鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)

<小泉智英:春きざし>

1月30日から七十二侯は、「鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)」で二十四節気「大寒」の末侯。鶏が春の気を感じ、卵を産み始める頃という意味です。

「大寒」は、冬の最後の節気であり一年で最も寒い時期です。厳しい寒さは、まだまだ続きますが太陽は少しずつ力強さを増しています。生き物たちは敏感に春の気配を感じ、目覚めの準備をしています。この頃、梅の名所から白梅紅梅の開花状況が届くようになります。宇奈月は未だ蕾硬し。

ロビー階の一角に梅を題材にした絵画を展示しています。小泉智英の「春きざし」で静寂な竹林を背景に、古木から延びる梅ヶ枝を捉えています。氏は福島県小川町の出身で、身近にある風景を独特の視線や緻密な筆遣いで、精神性の高い作品に仕上げています。自然が生み出す四季折々の風情を、凛と張り詰めた空間の中に表現しています。

ギャラリーでは松を題材とした児玉希望「雪の橋立」、竹を題材とした小林古径「竹林」、梅を題材とした安田靫彦「春到」で松竹梅を展示しています。