1月5日から二十四節気は「小寒」に入ります。小寒から節分までの「寒の内」の始まりなので「寒の入り」といいます。節分の翌日は立春で「寒の明け」を迎えます。それまでは厳しい寒さが続き、「小寒の氷、大寒に溶く」と言う故事がある位に、寒さは一段と厳しくなります。
7日には松飾を外し、15日の小正月には鏡開きと新年の行事が続きます。酒造会社では、新酒の仕込みの時期を迎えます。
七十二侯は、「芹乃榮(せり、すなわちさかう)」で二十四節気「小寒」の初侯になります。厳しい寒さが続きますが田んぼや水辺では、芹が生え始める頃という意味です。芹は春の七草の一つで、正月7日に七草粥を食べると一年の邪気を祓うとされます。
玄関の正月飾りは、地酒の菰樽に鏡餅を飾りその上に伊勢海老を戴くという創業時からの形です。今年の菰樽は、林酒造の「黒部峡」を使いました。目印となる特大の門松も飾られます。
新春の延楽ギャラリーは、横山大観「旭日」、安田靫彦「春刻」、児玉希望「雪の橋立」が展示されています。代々受け継がれるお正月の室礼です。新設されたアートサロン清渓では「永楽妙全のうつわ展」を開催しております。
2025年1月
色絵ツボツボ重扇面皿
冬の「のど黒」は、脂がのり旨くなります。お造りは、少し炙った焼霜づくりは格別です。塩焼きも脂の旨味が十分味わえます。吟醸酒粕を混ぜた味噌に漬けて焼くと、脂の旨味に深みが出ます。勝駒純米吟醸と合わせます。
季節のうつわは「色絵ツボツボ重扇面皿」です。
ツボツボ紋とは、三千家の替紋です。ツボツボは口が窄まった形をした小さな素焼きの器で、伏見稲荷大社の門前で売られていました。これに稲荷山の土を入れて持ち帰り田畑に埋めて五穀豊穣の祈願をします。宗旦が伏見稲荷信仰をしていたこことから替紋として使われたそうです。
輪島塗・盛器黒へぎ目と雪松絵杉蓋
正月も明け、寒の入りを迎えて寒さは一段と厳しくなります。雪吊りの松に、雪が纏わり冬本番となりました。幕の内の匠膳の前菜は、富山の冬の旬味を盛りつけます。
季節のうつわは「輪島塗・盛器黒へぎ目と雪松絵杉蓋」です。 雪松の代表的な美術品は三井家所蔵の「雪松屏風」です。作者は、江戸中期に活躍した丸山派の祖である丸山応挙です。
常緑樹の松は、長寿や吉祥を象徴し、雪は新しさの象徴です。雪松は、新年に相応しいものとなります。
仁清色絵束熨斗向付
新年の雅膳に使う向付の中に、束熨斗をデザインしたものがあります。良き年であることを願って使います。
熨斗は奈良時代に編纂された日本書紀に記述がみられます。起源は鮑を伸ばして乾燥させた熨斗鮑で、神様への供え物でした。熨斗鮑は、古来の製法を守りながら今も、伊勢神宮に奉納されています。
季節のうつわは「仁清色絵束熨斗向付」です。金彩を使って熨斗が描かれています。更には松竹梅がデザインされて吉祥文になっています。正月のお膳を飾る華やかな器です。
仁清色絵宝船絵向付
正月2日に宝船の絵を枕の下に入れて寝ると、よい初夢を見ることができると言われています。宝船とは、七福神や八仙が乗る宝物を積み込んだ帆船のことで、縁起物として親しまれています。また新年を表す季語でもあります。
季節のうつわは「仁清色絵宝船絵向付」です。今年は良き寶物に巡り合いますように願っています。
仁清日ノ出六寸皿
新しい年の幕開けです。新年の焼き物は、出世魚の鰤の塩焼きです。おめでたい出世魚の塩鰤はお雑煮にも使われます。
新年のうつわは「仁清日ノ出六寸皿」です。日の出は朱で、雲は金彩を使った新年にふさわしい器です。
仁清色絵寿鶴六寸皿
新年明けましておめでとうございます。
本年、文化サロン「清渓」はオープン3年目を迎えます。今年も展示コーナーで季節のうつわを紹介いたします。加えて日本画に囲まれた空間で、東京芸術大学前学長の澤和樹先生のバイオリンと奥様の蓼沼恵美子先生のピアノによるサロンコンサートも定期的に開催いたします。
2月8日(土)、2月9日(日)は「黒部の冬の旅」のタイトルで澤亜紀様も加わってのファミリーコンサートを開催いたします。
本年もよろしくお願い申し上げます。
新年のうつわは「仁清色絵寿鶴六寸皿」です。
旭日に群鶴を描いた吉祥の図柄です。