黒部ダムの観光放水が6月26日から始まりました。高さ186mの壁から毎秒7.5トンずつ合計15トンの水が吹き出し豪音と共に黒部川に流れ落ちます。10月15日まで毎日実施されます。
2020年6月
岡虎の尾(オカトラノオ) サクラソウ科

岡虎の尾(オカトラノオ)は、宇奈月の陽当たりのいい原野に自生するサクラソウ科の多年草です。
地中に長く地下茎を伸ばして増えていきます。葉は長楕円状披針形で、先端は尖り互生します。花は、茎の上部に一方に傾いた総状花序をつくり、多くの白い花を密に付けます。花冠は5片に裂けています。
和名は花穂を虎の尾に見立てたことに由来します。
鳥足升麻(トリアシショウマ) ユキノシタ科

鳥足升麻は、宇奈月の山地の林内や草地に自生しているユキノシタ科の多年草です。この花が属するチダケサシ属は、変異が多く地域によっていくつかの変種があります。
根茎は太く塊状で直立し、丈は60cm内外になります。葉は2~3回3出複葉で、小葉は薄く卵形で先は尖り重鋸歯が付きます。梅雨時期に、葉よりも上に円錐花序が出て開花します。花柄は短く白色の小花が並んで付き、すがすがしい甘い香りがします。この香りで多くの昆虫たちを集めます。
細くてしっかりと真っ直ぐに伸びた茎を鳥の足に見立てて和名がつけられました。叢から飛び出ている鳥足升麻の姿は、まるで白鷺が止まっているかのようです。
莢蒾(ガマズミ) スイカズラ科

莢蒾(ガマズミ)は、宇奈月の日当たりのよい山野に自生するスイカズラ科の落葉低木で高さは、3~5mになります。
幹は叢生して、まばらに分岐し若枝、葉の裏面、花序に星状毛が見られザラつきがあります。葉は単葉で対生し、葉身は広卵形で托葉はありません。葉の表面は濃緑色で裏面は淡白緑色です。葉縁は粗く低い鋸歯または不整鋸歯があり、葉先は急鋭尖頭になります。花は新枝に散房花序を出し、多数の小白花を開かせます。
岩絡(イワガラミ) ユキノシタ科

岩絡(イワガラミ)は、宇奈月の山地に普通にあるユキノシタ科の落葉藤本です。幹から多数の気根を出して、樹木や岩などに絡みついて成長します。
葉は対生し赤みのある長柄があり、葉身は長さ5cmから10cmの広卵形で先は細く尖り縁には荒いやや不規則な鋸歯があります。花は、5月から7月にかけて新枝の先に集散花序を形成し、5弁の白く小さい両性花を多数開かせます。周囲には数個の装飾花があり、白く大きい萼片が1個、花弁状につきます。
蔓紫陽花(ツルアジサイ)は、生態的にも形態的にもよく似ていますが、萼片が4個つくので区別がつきます。大樹に絡みつく様は、樹木全体に白い花が咲いたようで華やかになります。
菖蒲華(あやめはなさく)

6月26日から七十二侯は、「菖蒲華(あやめはなさく)」で、二十四節気「夏至」の次侯にあたる。 菖蒲の花が咲く頃という意味。 菖蒲は「あやめ」とも「しょうぶ」とも読める。あやめ(菖蒲)は梅雨の到来を告げる花として親しまれている。判別方法は、 外花被のつけ根にある網目模様はあやめ、黄色の目型模様は花菖蒲、白色の目型模様は杜若である。
宇奈月公園の花菖蒲は、6月の初めに開花し今は結実となり、 冷たい清水が流れる沢に源氏蛍が乱舞している。
立山黒部アルペンルートにある黒部ダムで6月26日から夏の行楽シーズンの到来を告げる観光放水が始まった。 黒部ダムは、河床からの高さが高さ186mと日本一の壁面を誇るアーチ式キダムで、二箇所の放水口から毎秒7.5トンずつ合計15トンを放水、10月15日まで毎日実施される。 豪音と共に噴出する水に日がさして虹が架かる。
セレネ美術館では、田渕俊夫画伯の黒部ダムの放水を捉えた院展出品作品が展示されている。大自然の中で水が放つエネルギーを巧みにとらえた名品である。
山荷葉(サンカヨウ) メギ科

山荷葉(サンカヨウ)は、宇奈月の深山の雪解けの沢の斜面に白根葵(シラネアオイ)などと一緒に自生するメギ科の多年草です。
2枚の大きな葉が特徴で、茎の中ほどにから上につき、広腎臓形で2深裂し下面に毛があります。
花は散房花序に6弁の白い花を数個つけ、水に濡れると半透明になります。開花するとすがすがしい香りがして、秋には濃い青紫色の実をつけます。
蝦夷立傍食(エゾタチカタバミ) カタバミ科

蝦夷立傍食(エゾタチカタバミ)は、宇奈月の山道沿いの草叢に生える、カタバミ科の多年草です。
茎は細く直立して高さ10~30cmになります。葉は長柄の先に倒心形の小葉が3個付き、全草にシュウ酸が含まれているので、酸味があります。葉腋から伸びる花茎に黄色の5弁花を1~2個付けます。
和名は、夜に葉を半分たたんで閉じることに由来します。
姫風露(ヒメフウロ) フウロウ科

姫風露(ヒメフウロ)は、宇奈月の宇奈月谷遊歩道沿いに生えるフウロ科の越年草で、北米からの帰化植物です。
茎の高さは30cm程で、葉は対生し3~5深裂し、小葉はさらに羽状に深裂します。葉腋から長い花序を伸ばして淡紅色の花を1~2個付けます。花は5個の花弁で、それぞれの花弁には2本の筋があります。結実期に入った全草は赤みを帯びます。群生していることが多いので、緑化には適しています。
車花(クルマバナ) シソ科

車花は、宇奈月の山野の草地に生える、シソ科の小さな多年草です。
葉は対生し、狭卵型で鋸歯があり基部には短い二枚の葉柄があります。茎は、シソ科特有の箱型で直立し、枝先に断続的に輪生する花穂を作って、淡紅色の唇花形をつけます。
蕚も紅紫色を帯びることが多く、開出毛という茎に直角に伸びる細い毛が多くあります。花冠は筒状で、開口部は2裂し、下唇は3裂しています。雄しべは4本あり上唇側の2本だけが長くなっています。