木五倍子(キブシ) キブシ科

<早春の宇奈月谷で開花するキブシ>

木五倍子(キブシ)は、早春の宇奈月谷でよく見かけるキブシ科の雌雄異株の落葉低木です。藤のような花序に黄花が付くので黄藤(キフジ)ともいいます。

前年の秋に枝の葉腋から総状花序をたらし、出葉前の下旬ごろに一面に開花します。花は鐘形で雄花は淡黄色で雌花はやや緑色を帯びています。和名は、秋に熟す緑黄色の果実を染料の原料である五倍子(フシ)の代用として使ったことに由来します。早朝、山歩きをすると木々の芽吹きに出会い、自然の息吹を感じることができます。

丸葉満作(マルバマンサク) マンサク科

<先ず咲く花>

丸葉満作(マルバマンサク)は、宇奈月の山地に生えるマンサク科の落葉低木です。
日本海側に多く分布します。

残雪多い山の斜面でひっそりと細い花を咲かせます。
花は、花弁が4枚で黄色く細長いひも状です。
萼は、赤褐色で花全体が周りにとけ込んで見つけずらいです。
雪の重みで曲げられても折れない粘りの強い材は、地元では和カンジキに用いられてきました。雪国ならではの知恵です。

和名は、春山にまず咲くのと葉先が丸くなっていることに由来します。
花の咲く頃は、葉がまだ出ていなくて、葉が開く頃は花が散っているので、両方同時に観察することができない植物です。

深山寒菅(ミヤマカンスゲ) カヤツリグサ科

<林の斜面に多く見られる>

深山寒菅(ミヤマカンスゲ)は、宇奈月の山地の樹林内に生えるカヤツリグサ科の多年草です。根茎はやや伸長して叢生します。 宇奈月のような多雪地では、伸長した根茎が数年分残り放射線状に株が繋がります。

葉の基部の葉鞘は、紫褐色で光沢があります。葉は幅5ミリ前後の線形で、やや柔らかく光沢のある濃緑色で縁はわずかにざらつきます。開花時期は4月から6月ごろ、小穂を直立させて上部に雄花を沢山つけます。

檀香梅(ダンコウバイ) クスノキ科

<落葉樹の冬の姿>

落葉樹の冬の姿は、厳寒の環境に耐えている時の姿です。冬を迎える時、一斉に葉を落とし、来るべき春に備えて瑞々しい生命の息吹を宿しています。

その象徴が冬芽です。樹木の種類により特徴が出ています。冬芽には様々な名称がつけられています。枝の先端に付いている芽は頂芽で、枝の横から出る芽が側芽です。更には葉や枝になる芽が葉芽、花の咲く芽が花芽です。冬芽の形や付き方で樹木がわかります。

檀香梅の冬芽は、魚の鱗のような芽鱗に特徴が出ています。落葉樹の中で逸早く花を咲かせます。黄色の小さな花を枝に無数に付けます。葉や枝に芳香があるので白檀(ビャクダン)の漢名の檀香が付けられています。

西王母(せいおうぼ)

初冬の椿

宇奈月の野山に初雪が降りて山野草の終りを告げる頃、心を和ましてくれるのは椿です。西王母は、ツバキ科の早咲きの常緑高木で、11月から春にかけて咲きます。

西王母は、金沢に古くから伝わる名花で、加賀侘助の自然実生と推定されます。桃色紅ぼかしの一重で、中ふくらみの筒咲きの形や、蕾のふっくらとした丸さも茶人に愛されてきました。

椿は、茶花として古くから愛用されてきましたが、昔は藪椿を主体に薄色椿と呼ばれるものが古書に登場します。これは特定の品種を指すものでなく、淡い桃色や特に白色を含めて呼ばれていた品種群を指しています。薄色が愛用されたのには、当時の茶室の明るさとも関係があったのかもしれません。

茶花として用いられる品種は、白玉、初嵐、曙、加茂本阿弥、乙女、太郎庵、西王母、有楽、侘助、太神楽、角倉、妙蓮寺、紅唐子、黒椿、散椿、袖隠、臘月、羽衣等があります。

紫式部(ムラサキシキブ) クマツヅラ科

<落葉後も枝に残る>

紫式部(ムラサキシキブ)は、宇奈月の山野に生えるクマツヅラ科の落葉低木で、小枝は斜上します。

葉は単葉で、葉身は8cm前後の長楕円形で、縁には細鋸歯がありま。初夏、葉腋のやや上部から集散花序を出し、淡紫色の小花を多数つけます。降霜のころ、葉は虫食いの照葉になり石果は光沢のある濃紫色に熟します。落葉後も実は枝に残ります。

紫式部は、宇奈月の今年の最後の山野草で、シーズンの終わりを告げます。雪解けの早春から新たな山野草が宇奈月の山野に芽生えます。

吊花(ツリバナ) ニシキギ科

<色鮮やかな蒴果>

吊花(ツリバナ)は、宇奈月の山地の樹林内に生える、ニシキギ科の大形の落葉低木です。

全株無毛で、樹皮は灰色になり、本年枝は丸く細くて緑柴色です。葉は短柄で単葉で対生し、長楕円形で縁には細かい鋸歯があります。

5~6月、葉腋に柄のある集散花序をつけ、十数個の小花をまばらに下垂して開きます。花は淡緑色で5数性です。10月、球形の蒴果は紅色に熟し5裂します。

洋種山牛蒡(ヨウシュヤマゴボウ) ヤマゴボウ科

<大形の多年草で帰化植物>

洋種山牛蒡(ヨウシュヤマゴボウ)は、宇奈月の路傍の生える、ヤマゴボウ科の大形の多年草で、北米産の帰化植物です。

明治年間に日本に入り、各地に繁殖しています。茎は直立して高さ1~2mとなり、丈夫で分岐し、茎は紅紫色を呈します。葉は互生して、長楕円状披針形で鋸歯はありません。7~9月、柄のある総状花序をだし、白色の小さい花を咲かせます。

10月、花穂は垂れ、果実は葡萄の房状になり、艶のある黒色になります。

蔓苦草(ツルニガクサ) シソ科

<道端のやや湿った土地に生える>

蔓苦草(ツルニガクサ)は、宇奈月の山野の林縁などに生えるシソ科の多年草です。

根茎は細長く地中を這います。茎は高さ20~80cmでシソ科特有の四角形で細かい毛があります。葉は対生し、長い柄があり長卵形で先は尖り、基部は細くなり縁には粗い鋸歯があります。

8~10月、上部の葉腋から総状花序を出し、小さな唇形花を多数つけます。

水玉草(ミズタマソウ) アカバナ科

<小さな可憐な花をつける>

水玉草(ミズタマソウ)は、宇奈月の山の木陰に生える、アカバナ科の多年草です。

茎は直立し、高さ20~60cmぐらいになります。葉は対生し小さな葉柄があり、葉身は広披針形でまばらに低い鋸歯があり、先はとがっています。
9月から10月頃、茎の先や上部の葉腋に、総状花序を出し小さな白色を帯びた花をつけます。

水玉のように小さな可憐な花なので、見過ごしてしまいます。