金箔散六寸皿

<今が旬の香箱蟹>

香箱蟹(こうばこがに)は、津和井蟹の雌で雄と比べるとかなり小ぶりです。活蟹会席の一皿です。サイズが小さいので、丁寧に身を抜き甲羅に盛り付けます。つぶつぶの茶色の卵は外子で特別の食感が味わえます。旨みが凝縮された味噌とオレンジ色の内子は濃厚な味で格別の旨みがあります。

季節のうつわは「金箔散六寸皿」です。黄金の輝きに中に、香箱の赤色が映えます。

白高麗銀彩中皿

<上質な甘みの富山海老>

木枯らしが吹き、木の葉が舞い落ちるころ、富山湾で水揚げされる富山海老の甘みが増してきます。お造りがお勧めです。今が旬のアオリイカ、車鯛のお造りも併せてご賞味ください。刺身ダレは延楽オリジナルの煎り酒で。

季節の器は、「白高麗銀彩中皿」です。宮川香斎の作品です。白高麗は、明の福建省泉州徳化窯で焼かれた粗製の白磁です。朝鮮の白掛け茶碗と混同されて白高麗と呼ばれるようになりました。縁と中ほどに銀彩が施されているので、富山海老の赤が優しく引き立ちます。

染付捻文向付

<永寿ならではの美しさ>

白海老はあまりにも小さいため、一般のお醤油だと海老の甘さが負けてしまいます。延楽では特製の出し汁を使います。白海老の甘さを最大限引き出し、地酒に合う旨味です。

季節の器は、「染付捻文向付」で、九谷の名工「矢口永寿」の作品です。呉須の点描で捻文を表しています。永寿の染付は、色合いが美しく優しさがあります。永寿は、明治37年(1904)に京都より永楽保全の門下である滝口加全などの陶工を招き、永寿窯を開業します。仁清、乾山、染付、祥瑞などの作品を多く残しています。

楽双鶴平向付

<内子は格別>

香箱蟹(こうばこがに)は、富山湾で獲れる雌の津合蟹(ずわいがに)です。茶色のつぶつぶの卵は外子で、味噌の部分のオレンジ色の内子は、濃厚な味で格別の旨みがあります。漁期は1月20日までの短期間です。

季節のうつわは「楽双鶴平向付」です。内子、外子の紅色が映える器で、お祝膳の席にも使われます。

渕色絵線輪花

<真鯛香煎揚>

黒部沖合では、1本釣りで底物の真鯛、のど黒、鬼鮋(オニカサゴ)などが釣れます。真鯛は、漁獲量の80%は定置網、残りは刺網や底引網で獲られます。真鯛の美味しい時期の到来です。会席の揚げ物は真鯛の香煎揚げです。

季節のうつわは「渕色絵線輪花」です。複数の色彩を使った線輪花です。

網目色絵小花六寸皿

<のど黒・焼霜>

冬型の気圧配置になると気温が急激に下がります。富山湾の底引き網漁が最盛期を迎えます。魚は脂が乗り、最もおいしくいただける季節となりました。のど黒の脂は身と皮の間についているので、焼霜にします。皮を焼くことにより独特の薫香が出て美味しくなります。

季節の器は、「網目色絵小花六寸皿」です。網目文は線描きで網の目を描いた文様です。

網目の描き方は緩やかに波打つものを基本としますが、横幅の間隔の狭まったもの、結び目のあるもの、二重線のもの、網目に魚文や桜や菊の花文を散らしたものなど様々なバリエーションがあります。これらの文様は17世紀前半から伊万里焼に現れます。

灰釉割山椒向付

<新鮮な白子>

富山湾に冷たい北風が吹くようになると、真鱈が美味しくなります。新鮮な白子はポン酢で食すと格別な旨味があります。雲のように見えるので雲子と呼んでいます。身は昆布で〆て真子をまぶします。鱈の子付として地元では食されています。

季節の器は、「灰釉割山椒向付」です。灰釉(かいゆう)は植物の灰を加えた釉です。植物の灰にはアルカリ金属が含まれ、これが高温になると素地の中の長石を溶かしてガラス化します。色は黄緑色や白濁色になります。

寒椿蒔絵吸物椀

<吸物・蟹真丈>

津合蟹(ズワイガニ)漁は、11月7日から解禁となりました。今年も延楽の活蟹料理を求めて、全国から沢山のお客様がお越しになります。 活蟹会席の吸物は蟹真丈です。極上の出汁と蟹の旨味を味わう至福の一時です。

季節の器は、「寒椿蒔絵吸物椀」で、寒椿をあしらったお椀です。初雪に寒椿が合います。雪化粧した枝の間から赤色の花があらわれます。

着彩柿葉皿

<紅葉の柿の葉をデザインした器>

黒部峡谷は錦繍に輝くようになりました。延楽の対岸の稜線に初雪が降りるのも間近です。いよいよ黒部の三段染めがご覧いただけます。富山湾では秋魳(アキカマス)が水揚げされています。秋魳の磯部揚げです。

季節の器は、三代目澤村陶哉の「着彩柿葉皿」です。紅葉の季節に相応しい色鮮やかな器です。葉表は濃淡を生かした鮮やかな赤絵に緑釉が載せられ、葉脈もはっきりと彫り込んであります。

活蟹会席

<蟹刺し(蟹の洗い)>

津合蟹(ズワイガニ)漁は、11月6日から解禁となりました。今年も活蟹料理を求めて、全国から沢山のお客様がお越しになります。蟹を最もおいしく召し上がっていただくために、調理方法を長年研究してまいりました。

料理内容は、先ずは季節の前菜で始まり、時を見計らって特製出汁の吸い物で箸休め。次の料理は蟹の洗いです。透き通るような活蟹の身を、氷水にさらした蟹の洗い。とろけるような食感の中に濃い甘みが口いっぱいに広がります。

蟹味噌を甲羅焼きで召し上がっていただいてから、焼蟹の始まりです。板前がお客様の目の前で焼き上げます。焼き加減は、中身はあくまでジューシーになるように。続いて特製だしを張った蟹すき。その後はお肉を少し。ブランド牛として評判の氷見牛石焼です。そしてこの後もお料理が続きます。

黒部の山々が、うっすらと雪化粧をすると富山湾の津合蟹漁が最盛期を迎えます。