霞始靆(かすみはじめてたなびく)

<雪を纏った後立山連峰(白馬連山)>

2月24日から七十二侯は「霞始靆(かすみはじめてたなびく)」で、二十四節気「雨水」の次侯となります。靆(たなびく)とは、霞や雲が薄く層をなして横引きに漂うことです。雨水や雪融け水によって湿った大地に、日が差すことによって水蒸気が起こり、霞が棚引くようになります。春霞で野山がぼんやりとかすんで見える頃となります。

霞は気象用語で靄(もや)のことで、しばしば春の女神の衣に見立てられてきました。霞とは春に出る霧の事で、霧はそれぞれ情景により朝霧、夕霧、薄霧、八重霧などと美しく表現されます。朧月夜に詠われる夜の霧は、朧(おぼろ)として使い分けられます。

春霞は、偏西風に乗って大陸から飛来する黄砂によるもので、万葉集にも詠われています。これから多く見られる現象で、雪を纏った黒部の山々が、霧や靄で美しく豊かな景色となる日が多くなります。北陸新幹線の車両が親不知のトンネルを抜け富山県に入ると車窓から北アルプスの大パノラマの絶景がご覧いただけます。黒部川を育む名座の連なりです。