寒蝉鳴(ひぐらし なく)

<昭和天皇陛下 御製>

8月13日から七十二侯は、「寒蝉鳴(ひぐらし  なく)」で二十四節気「立秋」の次侯にあたる。

寒蝉(かんぜみ、かんせん)とは、立秋に鳴く蝉で、蜩(ひぐらし)、つくつく法師をさす。七十二侯ではひぐらしの事。終わり行く夏を惜しむかのように、夕暮れ時に「カナカナカナ」と鳴く寒蝉の声。宇奈月温泉は四方を山に取り囲まれている地形故、もの悲しい声が多方向から聞こえてくる。

少し前までは、河鹿の鳴き声が黒部の川から「コロコロコロ」と、川風に乗って心地よく聞こえていたのだが、立秋にはいると寒蝉と入れ替わる。河鹿は清流に住む蛙で、文人墨客の宇奈月で詠んだ歌や詩の中に、度々登場するが寒蝉は出てこない。

宇奈月公園には幾つかの歌碑が建っている。 真夏の蝉時雨から余韻を残す寒蝉に変わり、季節の移行のシグナルを肌で感じながら歌碑を辿るのも宇奈月温泉での過ごし方の一つだ。

輪島塗・盛器黒へぎ目 花火絵杉蓋

<匠膳の前菜>

彩りも美しい、匠膳の前菜で、富山の旬の旨物が盛り込んであります。盛器の蓋は、杉の正目板で、夏の風物詩の花火が描いてあり目でも季節感が味わえます。 図案は月替わりで、季節の花鳥や風物詩を題材にしています。

季節の器は、輪島塗・盛器黒へぎ目です。盛器はへぎ板で組み立てられ、裂かれたへぎ目が、漆によって柔らかくうつり、料理が美しく映えます。

宇奈月温泉では8月18日花火大会が行われます。

越路下野草(コシジシモツケソウ) バラ科

<宇奈月の深山に優雅に咲く越路下野草>

越路下野草(コシジシモツケソウ)は、宇奈月の亜高山のやや湿った樹林縁に自生するバラ科の多年草です。

茎は無毛で高さは30cmから大型のもので80cmぐらいになり、葉は掌状複葉で互生します。 頂小葉(複葉の先端にある対にならない一枚の小葉)は大きく掌状に5から7に中裂します。

8月初旬、茎頂に集散花序を作り淡紅色の小さな花を無数につけます。 お茶花に使われる京鹿子は、下野草を園芸品種に改良したものです。

貴賓ある紅色のグラデーションは、蕎麦菜の紺のグラデーションと鳥足升麻の群生の白色が合わさり夏山の色を作り出します。

九蓋草(クガイソウ) ゴマノハグサ科

<山の斜面に群生する九蓋草>

九蓋草(クガイソウ)は、宇奈月の低山から亜高山の斜面に自生するゴマノハグサ科の多年草です。7月から8月頃、川の崖渕や亜高山の斜面に多く見られます。

茎は根際から直立し、長いもので1メートル近くあり直ぐに目に付きます。茎頂に長い総状花序をつけ、多くの小花が密集します。花冠は筒状で花糸が紫色なので、花穂全体が薄紫色に見えます。

葉は楕円形で、先は尖り細かな鋸歯があり輪生しています。輪生葉は、5枚、7枚と奇数が多く、何節も付くことから九蓋草と名付けられました。

青い蕎麦菜や、淡紅色の越路下野草とともに、爽やかな高原の風に揺れながら、天然の花壇を作っています。

紅葉唐松(モミジカラマツ) キンポウゲ科

<深山の落葉樹林内に咲く紅葉唐松>

宇奈月の亜高山帯の湿った谷筋に生えるキンポウゲ科の多年草です。

地下茎を出して繁殖しますので群生します。根出葉はい1~3個で長い柄がり、葉身は円形から半円形で7~9裂し複雑な形になります。上部の茎葉は小形で柄が短くなっています。茎の先に散房花序に花をつけ、花弁はありません。

葉が紅葉手になっているのと、白色の花糸を唐松に見立てたのが名前の由来です。

山蛍袋(ヤマホタルブクロ) キキョウ科

<長野県側は山路蛍袋>

山蛍袋(ヤマホタルブクロ)は、黒部峡谷・日電歩道の切り立った崖沿いに自生しているキキョウ科の多年草です。

宇奈月温泉周辺では白色の蛍袋(ホタルブクロ)が道路沿や山道の日陰になるところで自生しています。 蛍袋は萼と萼の間に上に反り返った付属片がありますが、山蛍袋は付属片がなくすっきりとした萼です。

花は色つきのものが多く、釣鐘型で先端部が5裂しています。 小雨に濡れた花は下向きなので、昆虫達の絶好の雨宿りの場所になります。

犬芥子(イヌガラシ)  アブラナ科

<小さな花は犬辛子>

犬芥子(イヌガラシ)は、宇奈月の山道の道端に自生するアブラナ科の多年草です。

秋に種子から発芽して冬には根出葉が地表にへばりつくように広がります。
葉は長い楕円形で羽状に分裂し、鋸歯がありますが毛はないです。花は総状花序ににつき花柄のある小さな黄色い花を咲かせます。果実は円柱状の線形の莢(サヤ)になり、熟すと裂開して種子を出します。

和名は、芥子に似ているが食べられないまがいものの意味です。役に立たない雑草にはイヌという名前がつきます

涼風至(すずかぜ いたる)

<甘い香りを漂わせる葛の花>

8月8日から二十四節気は「立秋」。猛暑日が続くが、暦の上では秋を迎える。

宇奈月は、日中まだまだ厳しい暑さが続くが、朝に涼やかな川風の気配が感じられるようになる。立秋以降の暑さを残暑といい、手紙の時候の挨拶は「残暑見舞い」となるが、今年はまだまだ酷暑日が続く。

七十二侯は「涼風至(すずかぜ、いたる)」で、二十四節気「立秋」の初侯にあたる。季節は少しずつ秋に向かい、涼しげな風が吹く頃という意味。

山では雨不足により焼けた葉を纏う木々が見られる。葛は様々な樹木に絡みつき、赤紫の花を開花させ、甘い香りを周辺に漂わせている。とにかく暑さに強い植物である。そんな葛の葉の陰から、集く虫の音が聞けるのも間近である。

立山岩蕗(タテヤマイワブキ) ユキノシタ科

<水の滴る谷間に自生する>

立山岩蕗(タテヤマイワブキ)は、宇奈月の深山の谷筋に生えるユキノシタ科の多年草です。

葉は、円形で根葉のみで、基部は心形で縁に整然として大きな卵型の鋸歯が並びます。花径には疎らに微毛があり、小さな花が円錐状に多くつき花柄基部には苞葉があります。花は一見して、蕗雪ノ下と似ています。

周りには、冷たい雪解け水が、常時流れています。