鷹乃学習(たか すなわちわざをならう)

<黒部奥山の空に鷹が舞う日は間近>

7月18日から七十二侯は、「鷹乃学習(たか すなわちわざをならう)」で二十四節気「小暑」の末侯にあたる。

春に生まれた鷹の幼鳥が、飛び方を覚える時期で、巣立ちの準備をする頃という意味で、鷹は、古くから獲物を捕るための道具として大切にされてきた猛禽類である。鷹狩りは、四千年前に中央アジアの平原で始まり、日本へは四世紀半ばに、朝鮮半島を経て伝わって来たと言われ、とりわけ徳川家康が鷹狩りを好み、鷹術は一種の礼法と見なされた。

家康が好んだ「祢津流」は全国の武家の間に広まった。加賀藩、富山藩にはこの流れを汲む「依田家」が鷹匠として抱えられ、文武二道を旨とする前田家で鷹匠文化として継承されていった。武家にとって鷹狩りは、領内視察のほか軍事演習の意味合いもあったので、武芸奨励として受け継がれた。

黒部奥山は、加賀藩の直轄地で、黒部奥山廻役が定期的に調査に入っていた。この時は鷹や犬鷲の飛ぶ様子で、位置確認や気象予測の参考にしたと言われる。宇奈月の梅雨明けは例年よりも遅れているが、梅雨が明けると黒部奥山の空に鷹が高く舞う盛夏の訪れである。

褄取草(ツマトリソウ) サクラソウ科

<小さすぎて見過ごしてしまう、可憐な花>

褄取草(ツマトリソウ)は、宇奈月の亜高山の笹藪の中に自生するサクラソウ科の多年草です。

茎の高さは10cmぐらいで分岐せずに直立し、葉は広披針形で互生し、茎の上部では輪生します。雪解けの夏に茎の上部に花柄を出し1.5cmぐらいの白花を1花つけますが、小型なので意外と見過ごしてしまいます。萼は7片に裂け、花冠も7裂し花びらが7枚のように見えます。

名前の由来は、白い花弁の先端に淡紅色の縁取りができることが、鎧の褄取威(つまどりおどし)に似ているからだそうです。宇奈月では白花しか見ていません。

蓮始開(はす はじめてひらく)

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7月13日から七十二侯は、「蓮始開(はす はじめてひらく)」で二十四節気「小暑」の次侯にあたる。

池の水面に蓮の花が開き始める頃という意味。泥を俗世に見立て、泥より出でて泥に染まらぬ優雅で貴賓高き蓮の花は、仏教の悟りの境地に例えられる。加えてその崇高な清らかな花に極楽浄土を見るのである。修行僧のかぶり物は若い蓮の葉を形取ってあり、未熟者であることを表す。仏教徒にとっては聖なる花である。

蓮が咲く頃は、梅雨明け間近なのだが、今年の宇奈月はまだまだ先になりそうだ。最近の雨量は、少量で黒部川の流れは透明さを増し、水量も落ち着いてきている。河鹿蛙の鳴き声も、川風に乗って心地よく聞こえる。

向付:仁清色絵朝顔絵

<鯛とのどぐろのお造り>

延楽「雅膳」の向付は、のど黒と真鯛のお造りです。さっぱりと煎酒で。季節の器は、仁清色絵朝顔絵です。

二十四節気の「小暑」に入ると、徐々に夏を肌で感じてくるようになります。小暑の始まる日から立秋の前日までが「暑中」となります。

素馨(ソケイ) モクセイ科

<芳香がある白い花>

素馨(ソケイ)は、宇奈月の日陰の岩場の斜面に生える半蔓性のモクセイ科の常緑低木です。

原産はカシミールの山地でシルクロードで経て中国に入り、江戸末期に清国から日本に入りました。モクセイ科の木は、芳香があるので香水の原料に使われました。和名は蔓茉莉(ツルマツリ)でジャスミンの仲間です。

葉は、奇数羽状複葉で羽状楕円形の小葉を2から4対つけます。花は、茎頂もしくは上部葉腋から集散花序をだし白色の小花をまばらにつけます。花冠の下部は細い筒状になり上部は4裂または5裂して星状に平開します。

