雉始雊(きじ はじめてなく)

<宇奈月温泉の左義長>

1月15日から七十二侯は、「雉始雊(きじ はじめてなく)」で二十四節気「小寒」の末侯。雉子の求愛が始まる頃という意味。

雉の雄は雌を呼び込むために甲高い声で鳴きます。宇奈月温泉周辺はこれから雪の日が続くが、雪の少ない下流の黒部川扇状地では雉の求愛行動が活発化する。今日は松の内の終わりの日。松の内が終わるのは地域によって異なるが、延楽は1月15日。正月飾りを取り外して左義長の日まで大切に保管する。

2月2日は宇奈月温泉雪カーニバルが行われ、花火の点火に先駆けて宇奈月公園で左義長が行われる。炎が勢いよく空に舞い上がり、歳神様もその炎に乗って天に帰るとされる。竹の炸裂音からどんど焼きとも言う。

水泉動(しみず あたたかをふくむ)

<水鳥が飛来する黒部川>

1月10日から七十二侯は、「水泉動(しみず あたたかをふくむ)」で、二十四節気「小寒」の次侯。

地中で凍った泉が溶けて動きだす頃と言う意味。元となった中国の宣明暦では「鵲始巣」で、鵲(かささぎ)が巣を作り始める頃という意味。宣明暦は平安時代初期に中国から輸入された暦で、唐の徐昴によって作られた。その後、江戸時代に大統歴、貞享歴と変わり、宝暦4年(1754年)、渋川春海によって日本初の宝暦歴に改められた。併せて七十二候も日本の気候風土に合うように改定された。

11日は鏡開き。鏡餅の割れが多いとその年は豊作になると言われる。小寒に入ると雪の降る日が続くのだが今年は穏やかな日が続く。部屋から眺める黒部川では水鳥が水の流れに乗って移動していくのが見える。本格的な寒さこれからである。

芹乃榮(せり、すなわちさかう)

<小寒の雪景色>

1月6日から二十四節気は「小寒」に入る。この日から節分までを「寒の内」。節分の翌日は立春で「寒の明け」迎える。

それまでは厳しい寒さが続き、「小寒の氷、大寒に解く」と言う故事があるほど寒さは一層厳しくなる。

地元の酒造会社では新酒の仕込みが最盛期を迎える。杜氏や蔵人が朝早くから作業に精を出す。

七十二侯は、「芹乃榮(せり、すなわちさかう)」で二十四節気「小寒」の初侯。

厳しい寒さが続くが田んぼや水辺では、芹が生え始める頃という意味。芹は春の七草の一つで、正月7日に七草粥を食べると一年の邪気を祓うとされる。

6日は黒部市消防団の出初式。早朝より消防訓練のサイレンが山間の温泉街に響く。本年は自然災害のない平穏な年でありたい。

雪下出麦(ゆきわたりて、むぎのびる)

<正月の室礼>

1月1日から七十二侯は「雪下出麦(ゆきわたりて、むぎのびる)」で二十四節気「冬至」の末侯にあたる。

降り積もった雪の下で麦が芽を出し始める頃という意味。

延楽ロビーの正月飾りは、地酒の菰樽に鏡餅を飾りその上に伊勢海老を頂くという創業時からの形である。

歳神様をお迎えする際の目印となる特大の門松も飾り付ける。

新春延楽ギャラリーは、延楽ゆかりの作家の作品を展示。

横山大観「旭日」、安田靫彦「白梅」、中川一政「良寛手毬図」。

これからも受け継がれる旅館のお正月の室礼の一コマである。

麋角解(さわしかのつのおつる)

<門松の飾り付け>

12月26日から七十二侯は「麋角解(さわしかのつのおつる)」で二十四節気「冬至」の次侯にあたる。

牡鹿は、繁殖期が過ぎると角が根元から抜け落ち春になると新しい角が生え代わる。

麋(さわしか)の角が抜ける頃という意味。七十二侯は中国から入ってきたので麋(さわしか)とは、かつて中国に生息していた麋鹿(びろく)とも言われている。

今年もあとわずか。

例年よりも雪が少ない。

暮れになりやっと大陸からの寒気団が日本列島を包み込んで、冬型の気圧配置となる。

旅館は新年に向けての準備であわただしくなる。

今日玄関に早々と門松を立てる。

今年は、自然災害の多い年でした。

来る年は穏やかな年でありますように。

乃東生(なつかれくさ しょうず)

