川緑(カワミドリ) シソ科

<強い香気がある>

川緑(カワミドリ)は、黒部川や宇奈月谷の川岸の法面などの湿りがちな草地に生える、シソ科の多年草です。

茎は、シソ科特有の方形で、全体に薄荷に似た強い香気があります。葉は広卵形で、鋸歯があり対生しています。枝の先に10cm前後の花穂を作り、淡紅紫色の花を密に付けます。萼は筒状で花冠は二唇形で、上唇は直立し下唇は開出して3裂します。

仁清色絵菊絵七寸皿

<のど黒西京焼き>

焼き魚を、華やかな面の余白部分に小さく載せます。金彩に縁どられた花と秋草に包まれた一品は、料理の流れを楽しくします。のど黒は、脂がのって美味しくなるころです。雅膳の一皿です。

季節のうつわは「仁清色絵菊絵七寸皿」です。秋を華やかに彩る器です。

秋の野罌粟(アキノノゲシ) キク科

<日当たりの良い処を好む>

秋の野罌粟(アキノノゲシ)は、宇奈月の日当たりのよい、至る所に生えるキク科の一年草または越年草です。

茎の高さが、200cmにもなる大形で、茎葉は深く羽裂して互生し、茎を切ると白い乳液が出ます。茎の上部は分岐して円錐花序となり、淡黄色の頭花を上向きに多数開く。総苞は円柱状で瘦果が成熟すると、その下部が膨れてきます。

胡麻菜(ゴマナ) キク科

<葉が胡麻の葉と似ている>

胡麻菜(ゴマナ)は、宇奈月の山地の道端や林縁などに生えるキク科の多年草です。

葉は、両面に短毛のある長楕円形で互生し裏面には腺点があります。 9~10月にかけ茎頂に小さな白い頭花を散房状に密に付けます。 茎の高さは1.5mにも達する野菊なのでよく目立ちます。

和名は、葉の形が胡麻の葉に似ていることに由来します。 若菜は香りが楽しめ、おひたしや天婦羅として食すことができます。沢山の花をつけた胡麻菜が咲き並ぶ山路は、秋の風物詩となります。

御蓼(オンタデ) タデ科

<雌株の果実は紅色を帯びる>

御蓼(オンタデ)は、宇奈月の亜高山帯から高山帯にかけて分布する、タデ科の多年草です。

根茎の各節から芽を出し、中空の太い茎を伸ばし、高さが30~100cmになります。 葉は単葉で互生します。

夏から秋にかけて、上部の葉腋から花穂が伸び、総状花序となり円錐状になります。雌株の果実は、痩果で3個の翼があり、紅色を帯びます。

竜胆(リンドウ) リンドウ科

<山の斜面にひっそりと咲く>

竜胆(リンドウ)は、宇奈月の山野に生える、リンドウ科の多年草です。

葉は披針形で、葉縁は切れ込みのない滑らかな全縁です。葉の表面には、3条の並行する脈があり裏面は白く対生し、葉柄は無く茎を抱き、先端は尖っています。茎は、やや細く直立または斜上し、切り口は苦みがあります。花は、茎頂か上部の葉腋に、青紫色の筒状をした鐘形の花をつけます。先端は5裂し上向きに付きます。

和名の由来は、熊胆よりもさらに苦いので竜胆と名づけられました。竜胆の全草は苦く、特に根は苦く薬用とし用いられています。源氏の家紋として知られる笹竜胆は、竜胆の花を図案化したものです。

亜米利加栴檀草(アメリカセンダングサ) キク科

<実は衣服に付く>

亜米利加栴檀草(アメリカセンダングサ)は、北アメリカ原産の帰化植物で、宇奈月の道端や荒れ地などに生えるキク科の1年草です。

茎は、高さが50~150cmになり、四角柱で暗紫色でほとんど毛がありません。葉は対生し無毛で、3~5個の小葉に分かれ鋸歯があり先が尖ります。

9~10月、茎頂に黄色の頭花を付け、舌状花は小さくあまり目立ちません。長い総苞片は6~12個あり葉のように大きく目立ちます。苞とは蕾を包むように葉が変形した部分のことで、キク科の特徴でもあります。

菊花開(きくのはなひらく)

<個室お食事処の室礼:堂本印象「国光」>

10月13日から七十二侯は「菊花開(きくのはなひらく)」で、二十四節気の「寒露」の次侯にあたります。菊が咲き始める頃という意味です。各地で菊祭りが開かれ、朝晩の冷え込みが肌で感じられるようになり、金木犀の香りが漂い始めます。

立山黒部の紅葉前線は、9月中旬の立山室堂平(2450m)付近から次第に高度を下げ、今は黒部平(1828m)付近が紅葉の見ごろです。「秋の日はつるべ落とし」と言うくらいに驚くほど日が短くなり、太陽はあっという間に沈み夜空には冴え冴えと月や星が輝く頃でもあります。

清少納言は、枕草子で「秋は夕暮れ 夕日のさして山の端いと近うなりたるに 鳥の寝どころへ行くとて 三つ四つ二つ三つなど 飛びいそぐさえあはれなり まいて雁などの連ねたるが いとちいさく見ゆるはいとおかし 日入り果てて 風の音虫の音など はた言ふべきにあらず 」と綴っています。山間の出湯に身を委ね、夕暮れ時の虫や風の音を聞きながら、枕草子の風情に触れてみるのも旅ならではの楽しみ方です。

油滴天目向附

<宇宙を想像してしまう景色>

秋が深まるとひやおろしが美味しくなります。肴は、白海老の昆布締のお造りです。白海老は1匹1匹をむき身にし、昆布で締めます。昆布の風味が白海老に伝わる繊細な味わいのお造りです。生姜醤油、煎り酒でお召し上がりください。合わせるお酒は、富山市岩瀬の桝田酒造店の満寿泉LE(リミテッドエディション)山田錦ひやおろしです。バランスが良く、すっきりとした飲み口でのびやかで瑞々しい味わいのひやおろしです。

季節のうつわは「油滴天目向附」です。油滴釉薬の結晶が作り出す千変万化の景色は、宇宙を想像させます。満天の星のような輝きをお楽しみください。

大虎杖(オオイタドリ) タデ科

<白い花の虎杖の群生は圧巻>

大虎杖(オオイタドリ)は、宇奈月の亜高山の草地に生える、タデ科の大型の雌雄異株の多年草です。

地中に根茎が長く伸び、木質化し、各節から芽を出し、中空の太い茎を、大きく伸ばします。葉は広卵形で先は細く尖り、基部は浅い心形で互生します。

夏から秋にかけて、上部の葉腋から花穂が伸び、複数状に白色の小花を付け、花弁がなくて萼片があります。春先の芽は、山菜として食されます。