黒部峡谷・黒薙

<黒薙川に架かる後曳鉄橋>

6月1日より黒部峡谷鉄道の営業が開始されます。例年より1か月遅れの運転です。 今は、新緑が最も美しい時期です。とりわけ黒部峡谷・黒薙駅から見る後曳鉄橋は萌黄色の木々に包まれ、その直下には深く切り立った峡谷があります。黒薙は、宇奈月温泉から7km上流に位置し、黒部峡谷鉄道の宇奈月駅から3つ目の駅で所要時間は20分です。

深い峡谷を有する黒薙川は、黒部川の最大支流で清冽で豊富な雪解け水が激流となって流れています。上流には2つの大きな谷があります。一方は犬ケ岳、長栂岳、朝日岳を源流とする北又谷と、もう一方は雪倉岳を源流とする柳又谷に別れ、いずれも後立山連峰の名峰の雪解け水が集まって、黒薙川となります。

宇奈月温泉の源泉は、黒薙温泉で温泉井戸は黒薙川の両岸にあります。ここには鄙びた旅館1軒があり、源泉を守ってきました。この川沿いには巨大な岩石をそのまま利用した大露天風呂があり、温度調整は川の雪融け水を引いて行います。大自然に包まれた野趣あふれる黒薙温泉は、隠れた人気スッポットです。女性専用の露天風呂は旅館内にあり、切り立った峡谷と激流を湯船に浸かりながら肌で感じることができます。まさに別天地です。

ご希望であれば延楽館主がガイドします。要予約です。

虫狩(ムシカリ) スイカズラ科

<亀の甲羅に似た葉は、虫食いが多い>

虫狩(ムシカリ)は、宇奈月温泉の落葉樹林内に多く見られるスイカズラ科の落葉低木です。雨上がりの林の中で、清楚な白い花を咲かせます。

葉は大きな円心形で葉脈が深く目立ちます。短枝の枝先に、大きい装飾化のある散房花序をつけます。花序とは花をつける茎の部分の総称や花の並び方をいい、散房とは花序の上の面が平らになったものをいいます。

和名の由来は、虫食いの葉が多いところからきています。葉の形を亀の甲羅に見立て別名、大亀の木(オオカメノキ)とも言います。秋には赤い実をつけ、虫食いの照り葉とあわせてお茶会に使われます。

白雲木(ハクウンボク) エゴノキ科

<雨上がりに、ひときわ白さが眩しい白雲木>

白雲木(ハクウンボク)は、宇奈月の山地に生えるエゴノキ科の落葉高木です。

葉は大きく卵円形で、裏側は密毛があって白く、葉柄の基部は膨らんで冬芽を包んでいます。新枝の先に長い総状花序をつけます。柄のある白色の5深裂した筒状の花を多数垂下します。

満開の白い花を白雲に見立てたことが、和名の由来となっています。

空木(ウツギ) ユキノシタ科

<夏の訪れを知らせる卯の花>

 空木(ウツギ)は宇奈月の山道の斜面でよくみられるユキノシタ科の落葉低木です。

葉は対生で楕円形になり、先は長くとがり縁には微細な鋸歯があります。 花は、短い枝の先端に円錐花序を付け開花します。 花序は、白色の花弁を5個持ち長楕円形です。 文部省唱歌「夏はきぬ」で歌われている卯の花です。

枝の中に幾分か空洞があるので空木と名付けられました。空木(ウツギ)は 姫空木(ヒメウツギ)よりやや大形で、葉や若枝に星状毛があり、ざらつきがあります。姫空木(ヒメウツギ)は、葉が薄く滑らかです。 よく似ているので見分けが難しいです。

深山莢蒾(ミヤマガマズミ) スイカズラ科

<全部が開花すると雪が積もったようになる>

深山莢蒾(ミヤマガマズミ)は、宇奈月の山地の樹林内や林縁に自生するスイカズラ科の落葉低木で高さは、2~4mになります。

幹は叢生して、まばらに分岐し若枝、葉の裏面、花序に星状毛が見られます。葉は単葉で対生し、葉身は倒卵状円形で托葉はありません。葉の表面は緑色で無毛で裏面は淡緑色です。花は新枝に散房花序を出し、多数の小白花を開かせます。

