日光黄菅(ニッコウキスゲ) ユリ科

<宇奈月・僧ケ岳登山道で撮影>

日光黄菅(ニッコウキスゲ)は、正式名称は禅庭花(ゼンテイカ)のことで、宇奈月の亜高山の湿原や草地に生えるユリ科の多年草です。

地下茎は短く、所々に肥大部があります。葉は2列に扇状に出て、上半部は湾曲して垂れます。花茎は、上部で分岐して花序を作り、分岐点の上に苞を付けます。花は百合状で、花被片6個からなり、橙黄色で、朝方に開花すると夕方には萎んでしまう一日花です。

和名は、日光に多く分布し、花が黄色で葉が笠菅(カサスゲ)に似ていることに由来します。

黄釣舟(キツリフネ) ツリフネソウ科

<全草がみずみずしい>

黄釣舟(キツリフネ)は、宇奈月の山地の渓流沿いや湿った林内に生息するツリフネソウ科の一年草です。

茎は、50cm前後で軟らかく、多汁質で直立します。葉は互生し、長楕円形で薄く粗い鋸歯があります。葉腋から細い花柄を出し3~4個の花を吊り下げます。萼片、花弁ともに鮮やかな黄色で、下の萼は後ろに距を突き出し、下に曲がる花弁の内側に赤褐色の斑点があります。距の先が巻くのが釣舟草で、巻かないのが黄釣舟です。

果実は細長く、触れると中から種子が勢いよくはじけ飛びます。紅紫色の釣舟草は、二十四節気の処暑に入ると花をつけます。

蕺草(ドクダミ) ドクダミ科

<身近な花でも美しさ再発見>

蕺草(ドクダミ)は宇奈月の道端等に自生しているドクダミ科の多年草です。 全草に臭気があります。

茎の高さは、20~50cmで黒紫色を帯びて直立します。葉は卵状の心臓形で鋸歯がない全縁でまばらに互生し、裏面は紫色を帯びます。葉柄の基部に托葉を付けます。茎頂に4枚の白色の総苞のある円柱状の花序に、黄色の花穂を密生させます。 花穂には花弁も萼もなく、雄しべと雌しべのみから成り立ちます。

葉は加熱すると臭気が弱まるので天ぷらとして食されたり、乾燥させてドクダミ茶として飲まれます。 中国やベトナムでは香草として大切にされています。 この香草には、殺菌や止血などの優れた薬効を持っているところから民間治療薬として活用されてきました。

身近にある花ですが、十字状に見えるので一輪挿しや掛け花に合います。和名は、毒下しの薬効があることに由来します。

向付 青白渦文

<地元作家の作品>

 富山は明治、大正期に手作りのガラスの薬瓶製造が盛んで、多くのガラス職人がいました。今も多くの作家が活躍しています。料理は、季節感が大切です。ガラスの器には料理を生かしてくれるものが数多くあります。滞在のお料理によく使います。

延楽匠膳の2泊目の小付は、焼鮎と糸瓜素麺です。焼鮎で取った旨味出汁でお召し上がりください。季節の器は、地元作家の作品で、「硝子向付、青白渦文」涼しげな器です。

四葉鵯花(ヨツバヒヨドリバナ) キク科

<亜高山に咲く四葉鵯花>

四葉鵯花(ヨツバヒヨドリバナ)は、宇奈月の亜高山帯の草地や林縁に生えるキク科の多年草で、別名は車葉鵯(クルマバヒヨドリ)ともいいます。

茎は直立して分岐せず高さは100cm前後になります。葉は長楕円形で3~4個が輪生して葉柄がなく鋭い鋸歯があります。茎頂の散房状花序に淡紅紫や白色の頭花を密に付けます。各頭花は管状花からなります。

和名は、葉が4個輪生し、鵯の鳴く頃に開花することに由来します。

土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)

