蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)

<客室露天風呂の源泉吐水口>

9月28日から七十二侯は「蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)」で二十四節気「秋分」の次侯となります。集く虫たちが土の中にもぐり始める頃という意味で、虫たちの冬支度です。秋分の日を境に日一日と陽は弱く、昼が短くなります。

七十二侯に、真逆の「蟄虫啓戸(すごもりのむしとをひらく)」があります。半年前の七十二候で冬眠していた生き物が、春の日差しの元に出てくる頃という意味です。蟄虫(ちっちゅう)とは地中にこもって越冬する虫のことです。季節は確実に廻っています。

宇奈月温泉では、黒部の川風で幾分か肌寒さを感じるようになりました。この時期は、早めに宿に入り露天風呂で旅の疲れをいやすのが一番です。705号室の露天風呂は、黒部川の渕の色にも似た玉露色の陶器の浴槽です。その色調は、峡谷の木々の色合いにしっかりと融け込んでいます。源泉がほとばしる緑釉の吐水口は、信楽焼の陶芸家渾身の作品です。