白楽梅形向付

<白海老湯葉巻>

2月8日から七十二侯は、黄鶯睍睆(こうおう けんかんす)で、二十四節季の立春の次候となります。春を告げる鶯が鳴く頃と言う意味です。その年の最初に聞く鶯の声が初音です。

強い寒気が流れ込む時期ではありますが、各地の象台が、梅の開花宣言を発表するのもこの頃です。 梅の香りを思い浮かべながらいただく一品は、白えびの湯葉巻です。程よい塩梅の延楽特製の煎り酒で合わせていただきます。合わせる地酒は、千代鶴酒造の恵田です。

季節のうつわは「白楽梅形向付」です。
白楽は、赤楽、黒楽に対しての呼称です。香炉釉など白釉を使用したものと、白土の胎土に透明釉をかけたものとがあります。香炉釉とは楽焼に使われる白釉の一です。白い失透釉で荒く貫入が入るのが特徴です。楽家二代常慶によって始めて使用されました。

染付市松小付

<鮮やかな市松模様>

小付は、小鉢より一回り小さな鉢のことを言います。
形は丸形、角形が基本ですが、丸形でも花の形をあしらった菊花、輪花、木瓜など様々な形があります。
山海の珍味を入れるのに適しています。いろんな色の組み合わせで楽しめます。

季節のうつわは「染付市松小付」で乾山写しです。
小さいながらもしっかりと市松模様が描かれています。

鬼外福内七寸皿

<節分と立春の前菜>

2月3日は節分です。二十四節気の「立春」は節分の翌日になります。
旧暦では1年の始まりとされていて、春の兆しが少しずつ現れ始めます。
寒さのピークもここまでで、まさに立春大吉です。

季節のうつわは「鬼外福内七寸皿」で節分と立春に使います。
福は内側に描かれ、鬼の顔は外側に描かれています。
鬼の角は、皿の内側に描かれているユーモアのある器で、こういう遊び心に福がきます。節分は季節の変わり目の邪気払いです。悪いウイルスも一緒に払いましょう。

東風解氷(はるかぜこおりをとく)

<日足が伸びて、春めく黒部の山>

2月3日から二十節気は「立春」を迎えます。立春は冬が極まり春の気配が立ち始める日とされ、一年の始まりの節気でもあります。旧暦の元旦は立春に近い新月の日で、正月を新春、初春と呼ぶのはこの名残です。

この日から立夏の前日(5月4日)までが春となります。立春は、あらゆる節日の基準日となります。おわら風の盆に謡われる二百十日は、立春から数えると9月1日になります。八十八夜も同様で暦に記して農作業の目安としました。

七十二侯の始まりは、「東風解氷(はるかぜこおりをとく)」で二十四節気「立春」の初侯となります。東風とは春風のことで東から温かい風が吹き、張り詰めていた氷を溶かし始める頃という意味です。今日から日足が伸びて木々も次第に芽吹き始め、春の兆しが少しずつ現れる頃です。禅寺では早朝に立春大吉と書いた厄除けの紙札を貼って、邪気を払います。

銀彩色絵水玉紋角皿

<富山湾の幸は銀彩に映えます>

大陸からの寒波到来で、富山県内は2日続けての雪です。露天風呂からの雪景色は至福の時です。大寒の富山湾で水揚げされる魚は、ますます身がしまってきます。
本日の活鮮は津和井蟹、富山海老、アラ、寒鰤です。

季節のうつわは「銀彩色絵水玉紋角皿」です。
富山湾の幸は、銀彩に美しく映えます。

銀彩とは、銀箔や銀泥使って加飾する技法です。石川県立美術館蔵の色絵銀彩雉香炉は、17世紀後半に、京都小室焼の野々村仁清が銀泥を用いた銀彩の代表作です。
銀は酸化しやすく黒ずんでくるので、今日では透明度の高い淡い青釉や萌黄釉の釉下に、銀箔文様を貼り付けて施釉する釉裏銀彩の技法も行われています。