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<見頃を迎えた球紫陽花(タマアジサイ)>

7月27日から七十二侯は、「土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)」で二十四節気「大暑」の次侯にあたる。溽暑(じょくしょう)とは湿気が多く、蒸し暑い状態のことを表す。梅雨の湿気を帯びた大地に、強い日差しが照りつけて蒸し暑くなる頃という意味。

昨年は、7月24日に梅雨が明けたが、今年は未だ梅雨明け宣言が出ていない。曇りの日でも、溽暑(じょくしょう)の日が続き雪解けが進む。黒部奥山の雪形は、日々小さくなる。

黒部川の水量は例年に比べると少なく、宇奈月ダムからは水が流れていない。黒部川本流の流れは、ダム直下にある宇奈月発電所の発電機を回し終えた水が放出され、本流の流れを作っている。

早朝の山から吹き下ろす風は冷たく心地良い。やまびこ遊歩道の球紫陽(タマアジサイ)が見頃を迎えた。雨上がりの薄紫の紫陽花は、幾分かの涼しさを与えてくれる。蕾の形が和名の由来となっている。

深山唐松(ミヤマカラマツ) キンポウゲ科

<柔らかな淡緑色の葉と淡紅色の花は貴賓があります>

深山唐松(ミヤマカラマツ)は、宇奈月の深山の湿り気のある林の縁に生えるキンポウゲ科の多年草です。

細くて硬い茎は、30~80cmになります。根生葉は一株から一枚出て2回、3回3出複葉で長い柄があります。小葉は長楕円形で浅裂し質は薄く、下葉は粉白色で縁には鈍い鋸歯があり、葉先は徐々に細くなります。 茎葉は2~3枚付き、上部のものは単葉となります。

唐松草より小形で、葉柄の基部に托葉がないので見分けが付きます。花は茎頂に散房状につき、白色で希に淡紅紫色の花も見ます。

唐松草(カラマツソウ) キンポウゲ科

<托葉があるのが唐松草>

唐松草(カラマツソウ)は、宇奈月の亜高山で谷から冷たい風が吹き上げる稜線の草原に生るキンポウゲ科の多年草です。

茎は高さが70cm前後で直立し、唐松草の仲間では大型で、無毛で蝋のような感触です。 葉は、3出羽状複葉で3~4回分かれています。小葉は倒卵形で3浅裂し、葉質は薄く裏面は緑白色で短い葉柄があります。 イタドリの繁みの中で、葉に陽光が当たると美しい柔らな萌黄色が浮かび上がります。

花は、茎の先端や枝先につく複散房状の花序につき、蕚片が広楕円形で開花後落ちます。 雄しべは多数あって花糸は白色で棍棒状に膨らみ唐松ように見えます。 これが和名の由来となっています。

玉川杜鵑(タマガワホトトギス) ユリ科

<草叢の中に生えるホトトギス>

玉川杜鵑草(タマガワホトトギス)は、宇奈月の深山の湿り気のある木陰に自生するユリ科の多年草です。 萌黄色の葉と黄色の花のコントラストが美しく、宇奈月僧ヶ岳登山道の落葉樹林縁で見かけます。

葉は、広楕円形で先が尖り、基部は茎を抱き、葉脈がはっきりしています。7~8月、茎頂に散房花序を出し黄色の花をつけます。花柄には腺毛が密生し花の内側に紫紅色の小斑点があります。杜鵑の胸のあたりの模様に似ているところから和名が付けられました。

冠の玉川の由来は、京都木津川支流の玉川で、 玉川堤は、山吹の名所として知られ、奈良線の玉水駅の近くにあります。 古くは奈良時代に遡り、橘諸兄がこの近くに邸を構え、万葉集に山吹を数多く詠っています。平安時代には歌枕の地となり、玉川と言えば山吹を連想するようになりました。 黄金色を山吹に見立て、玉川を連想して和名を付けるところは、日本人の自然を愛しむ心の現れです。