朔風払葉(きたかぜ このはをはらう)

<終宴:手塚雄二>

11月27日から七十二侯は「朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)」で、二十四節気「小雪」の次侯となります。朔とは北の方角なので朔風は北風のことです。北風が吹いて木の葉を散らす頃という意味です。

黒部峡谷鉄道は11月30日で営業終了となります。宇奈月温泉周辺の木々は、まだまだ色濃い紅葉の葉を残し、晩秋ならではの深い色合いとなっています。山彦遊歩道は、錦色に染まった落葉で綾錦の絨毯を敷き詰めたかのようです。

セレネ美術館の収蔵作品に、黒部の落葉をとらえた手塚雄二氏の「終宴」があります。セレネ美術館に収まった初期の作品で、奥黒部の十字峡での取材を終えて岐路についた時、断崖絶壁の日電歩道に色付いた葉がヒラヒラと舞い落ちてきました。晩秋の黒部の印象を描いた作品です。

これから黒部の峡谷は、雪と紅葉が織りなす幽玄の世界に入ります。