ科の多年草です。塩竃菊の変種となります。

茎は30~50cmで、茎先にスクリュー型の花を咲かせます。花は紅紫色で、横に巴型に咲きます。葉は長く縁に鋸歯があります。

原種の塩竃菊は茎の途中から花が出ますが、巴塩竃は茎頂にしか花が出ません。高山に見られる四つ葉塩竃も同じ種類です。

大文字草(ダイモンジソウ) ユキノシタ科

<大文字の形の花を咲かせる>

大文字草は、宇奈月の山地の湿った所に生息するユキノシタ科の多年草です。

葉は根生して、葉柄を持ち掌状の葉身が付きます。 20cm以上に伸びる花径を出し、先に集散花序を付けます。萼は小さく、5個の白い花弁の内上部の3枚は小さく、下部の2枚が細長く、全体が「大」の字に似ているので和名の由来となっています。

早咲きのものは、7月頃から見ることができます。

麝香草(ジャコウソウ) シソ科

<長い唇形の花冠が特徴の麝香草>

麝香草(ジャコウソウ)は、宇奈月の山の谷間の木陰に生えるシソ科の多年草です。

茎は、シソ科特有の方形で高さ60~100cmぐらいになり、ほとんど分岐することなく、多くは斜めに生えます。

葉は対生し、短い葉柄があり、葉身は長楕円形で先が長く鋭く尖っています。縁は上部の部分で鋸歯があり、基部はやや細くなって鋸歯がなく耳状心形になっています。

花は、上部の葉腋にでる短い柄の先に3、4個ずつ付け一方向に向いて開きます。花冠は淡紅色で、筒部は長い唇形で上唇は短く、下唇が3裂し中央部の裂片は長くなっています。

全草に芳香があることが和名の由来となっています。 伊吹麝香草も同じ仲間です。

吐切豆(トキリマメ) マメ科

<大きな3枚の葉が特徴です>

吐切豆(トキリマメ)は、宇奈月の山野に生える蔓草で、他の植物の枝や茎に絡みつく、マメ科の多年草です。

茎は細い針金状で、長く伸びます。葉は互生し、長い葉柄の先に3出複葉をつけ、小葉は長卵形で短い柄があります。花は、黄色で葉腋から短い総状花序を出して、花冠は蝶の形をした数個の蝶形花をつけます。

萼は、筒状で5裂し、旗弁は幅広く、龍骨弁は細長くなっています。龍骨弁とはマメ科の植物特有の蝶形花の下方の二花弁のことで、左右から接して雄蕊と雌蕊を包みます。

唐糸草(カライトソウ) バラ科

<高山帯に咲く紅色の唐糸草>

唐糸草(カライトクサ)は、宇奈月の高山帯に生える、バラ科の多年草です。茎の高さは、40~80cmで直立して、上部で分岐し、葉はまばらに付きます。

根出葉の小葉は9~13個で、下面は少し白色を帯び鋸歯があります。茎葉は小形で毛があります。枝先に大形の紅紫色の穂状花序をつけて垂れ下がる。花弁がなく長い糸状の花糸は紅紫色で美しい。

唐糸は絹糸のことで、長く伸びた花糸が絹糸のように美しいので、名前の由来となりました。