白山菊(シラヤマギク) キク科

<草姿が大きい白山菊>

白山菊(シラヤマギク)は、宇奈月の山地の道傍や林縁などに生える、キク科の多年草です。

野菊の中でも茎の高さは高く、約1.5mぐらいになります。葉は洋紙質の三角形で、互生します。頭花は茎頂に散房状につき、周囲の舌状花は白色で、数が少なく中心の筒状花は、黄色で多くあります。

別名ムコナで草姿が大きいので、ヨメナに対しての名前です。

深山秋の麒麟草(ミヤマアキノキリンソウ) キク科

<アキノキリンソウより小型>

深山秋の麒麟草(ミヤマアキキリンソウ)は、宇奈月の深山に生えるキク科の多年草です。

茎は太く直立し、高さ20~60cmぐらいで、秋の麒麟草の高山型です。葉は長楕円形で、互生します。頭花は黄色で、枝の先に密集して開きます。別名、黄金菊とも言います。

登山道が亜高山帯入ると、道の縁に多く見られます。一段と秋の深まりを感じさせてくれます。

蟄虫坏戸(むしかくれて とをふさぐ)

<1997年院展出品作:放水(黒部ダム)>
令和記念特別展「田渕俊夫 至極の日本画」より

9月28日から七十二侯は「蟄虫坏戸(むしかくれて とをふさぐ)」で二十四節気「秋分」の次侯にあたる。すだく虫たちが土の中にもぐり始める頃という意味。虫たちの冬支度である。秋分の日を境に日は弱く短くなる。

半年前の七十二侯は「蟄虫啓戸(すごもりのむし とをひらく)」で、冬眠していた生き物が春の日差しの元に出てくる頃という意味。蟄虫(ちっちゅう)とは地中にこもって越冬する虫のことである。

セレネ美術館で開催中の令和特別展:田渕俊夫・至極の日本画展の中に、放水(黒部ダム)がある。黒部ダムを描いた作品である。黒部ダムを極限まで縮めて、水のエネルギーを表現している優れた作品である。秋の深まりと共にお楽しみください。

花蓼(ハナタデ) タデ科

<草叢で可憐に咲く>

花蓼(ハナタデ)は、宇奈月の山野の林内や、林道沿いに多く見られるタデ科の一年草です。

タデ科の中では、桜蓼(サクラタデ)と共に花が最も可憐で、美しい野草です。 茎の下部は地を這い、分岐が旺盛で草叢を作ります。

葉は互生し、長卵形で先は細くなり尾状に尖っています。花序は細長く伸び、淡紅色の小さな花をつけます。

普段見慣れている風景の中にも、自然の魅力が沢山隠されています。

犬蓼(イヌタデ) タデ科

<別名アカノマンマ>

犬蓼(イヌタデ)は、宇奈月の山道の縁や原野などに普通に見られるタデ科の一年草です。花や蕾が赤飯のように見えるところから、別名アカマンマで親しまれています。

茎の基部は、横に這って多く枝分けれして草叢を作ります。茎の先はやや立ち、紅紫色を帯びます。葉は互生し、披針形で葉の両端がとがり、葉先に向かってだんだん細くなります。

春から秋までの長い期間、茎の先から長さ1~5cmの花穂を出し、紅紫色の小さな花被を、密につけます。花の蕚と花冠との区別が形式的にない場合、両者を合わせて花被といいます。

「蓼食う虫も好き好き」の諺にある蓼は、河原に見られる柳蓼のことで、葉に辛味があります。犬蓼は辛味がありません。

大蟹蝙蝠(オオカニコウモリ) キク科

<和名の由来は葉の形から>

大蟹蝙蝠(オオカニコウモリ)は、宇奈月の山地のやや湿り気のある落葉樹林の林床、林縁に自生する、キク科の多年草です。

茎は紫色になり、稲妻形に屈折しているものが多く、花期は8月から10月で地味で目立たない花です。茎頂にやや散房状に白色の細長い花頭をつけます。

コウモリソウの仲間で、葉の形が蟹の甲羅に似ているので蟹蝙蝠と呼ばれています。大蟹蝙蝠は蟹蝙蝠より葉が大きくて厚味があり、長い葉柄を持って茎に互生しています。蟹蝙蝠は花のつき方が下向きに対し、大蟹蝙蝠は上向きが多いようです。 

山野草の名前は、葉の形に由来するものが数多くあります。

秋の室礼(収穫の頃)

お食事処「清渓」と料理茶屋「竹次郎」の秋の室礼です。

今年も黒部川扇状地では、香り高いコシヒカリの収穫が終わろうとしています。名水の里では秋野菜が瑞々しく育っています。黒部の山では、キノコが出ています。実りの秋、収穫の頃です。

母なる黒部川に感謝し、実り多き土地に感謝し、黒部の自然に感謝した室礼です。

姫紫蘇(ヒメジソ) シソ科

<小さくて目立たない花です>

姫紫蘇(ヒメジソ)は、宇奈月の山道の縁に生える、シソ科の一年草です。

茎はシソ科の特有の四稜があり、節に白毛があります。葉は柄を持ち対生し、菱形状卵型で、縁に粗い鋸歯があります。

枝先に白色の小さな唇形花を多数穂状につけます。目立たない小さな花です。

犬香薷(イヌコウジュ) シソ科

<山道の縁にひっそり咲く犬香薷>

犬香薷(イヌコウジュ)は、宇奈月の山野の日当たりのよい地に生える、シソ科の一年草です。

茎は、シソ科の特有の方形で、直立して分岐し細毛があります。葉は、長楕円形で縁には鋸歯があります。茎頂に花穂を出し、淡紫色で小形の唇形花をたくさん総状につけます。

秋の野山には人目に付きにくい、小さな花が多く見られます。

雷乃収声(かみなり すなわちこえをおさむ)

<叢叢賛歌(再興第70回院展)>
令和記念特別展「田渕俊夫 至極の日本画」より

9月23日から二十四節気は「秋分」を迎える。「春分」と同様、昼と夜の長さが同じになり、この日を境に陽は弱く短くなる。季節は少しずつ冬へと向かう。

七十二侯は「雷乃収声(かみなり すなわちこえをおさむ)」で、二十四節気「秋分」の初侯にあたる。黙黙と力強く湧く入道雲は消え、夕立時に鳴り響いた雷が収まる頃という意味。これに対して七十二侯の「雷乃発声(かみなり すなわちこえはっす)」は、二十四節気「春分」の末侯で、今年は4月1日であった。

雷の多い年は、豊作だと言われるくらい、お米には雷が密接に関係している。恵みの雨をもたらすのが雷雲。その閃光を稲妻と表現するのも、稲作文化の象徴かもしれない。
黒部川扇状地に広がる平野は、すでに稲刈りが終わっている所もあるが、これから始まるところもある。

黒羽峡谷・セレネ美術館では、令和特別記念展として、至極の日本画・田渕俊夫展が開催されている。その出品作品の中に「叢叢賛歌(再興第70回院展)」という名作がある。長久手時代の作品である。様々な雑草の生きる姿を通して、生命の賛歌を描く。そして季節などは一切無視して、自由自在に田渕画伯の草むらを作り上げる。二十四節気が、すべて包み込まれた世界のようである。