ガマズミは古くは万葉集に詠われています。「真鳥住む卯名手の神社の菅の根を衣に書きつけ服せむ児もがも」と、菅の根はミヤマガマズミのことで、赤く熟した果実を衣類の摺り染めに用いたようです。果実酒としても使われています。

鳴子百合(ナルコユリ) ユリ科

<鳥が羽ばたくような形です>

鳴子百合(ナルコユリ)は、宇奈月の山地の林内に自生するユリ科の多年草です。茎は、円形柱で上部は弓状に曲がり、稜角がなく滑らかなです。アマドコロとの相違点でもあります。

葉は披針形で互生し、主脈、側脈がはっきりしています。花は葉腋に散房状に下垂させ、花筒は緑白色です。和名は、花の垂れ下がった様を鳴子に見立てたことによります。根茎を乾燥させたものが生薬の黄精で、滋養強壮の効果があります。


白糸草(シライトソウ) ユリ科

<木陰で、清楚に咲く白い花は、白糸草>

白糸草は、宇奈月の山地の木陰や渓流沿いの岩場などに生えるユリ科の多年草です。

倒披針形の根出葉をロゼット状に叢生します。20cmから50cmに伸びた花径には線状披針形の小葉を多くつけ、上部は穂状花序となり、多くの白色小花が芳香を漂わせて清らかに美しく咲かせます。

花穂全体に、白い糸状の花被がまっすぐ伸びているの様子から、和名がつけられました。別名、雪の筆とも呼ばれています。美しい純白に清楚さが感じられます。

紅花栄(べにばなさく)

<雪を纏った山々が美しい黒部川扇状地を走る>

5月26日から七十二侯は「紅花栄(べにばなさく)」で二十四節気「小満」の次侯にあたる。

紅花が色付き、黄橙色から艶やかな紅色へと変わる頃という意味。小満は、陽気盛んにして万物ようやく長じて満つということなので、紅花の濃厚な色合いは夏らしさを感じさせる。

この時期に、カーター記念「黒部名水マラソン」が行われる。公認フルマラソンで黒部川扇状地、黒部川湧水群、黒部の海岸線を走る。文字通り山、川、海を満喫できる北陸を代表する自然豊かなマラソンコースである。

37年前に、当時のアメリカ大統領ジミー・カーター氏がYKKの招待で黒部に訪れられた際、黒部の田園地帯をジョギングされたのが始まりで、今回で37回目を迎える予定であったが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大により中止となる。特にフルマラソンの参加者は、回数を重ねるごとにリピータの方が増え、質の高い内容となっていただけに残念である。

白花空木(シロバナウツギ) ユキノシタ科

<まれに白花のタニウツギがある>

白花空木(シロバナウツギ)は宇奈月の山道の則面に生えているのが、まれに見られるユキノシタ科の落葉低木です。

葉は、谷空木と同様、対生で楕円形になり、先は長くとがり縁には微細な鋸歯があります。 花は、新枝の先端や葉腋に散房花序を出し、2から3個の花をつけます。 花冠は白色で筒状鐘形で上部が次第に膨らんで先は5裂しています。枝の中に幾分か空洞があり、白色なので和名の由来となっています。

原種は北海道や日本海側に多く見られます。そのほか宇奈月には沢山のウツギの種類が見られます。

熊苺(クマイチゴ) バラ科

<花弁と花弁の間が離れている>

熊苺(クマイチゴ)は、宇奈月の日当たりのよい山地の荒れ地などの生える、バラ科の落葉低木です。杉林を伐採した翌年によく生えます。

茎や枝は赤紫色で無毛ですが、棘が直角に横に出ます。葉は広卵形で掌状に3~5裂し互生します。縁には不揃いな重鋸歯があり、質はやや厚く裏面脈上には細い毛と棘があります。葉柄にも棘と軟毛があります。

花は5花弁白色で細く、花弁と花弁の間に隙間があります。果実は多数の核果が集まった集合体で、完熟すると赤色から黒くなり、食べることができます。核果の先は尖っています。