虫狩(ムシカリ) スイカズラ科

<亀の甲羅に似た葉は、虫食いが多い>

虫狩(ムシカリ)は、宇奈月温泉の落葉樹林内に多く見られるスイカズラ科の落葉低木です。雨上がりの林の中で、清楚な白い花を咲かせます。

葉は大きな円心形で葉脈が深く目立ちます。短枝の枝先に、大きい装飾化のある散房花序をつけます。花序とは花をつける茎の部分の総称や花の並び方をいい、散房とは花序の上の面が平らになったものをいいます。

和名の由来は、虫食いの葉が多いところからきています。葉の形を亀の甲羅に見立て別名、大亀の木(オオカメノキ)とも言います。秋には赤い実をつけ、虫食いの照り葉とあわせてお茶会に使われます。

麦秋至(むぎのときいたる)

<黒部川扇状地の麦の収穫の頃>

5月31日から七十二侯は「麦秋至(むぎのときいたる)」で、二十四節気「小満」の末侯となります。黄金色に色づいた麦の穂が実る頃という意味です。

黒部川扇状地の田圃には満面の水が湛えられ、苗が整然と植えられています。一部の田んぼでは麦の穂が実り、収穫の頃となります。麦が実る季節を「麦秋」と呼び、実りの黄金色は梅雨入り前の一瞬の輝きです。この地で栽培される麦は二条大麦で、その麦芽は上品で香り高い宇奈月ビールの原料となります。

黒部の山々は次第に色味を増し、美し緑のグラデーションを見せてくれます。6月1日は衣替えで、旅館の室礼も夏となります。

鬼胡桃(オニグルミ)・雌花  クルミ科

<朱色の雌花>

鬼胡桃(オニグルミ)は、宇奈月の山間部の谷沿いに自生する、クルミ科の落葉高木です。日本列島に広く分布します。

葉は、大型の奇数羽状複葉で、沢胡桃よりも大きく広がっています。花期は5~6月頃で、風媒花で雌雄同株です。雌花は新枝の先に穂状になり雌芯は朱色で二股になっています。雄花は緑色で、前年の枝に房状に垂れ下がります。雨上がりには、胡桃の葉の新緑と雌花の朱色が美しく輝きます。

白雲木(ハクウンボク) エゴノキ科

<雨上がりに、ひときわ白さが眩しい白雲木>

白雲木(ハクウンボク)は、宇奈月の山地に生えるエゴノキ科の落葉高木です。

葉は大きく卵円形で、裏側は密毛があって白く、葉柄の基部は膨らんで冬芽を包んでいます。新枝の先に長い総状花序をつけます。柄のある白色の5深裂した筒状の花を多数垂下します。

満開の白い花を白雲に見立てたことが、和名の由来となっています。

空木(ウツギ) ユキノシタ科

<夏の訪れを知らせる卯の花>

 空木(ウツギ)は、宇奈月の山道の斜面でよくみられるユキノシタ科の落葉低木です。

葉は対生で楕円形になり、先は長くとがり縁には微細な鋸歯があります。 花は、短い枝の先端に円錐花序を付け開花します。 花序は、白色の花弁を5個持ち長楕円形です。 文部省唱歌「夏はきぬ」で歌われている卯の花です。

枝の中に幾分か空洞があるので空木と名付けられました。空木(ウツギ)は 姫空木(ヒメウツギ)よりやや大形で、葉や若枝に星状毛があり、ざらつきがあります。姫空木(ヒメウツギ)は、葉が薄く滑らかです。 よく似ているので見分けが難しいです。

鳴子百合(ナルコユリ) ユリ科

<鳥が羽ばたくような形です>

鳴子百合(ナルコユリ)は、宇奈月の山地の林内に自生するユリ科の多年草です。茎は、円形柱で上部は弓状に曲がり、稜角がなく滑らかなところがアマドコロとの相違点でもあります。

葉は披針形で互生し、主脈、側脈がはっきりしています。花は葉腋に散房状に下垂させ、花筒は緑白色です。和名は、花の垂れ下がった様を鳴子に見立てたことによります。根茎を乾燥させたものが生薬の黄精で、滋養強壮の効果があります。


深山莢蒾(ミヤマガマズミ) スイカズラ科

<全部が開花すると雪が積もったようになる>

深山莢蒾(ミヤマガマズミ)は、宇奈月の山地の樹林内や林縁に自生するスイカズラ科の落葉低木で高さは、2~4mになります。

幹は叢生して、まばらに分岐し若枝、葉の裏面、花序に星状毛が見られます。葉は単葉で対生し、葉身は倒卵状円形で托葉はありません。葉の表面は緑色で無毛で裏面は淡緑色です。花は新枝に散房花序を出し、多数の小白花を開かせます。

ガマズミは古くは万葉集に詠われています。「真鳥住む卯名手の神社の菅の根を衣に書きつけ服せむ児もがも」と、菅の根はミヤマガマズミのことで、赤く熟した果実を衣類の摺り染めに用いたようです。果実酒としても使われています。

白花空木(シロバナウツギ) ユキノシタ科

<まれに白花のタニウツギがある>

白花空木(シロバナウツギ)は宇奈月の山道の則面に生えているのが、まれに見られるユキノシタ科の落葉低木です。

葉は、谷空木と同様、対生で楕円形になり、先は長くとがり縁には微細な鋸歯があります。 花は、新枝の先端や葉腋に散房花序を出し、2から3個の花をつけます。 花冠は白色で筒状鐘形で上部が次第に膨らんで先は5裂しています。枝の中に幾分か空洞があり、白色なので和名の由来となっています。

原種は北海道や日本海側に多く見られます。そのほか宇奈月には沢山のウツギの種類が見られます。

吊花(ツリバナ) ニシキギ科

<緑色の小花を多く付ける>

吊花(ツリバナ)は、宇奈月の山地に自生するニシキギ科の落葉低木です。樹皮は灰色で滑らかです。

樹高は、5m前後になり全株無毛で、本年枝は、丸く緑色で細いです。葉は短い柄があり単葉で対生し、長楕円形で細い鋸歯があります。花柄は7cm前後で葉腋から集散花序を下垂し、緑白色の花を数多くつけます。蒴果は熟すと5裂し、橙赤色の仮種皮に包まれた種子が5個顔を出します。

よく似た植物の真弓(マユミ)は、花弁と蕚と雄蕊が4個ずつ付くのが特徴です。実は4個に裂けます。

真弓(マユミ) ニシキギ科

<紅葉が美しい>

真弓(マユミ)は、宇奈月の山に生えるニシキギ科の大形の落葉低木です。
近縁種にはツリバナがあります。

1年目の枝は緑色をしています。老木になると幹には縦の裂け目が目立つようになります。葉は、長楕円形で対生し細い鋸歯があり、葉脈がはっきりしています。秋の紅葉が美しいです。5~6月にかけて、前年枝に、柄のある集散花序をつけ淡緑色の4弁の小花が開きます。蒴果は、倒三角形で枝にぶら下がるように付きます。

和名は、この材で弓を作ったことによります。