紅花栄(べにばなさかう)

<田植の準備ができた黒部川扇状地>

5月26日から七十二候は「紅花栄(べにばなさかう)」で二十四節気「小満」の次候にあたります。紅花が色付き黄橙色から艶やかな紅色へと変わる頃です。

小満は、陽気盛んにして万物ようやく長じて保つという事なので、草木には一段と生気がみなぎり、万物が次第に色味を増してきます。特に紅花の濃厚な色合いは夏らしさを感じさせます。この時期の天候も色で表現されます。やや強い南風は青嵐、雨は翠雨、緑雨、青雨と森羅万象すべて緑緑で、その濃淡のグラデーションを楽しませてくれる季節でもあります。

染付魚藻文五寸皿

<春の味覚・桜鱒とアスパラ>

生地の漁港に桜鱒が水揚げされています。脂が乘っていて美味です。一旦、冷凍をかけてお造りとしてお出しします。ちり酢で召し上がっていただきます。延楽・雅膳の一皿です。

季節のうつわは「染付魚藻文五寸皿」です。魚藻文とは、水中植物が揺れ動く水辺に、魚が泳ぐ姿を描いた文様のことです。中国元・明代に多く作られました。魚の中国語音が「余」に通じ富や豊かさを表し、「藻」は魚が隠れる場所で安全な家をを表すので、吉祥文となります。

透割山椒(すかしわりざんしょう)

<常滑焼>

黒部の山々の山菜は、春の香りを届けてくれます。深山の雪渓の雪の消え際は、常に春で、山野草や山菜が芽を出します。雅膳の一皿は、才巻海老と山菜の和え物です。

季節のうつわは「透割山椒」です。常滑焼で、四代山田常山の作品です。常滑焼は、日本六古窯の一つで、平安時代の後期に誕生しました。知多半島で採れる鉄分を多く含んだ陶土を使っています。作品は、詫びた風韻と自然釉の味わいが見事な焼き締めで、料理が映えて使いやすい器です。