草苺(クサイチゴ) バラ科

<全草にトゲがある>

草苺(クサイチゴ)は、宇奈月の林道沿いに生える、バラ科の落葉小木です。

地下茎は横に這い、至る所で地上に新苗を伸ばします。茎は堅く赤褐色で全体に棘があります。短い枝の先に上向きに開き、くっきりとした白色の5弁花をつけます。画像は珍しい6弁花です。

葉は、互生し奇数羽状複葉で、花枝には3個の小葉がつき、頂小葉は卵形で縁には細かい重鋸があり、葉の裏面には小さな棘が無数にあります。

空木(ウツギ) ユキノシタ科

<夏の訪れを知らせる卯の花>

 空木(ウツギ)は宇奈月の山道の斜面でよくみられるユキノシタ科の落葉低木です。

葉は対生で楕円形になり、先は長くとがり縁には微細な鋸歯があります。 花は、短い枝の先端に円錐花序を付け開花します。 花序は、白色の花弁を5個持ち長楕円形です。 文部省唱歌「夏はきぬ」で歌われている卯の花です。

枝の中に幾分か空洞があるので空木と名付けられました。 姫空木(ヒメウツギ)は空木(ウツギ)より小型ですが見分けるのが難しいです。 おしべの芯にあたる花糸が翼に覆われ、葯の下に尖ったような角を伸ばすのが姫空木です。

垣通(かきどおし) シソ科

<草むらに可憐に開花するカキドオシ>

垣通(カキドオシ)は、宇奈月の山道の草叢に生える蔓性のシソ科の多年草です。

花は、淡紫色で小さな唇形花で1個から3個つけます。 茎葉はシソ科特有の香りがあり、細い毛がつています。花が終わると 節から根を出してしっかりと固定して、蔓を伸ばして増えていきます。

茎がよく伸びて垣の間を通って増えることから、和名の由来となっている。

雉筵(キジムシロ) バラ科

<黄金色に輝くキジムシロ>

雉席は、宇奈月の山野に生えるバラ科の多年草です
茎は髙さ5cmから30cmで全株に祖毛が付きます。根出葉は長さ15cmから35cmになる奇数羽状複葉で小葉は5個で、まれに3個、7個、9個あり、小葉の基部に葉柄はありません。先端の小葉3個は大きく、残りは小さくなります。縁にやや深い鋸歯があります。花序は集散花序になり花弁は5個あり、鮮やかな黄金色で円形です。

根生する葉を雉の座る席に見立てたことが、和名の由来となっています。 

栃の木(トチノキ) トチノキ科

<宇奈月の深山に聳えるように成長する栃の木>

栃の木は、宇奈月の黒部峡谷沿いや宇奈月谷沿いに多く見られるトチノキ科の直幹性の落葉高木で、高さ30mにもなります。宇奈月の栃の森は、江戸時代に加賀藩によって植林され、大切に守られてきました。栃の実は、飢饉の際の大切な食料になるので、伐採を禁止されてきました。

陽射しを遮る大きな葉は、5個から7個の奇数の葉が掌状に集まった複葉です。中央の葉が最大で、大きな物で40cm位になり、端になるに従って小さくなっていきます。

枝先に直立する15cmから25cmの円錐花序を作り、その枝側に径1.5cmの花を多数つけます。花弁は4個で白色、中央は淡紅色を帯びます。秋には丸い実ができて落下します。その殻の中に栗に似た赤褐色の種子があり、地元では栃餅や栃粥として食べます。渋に含まれるアクを取るのに、真竹を焼いた灰を使います。

朴の木と栃の木を、見分けるには葉を調べます。朴の葉は、枝先の新しく伸びた部分に集まって互生しますが、束生しているので輪生状に見えます。栃の葉は 掌状なので違いが判ります。

