栃の木(トチノキ) トチノキ科

<宇奈月の深山に聳えるように成長する栃の木>

栃の木は、黒部峡谷沿いや温泉街の近くの宇奈月谷沿いに、多く見られるトチノキ科の直幹性の落葉高木で、高さ30mにもなります。宇奈月栃の森は、江戸時代に加賀藩によって植林され、大切に守られてきました。栃の実は、飢饉の際の大切な食料になるので伐採を禁止されてきました。

陽射しを遮る大きな葉は、5個から7個の奇数の葉が掌状に集まった複葉です。中央の葉が最も大きく最大で40cm位になり、端になるに従って小さくなっていきます。 枝先に直立する15cmから25cmの円錐花序を作り、その枝側に径1.5cm位の花を多数つけます。花弁は4個で白色で中央は淡紅色を帯びます。秋には丸い実ができて落下します。その殻の中に栗に似た赤褐色の種子があり、地元では栃餅や栃粥として食べます。渋に含まれるアクを取るのに、真竹を焼いた灰を使います。

朴の木と栃の木を、見分けるには葉を調べます。朴の葉は、枝先の新しく伸びた部分に集まって互生しますが、束生しているので輪生状に見えます。栃の葉は 掌状なので違いが判ります。

谷空木(タニウツギ) スイカズラ科

<田植えの時期に花開く谷空木>

谷空木(タニウツギ)は宇奈月の日当たりのよい山野に生えるスイカズラ科の落葉低木です。 地元では田植えの時期に咲き始めるので、田植え花ともいいます。

葉は対生して長楕円形で、葉脈がはっきりして縁には鋸歯があります。 5月初旬、新枝の先や葉腋に散房花序を出して複数の花をつけます。 花冠は淡紅色の筒状鐘型で、上部がしだいに膨らんで先は5裂しています。

雪笹(ユキザサ) ユリ科

<群生を作ることが多い雪笹>

雪笹(ユキザサ)は、宇奈月の落葉樹林に生えるユリ科の多年草です。

葉は卵状楕円形で互生し、裏に粗毛があります。花は、やや斜上した頂部に円錐花序を付け、純白の小さな花が多数斜めから横向きに開きます。秋になると赤い実を付け、虫食いの照り葉と共にお茶花として用いられます。

葉の形を笹に見立て、花は雪に葉を笹に見立てたことが和名の由来となっています。小振りの下蕪の花器に、単独で生けても美しく貴賓があります。

垣通(かきどおし) シソ科

<草むらに可憐に開花するカキドオシ>

垣通(カキドオシ)は、宇奈月の山道の草叢に生える蔓性のシソ科の多年草です。

花は、淡紫色で小さな唇形花で1個から3個つけます。 茎葉はシソ科特有の香りがあり、細い毛がつています。花が終わると 節から根を出してしっかりと固定して、蔓を伸ばして増えていきます。

茎がよく伸びて垣の間を通って増えることから、和名の由来となっている。

宝鐸草(ホウチャクソウ) ユリ科

<白と緑のグラデーションが美しい花冠>

宝鐸草(ホウチャクソウ)は、宇奈月の落葉樹林内や杉林に生えるユリ科の多年草です。

茎は、高さ40cmぐらいで無毛で直立し、上部で分岐し互生の葉がつきます。葉は、長卵形で短い葉柄があり、無毛で鋸歯がありません。花は枝先に1個か2個、下垂して付きます。花冠は筒状で、先端は広くなり淡緑色です。地味ですが、白から緑のグラデーションが美しい花です。

宝鐸とは、お堂や塔の四隅につるす大型の鈴のことで、銅鐸の美称です。花冠の形が宝鐸に似ていることが和名の由来です。 春先に見られるアマドコロやナルコユリと芽吹きがよく似ています。 近くには稚児百合(チゴユリ)の群生が見られます。

耳菜草(ミミナグサ) ナデシコ科

<白色の5弁花>

耳菜草(ミミナグサ)は、宇奈月の山道の道端に普通に見られるナデシコ科の二年草です。

茎は、分岐して高さ20cm前後なので、見過ごしてしまいます。葉は卵形で対生します。5~6月に茎の先が分岐し、白色の5弁花を開きます。花弁は先で浅く2裂します。花柄は花の萼片より長く、萼片は暗紫色を帯びることが多いです。和名は葉の形がネズミの耳に似ているところからきています。

近縁のオランダミモナグサは、欧州原産の帰化植物で、各地でよく見られるようになりました。

射干(シャガ) アヤメ科

<林縁に群生するシャガ>

射干(シャガ)は、宇奈月のやや湿った樹林内や林道沿いの斜面に群生するアヤメ科の常緑多年草です。

地下茎からアヤメ科特有の長い匍匐枝(ホフクシ)を出して増えます。 葉は、光沢がある緑色の長い広剣状で扇形に生え、基部は茎を抱いています。 分枝した茎の上部に淡青紫の不揃いなアヤメに似た花をつけます。 花弁に濃い紫と黄色の模様が特徴です。

シャガは中国からもたらされた帰化植物で、三倍体のため種子ができません。 小型のヒメシャガは可憐で香りもよく観賞用として愛好されています。

二人静(フタリシズカ) センリョウ科

<落葉樹林内でひっそりと咲く>

二人静(フタリシズカ)は、宇奈月の落葉樹林内に自生するセンリョウ科の多年草です。

地下の根茎から多くの根を出し、茎は直立し茎頂から2本の花穂の先に米粒のような白い花をつけます。 稀に花穂が3本、4本の物があります。葉は、楕円形で微細な刺状鋸歯があります。

5月の初めに咲く一人静は、小形で花穂が1本で葉の色が濃く厚めで光沢があり、輪生なので容易に見分けがつきます。

奥車葎(オククルマムグラ) アカネ科

<6個の葉が輪生>

奥車葎(オククルマムグラ)は、宇奈月の林内の木陰に自生するアカネ科の多年草です。葎(ムグラ)とは、広い範囲にわたって生い茂る雑草のことで、その茂みも表しています。

茎は四角柱で分岐せずに直立し、高さは20~30cmほどになります。葉は、長楕円形で6枚が輪生して、3~4段つきます。先端は短く鋭く尖ります。よく似ている車葎(クルマムグラ)より幅広です。

5~6月に茎先に、2~3出状の集散花序を出し小さな花をつけます。花冠は白色の盃型で、先は4裂し花冠裂片は卵形となります。よく似ているの車葉草(クルマバソウ)の花の形は漏斗型です。



水木(ミズキ) ミズキ科

<葉は下向きで謙虚な姿勢>

水木は、宇奈月の山地に普通に見られるミズキ科の落葉高木です。幹は直立して大きく伸び、枝はテーブル状に水平に張り出します。

葉は長柄単葉で全縁です。全縁とは鋸歯状の切れ込みのない葉のことです。葉は枝先に集まって互生し、下面は白色を帯びて細毛があり、ほとんどの葉が下向きになります。

小枝の散房花序に花弁が4個の白色の小花が多く開きます。枝を切ると水がしたたり落ちることから名前の由来となっています。