薬師草(ヤクシソウ) キク科

<花は鮮やかな黄色で固まって咲く>

薬師草(ヤクシソウ)は、宇奈月の日当たりのよい山野の路傍や草地に生える、キク科の多年草です。

茎はよく分枝して高さ30cm~120cmになります。初期には根出葉がありますが、花時には無くなり、茎葉だけになります。茎葉は互生し倒卵形で縁に浅い鋸歯があり、基部は後方に丸く張り出し、茎を抱きます。

夏から秋にかけて、枝先や上部の葉腋に、黄色の頭花を数個ずつ付けます。

背高泡立草(セイタカアワダチソウ) キク科

<群生する外来種>

背高泡立草(セイタカアワダチソウ)は、宇奈月の荒れ地や堤などで大群生する、北米原産のキク科の大型多年草です。

茎は高さ2m位にもなり、葉は披針形で互生しています。秋になると茎頂が分岐して、大型の円錐花序になり黄色の小頭花を多数つけます。

日本へは蜜源植物として導入されました。

犬塔花(イヌトウバナ) シソ科

<小花をたくさんつける>

犬塔花(イヌトウバナ)は、宇奈月の山の木陰や路傍に生える、シソ科の多年草です。

茎は、シソ科特有の方形で長さが30cm前後です。葉は、狭卵型でやや薄く、縁には鋸歯があり対生しています。夏から秋にかけて茎の先に花穂を作り、輪生状に淡紅紫色を帯びた小花を付けます。萼は筒状で、先は2唇に分かれ、上唇は3裂、下唇は細く2裂になります。

南京交趾長角向付

<南京交趾>

秋風が吹くと真鯛は脂が乗り美味しくなります。新鮮な真鯛を薄く引いて昆布締めにします。純米吟醸のぬる燗に合う肴です。秋の夜長はぬる燗に限ります。

季節のうつわは「南京交趾長角向付」です。交趾とは現在のベトナム国の南部の古い地方名です。交趾焼とは中国河南省で焼かれた三彩陶磁の日本名で、磁胎と陶胎があります。この内、陶胎の三彩は桃山時代の美濃焼の黄瀬戸や楽焼のモデルとなり、磁胎の素三彩は江戸後期の永楽保全、偕楽園焼、長与焼の重要なモデルとなっています。

蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)

<「秋草の図」塩崎逸陵>

10月18日から七十二侯は、「蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)」で二十四節気「寒露」の末侯となります。夜は肌寒くなり、朝夕の露が冷たく感じられるようになります。「秋の日はつるべ落とし」という言葉の如く、太陽があっという間に沈んで日が短くなると、蟋蟀(きりぎりす)が戸口で鳴くようになります。昔はコオロギのことをキリギリスと呼んでいました。

一雨ごとに秋の深まりが感じられ、黒部の山々の稜線は紅に染まりつつあります。17日の富山県内は上空に寒気が流れ込み、北アルプスの名座は雪化粧しました。黒部の流れる水は透明度が増し、サケの遡上が始まります。サクラマスは皐月の頃に遡上して、今は深い淵に潜んでいます。外気温が下がると支流へ移動して産卵の頃合いを窺っています。

寒露に入ると部屋の室礼も変わります。お軸は塩﨑逸陵の「秋草の図」です。塩﨑逸陵は、富山県高岡市出身の日本画家で東京美術学校(東京藝術大学)に学びます。川端玉章、寺崎広業に師事し、気品あふれる花鳥画や人物画を描きました。芸術家の足跡が延楽に残されています。まさに旅館ならではの文化です。

雌待宵草(メマツヨイグサ) アカバナ科

<帰化植物の一種>

雌待宵草(メマツヨイグサ)は、宇奈月の日当たりの良い草地に生える、アカバナ科の北米原産の帰化植物です。

根出葉は細長く鋸歯があり、茎上の葉はやや小さく広披針形です。葉腋に単生し、花弁は4個で黄色で変異が大きです。花弁と花弁の間に隙間があるものがアレチマツヨイグサで、隙間のないものはメマツグサです。

川緑(カワミドリ) シソ科

<強い香気がある>

川緑(カワミドリ)は、黒部川や宇奈月谷の川岸の法面などの湿りがちな草地に生える、シソ科の多年草です。

茎は、シソ科特有の方形で、全体に薄荷に似た強い香気があります。葉は広卵形で、鋸歯があり対生しています。枝の先に10cm前後の花穂を作り、淡紅紫色の花を密に付けます。萼は筒状で花冠は二唇形で、上唇は直立し下唇は開出して3裂します。

仁清色絵菊絵七寸皿

<のど黒西京焼き>

焼き魚を、華やかな面の余白部分に小さく載せます。金彩に縁どられた花と秋草に包まれた一品は、料理の流れを楽しくします。のど黒は、脂がのって美味しくなるころです。雅膳の一皿です。

季節のうつわは「仁清色絵菊絵七寸皿」です。秋を華やかに彩る器です。

秋の野罌粟(アキノノゲシ) キク科

<日当たりの良い処を好む>

秋の野罌粟(アキノノゲシ)は、宇奈月の日当たりのよい、至る所に生えるキク科の一年草または越年草です。

茎の高さが、200cmにもなる大形で、茎葉は深く羽裂して互生し、茎を切ると白い乳液が出ます。茎の上部は分岐して円錐花序となり、淡黄色の頭花を上向きに多数開く。総苞は円柱状で瘦果が成熟すると、その下部が膨れてきます。

野紺菊(ノコンギク) キク科

<一般的にみられる野菊>

野紺菊(ノコンギク)は、宇奈月の山野や路傍に生えるキク科の多年草で、地下茎を出して増えます。野菊の一種である嫁菜によく似ていて、地方によっては変種もあるので見分けるのが困難です。

茎は、よく分岐して真直ぐ伸びます。葉は長楕円形で互生し、両面に短毛を密生してざらつきます。この点が、ほぼ無毛の嫁菜との違いです。茎の先端の花序はゆるい散房状で、頭花の周辺の舌状花は細長く紫色から淡紫色の野菊です。