宝鐸草(ホウチャクソウ) ユリ科

<白と緑のグラデーションが美しい花冠>

宝鐸草(ホウチャクソウ)は、宇奈月の落葉樹林内や杉林に生えるユリ科の多年草です。

茎は、高さ40cmぐらいで無毛で直立し、上部で分岐し互生の葉がつきます。葉は、長卵形で短い葉柄があり、無毛で鋸歯がありません。花は枝先に1個か2個、下垂して付きます。花冠は筒状で、先端は広くなり淡緑色です。地味ですが、白から緑のグラデーションが美しい花です。

宝鐸とは、お堂や塔の四隅につるす大型の鈴のことで、銅鐸の美称です。花冠の形が宝鐸に似ていることが和名の由来です。 春先に見られるアマドコロやナルコユリと芽吹きがよく似ています。 近くには稚児百合(チゴユリ)の群生が見られます。

金鳳花(キンポゲ) キンポウゲ科

<黄金色に輝くキンポウゲ>

金鳳花(キンポウゲ)は、宇奈月の日当たりのいい平地に生えるキンポウゲ科の多年草です。 

花は、高さ50cmぐらいの花茎を出し頂部で分岐して各枝端に1個の黄色の5弁花をつけます。 花弁は光沢を持ち黄金色に輝くところから和名の由来となっています。広く群生するので、風が通るたびに黄金色に波打ちます。

葉は根出葉で長い葉柄があり、掌状に深く裂け各裂片は粗い鋸歯状になっていて、キンポウゲ科の植物の特徴が出ています。 キンポウゲ科の植物は、花が美しいので観賞用に栽培されますが、アルカロイドを含む有毒植物が多くあります。

桐(キリ) キリ科

<淡紫の筒状鐘形>

桐は、宇奈月の山地に生える落葉高木で、高さが8mから15mにもなります。古い時代に中国から入ってきて、材は軽くて美しく良質なので各地で栽培されました。主に和箪笥や琴、下駄など用途が広く身近な木材でした。

葉は、対生し大型の広卵形で、粘り気のある毛が密生します。樹皮は灰白色です。枝先に淡紫色の花を円錐状に多数つけます。花は長さ5から6cm筒状鐘形で秋には果実を付けます。

桐は意匠化され、「五七桐花紋」「五三桐花紋」として家紋に使われています。桐は鳳凰の宿る木として神聖視され、菊のご紋に次ぐ高貴な紋章とされました。五七桐花紋は日本国政府の紋章として、五三桐花紋は皇宮警察本部や法務省で使われています。

谷空木(タニウツギ) スイカズラ科

<田植えの時期に花開く谷空木>

谷空木(タニウツギ)は宇奈月の日当たりのよい山野に生えるスイカズラ科の落葉低木です。 地元では田植えの時期に咲き始めるので、田植え花ともいいます。

葉は対生して長楕円形で、葉脈がはっきりして縁には鋸歯があります。 早いものは、5月の連休明けに新枝の先や葉腋に散房花序を出して複数の花をつけます。 花冠は淡紅色の筒状鐘型で、上部がしだいに膨らんで先は5裂しています。

開花しているものより蕾の方が濃い紅色で、雨の日には新緑の葉の中に美しく映えます。 谷間によく見られるので谷空木と呼ばれています。 稀に白色の白花空木(シロバナウツギ)が見られます。

雪笹(ユキザサ) ユリ科

<群生を作ることが多い雪笹>

雪笹(ユキザサ)は、宇奈月の落葉樹林に生えるユリ科の多年草です。

葉は卵状楕円形で互生し、裏に粗毛があります。花は、やや斜上した頂部に円錐花序を付け、純白の小さな花が多数斜めから横向きに開きます。秋になると赤い実を付け、虫食いの照り葉と共にお茶花として用いられます。

葉の形を笹に見立て、花は雪に葉を笹に見立てたことが和名の由来となっています。小振りの下蕪の花器に、単独で生けても美しく貴賓があります。