<宇奈月温泉スキー場開き>

12月22日から二十四節気は冬至に入る。

1年で最も昼が短い日。「冬至、冬中冬初め」といわれるように冬至は、冬の真ん中で真冬の始まりでもあり、この日を境に太陽が復活を始める。

故に冬至を「一陽来復」といい、物事が良い方向に向かうとされる。

七十二侯は「乃東生(なつかれくさしょうず)」で二十四節気「冬至」の初侯にあたる。

乃東(なつかれくさ)は冬に芽を出して夏に枯れる夏枯草(かごそう)のことで、この芽がでる頃という意味。

夏枯草(かごそう)は、宇奈月の山野に自生するシソ科の多年草の靫草(うつぼぐさ)。

花は紫色の小花で、直立した茎の先端の密な円柱状の花穂につく。

この枯れた花穂が夏枯草で、古くから漢方薬として用いられる。

冬至の初侯「乃東生(なつかれくさしょうず)」は、夏至の初侯「乃東枯(なつかれくさかるる)」と対になっている。

12月23日は宇奈月温泉スキー場開き。

昨年は山の斜面は雪に覆われ、パウダースノーの最高の滑走面であった。

今年は雪が無く年末の寒気団に期待するところである。

宇奈月の山路では乃東(なつかれくさ)の芽が出ようとしている。

鱖魚群(さけのうお むらがる)

<雪解け水の多い春の愛本堰堤>

現在の愛本堰堤は、昭和44年に流されて同48年に築造され、新たに魚道が設けられた。

黒部川は急流河川で流出土砂も多く、その土砂で魚道が度々埋まり今年も機能しなかった。

故に今年も宇奈月温泉の周辺で鮭の遡上が見ることができなかった。ところが桜鱒は年々数が減少しているものの、支流で確認できる。

桜鱒は最上の鱒ずしに使用される鱒である。桜鱒は春に海から遡上する。春の黒部川は雪解けで水が増水し、急流となって川幅一杯に流れる。

堰堤が隠れるほどの大量の水で遡上が可能になる。

桜鱒は、夏の期間は深い淵に潜み、山の木々が色づく10月下旬から11月中旬にかけて産卵する。

孵化した稚魚は降海型と河川残留型に分かれ、降海型は3年かけて桜鱒となって黒部川に帰ってくる。

河川残留型は山女魚となる。

黒部川ではその稚魚を守るため2月の末まで禁漁となる。

熊蟄穴(くま あなにこもる)

12月12日から七十二侯は「熊蟄穴(くま、あなにこもる)」で二十四節気「大雪」の次侯にあたる。

熊が冬眠のため穴にこもる頃という意味。

例年この時季は、シベリアから寒気団が南下し北陸に大雪をもたらす。

今年は寒気団の勢力が今のところ弱く晴れ間が多い。

本格的な降雪は「冬至」に入ってからと予測される。

北陸新幹線が新潟県、富山県の県境のトンネルを抜けて朝日町の平野部に出ると、その眺めに圧倒される。

左手には新雪に輝く北アルプス、右手には能登半島と富山湾の景色が広がる。

3千メートル級の黒部の名座と、富山湾の深海との高低差は4千メートルもある。

新幹線の車窓から眺めるパノラマは、絶景である。

閉塞成冬(そらさむく ふゆとなる)

12月7日から二十四節気は「大雪」に入る。

山の端は、紅葉から紫色に変わり、夜半の冷え込みで霧氷に覆われる。

七十二侯は「閉塞成冬(そらさむく、ふゆとなる)」で「大雪」の初侯にあたる。

天も地も寒さで塞がれ、本格的な冬到来の頃という意味。

宇奈月の山々は雪化粧をして、所々見える名残の紅葉が季節の移ろいを感じさせる。

季節は真冬へと向かってゆく。

富山湾では鰤、蟹は元論のこと、真鱈や鮟鱇も旬を迎え、鍋の美味しい季節を迎える。

橘始黄(たちばな はじめてきばむ)

<寒ブリの造り>

12月2日から七十二侯は「橘始黄(たちばな、はじめてきばむ)」で二十四節気「小雪」の末侯にあたる。

師走に入り、橘が黄金に輝く実をつける頃という意味。

橘とは蜜柑や柚子などの食用になる柑橘類の総称でもある。

宇奈月ダムから見る山々の稜線は白く輝いている。

12月1日、富山湾で水揚げされブランド魚「ひみ寒ぶり」の出荷宣言が出された。

昨年より1日早く、氷見漁港では丸々と太った695匹の水揚げがあった。

いよいよ寒ブリの旨いシーズンの到来である。

例年この時期は「ブリ起こし」の季節で、天地を轟かす雷が鳴るのに今年は全く聞こえない。

寒気の南下が弱く大気が比較的安定しているからである。

故に11月に強い北風が吹く日が少なく、宇奈月周辺の紅葉も長持ちしている。

紅葉と寒ブリと「勝駒」純米吟醸の取り合わせも味わい深い。