初夏の香りを楽しむのに適した花です。

温風至(あつかぜ いたる)

<聴衆を魅了する「澤カルテット」>

7月7日から二十四節気は「小暑」。例年この時期は、長く続いた梅雨が終わりを告げ夏本番となる頃である。七十二侯は、「温風至(あつかぜ いたる)」で、二十四節気「小暑」の初侯にあたる。温風とは南風のことで、温風が吹いて蒸し暑い日が増えてくる頃という意味。沖縄から順に梅雨明けが始まるのもこの時期である。

今年は、日本列島に梅雨前線の停滞が続き、日照時間が短い日が続く。今日は残念ながら天の川が見られないが、東京芸術大学学長の澤和樹さん率いる弦楽四重奏団「澤クワルテット&蓼沼恵美子」七夕コンサートが宇奈月国際会館セレネで開催さる。結成30年を迎えてますます円熟味が溢れる。

第一部はモーツァルトの弦楽四重奏曲17番「狩」とべートーベンの弦楽四重奏曲第4番。第2部はシューマンのピアノ五重奏曲変ホ長調を演奏。第一ヴァイオリンは澤和樹、ヴィオラは市坪俊彦、第二ヴァイオリンは大関博明、チェロは林俊明、ピアノは蓼沼恵美子さんです。レンガ積みのセレネホールは、室内楽の演奏会にあっている。

岡虎の尾(オカトラノオ) サクラソウ科

<星形の小さな花が集まったオカトラノオ>

宇奈月の陽当たりのいい原野によく見られるサクラソウ科の多年草です。

地中に長く地下茎を伸ばして増えていきます。葉は長楕円状披針形で、先端は尖り互生します。花は、茎の上部に一方に傾いた総状花序をつくり、多くの白い花を密に付けます。花冠は5片に裂けています。

和名は花穂を虎の尾に見立てたことに由来します。

燕万年青(ツバメオモト) ユリ科

<純白で清楚な花>

燕万年青(ツバメオモト)は、宇奈月の亜高山帯の落葉樹林内に生えるユリ科の多年草です。

葉は、倒卵状長楕円形で厚みがあり根生し、万年青によく似ているので和名の由来となっています。花茎は1本立ち上がって総状に白い花をつけます。花被片は6個で夏の終わりに濃紺の実になります。

純白で清楚な容姿は山野草の中では最も貴賓があります。

半夏生(はんげ しょうず)

<宇奈月ダムの排砂ゲートから土砂が出される>

7月2日から七十二侯は、「半夏生(はんげ しょうず)」で二十四節気「夏至」の末侯。半夏という薬草が生える頃という意味。

半夏は烏柄杓(からすびしゃく)で、サトイモ科の多年草。花茎の頂きに仏炎包をつけ、中に肉穂花序を付ける独特な形をしている。宇奈月の山で見かける座禅草、水芭蕉、蝮草なども仏炎包を有し肉穗花序を付けている。仏炎包とは仏像の光背の炎形に似ているため。

この頃に降る雨は、半夏雨(はんげあめ)と言われ、大雨になることが多い。梅雨前線が日本列島に停滞するこの時期に、宇奈月ダムでは増水を利用して堆積した土砂を吐き出す排砂が行われるが、今年は1回目が6月16日から6月18日まで、2回目が7月1日から7月2日に行われた。上流のダムと連携排砂される。

7月1日は北アルプス・立山の夏山開き。みくりが池周辺では高山植物の見頃を迎える。夏山のシーズン到来である。

山吹升麻(ヤマブキショウマ) バラ科

<雨上がりの白い清楚な花は、山吹升麻>

山吹升麻(ヤマブキショウマ)は宇奈月の山地林縁に生えるバラ科の多年草です。

雌雄異株で根茎は木質化し、葉は大きく2回3出状複葉に分かれ、卵型の小葉はさらに羽状に分かれています。 山吹の葉とよく似ているところから和名が付けられました。

花は、大きい円錐状総花序を作って開き、5個の花弁を付けます。 宇奈月では、赤升麻、山吹升麻、鳥足升麻の順に開花します。