黒竹小判形籠

<秋の前菜:吹き寄せ>

秋の前菜は、旨い物で盛りだくさんです。食材が豊富なこの時期、実りの秋を味わいたいものです。盛り付けは黒竹で編んだ籠を用意しました。雅膳の滞在料理の一品です。

季節の器は、「黒竹小判形籠」です。籠の器は人の温もりが感じられます。黒竹の 桿は、初めは緑色で夏を過ぎるとだんだん黒くなり、2年ほどで黒々くなります。その黒竹を細く平らに削いで編み込みます。籠の底には、へぎ目の杉板を使いますので、料理が安定して美しく映えます。

黒花引起し(クロバナヒキオコジ) シソ科

<濃紺の小さな花が集まっている>

黒花引起し(クロバナヒキオコシ)は、宇奈月の林道沿いの草地に生える、シソ科の多年草です。 日本海側に多く分布し、日本の固有種です。

茎は直立して、シソ科特有の方形で、高さ50~150cmになります。葉は対生し、三角状広卵形で 縁に鋸歯があり、先は尾状に尖っています。

茎頂に円錐花序を作り、5mm程の暗紫色の小花をたくさんつけます。 花はあまり目立ちませんが、色が黒に近い濃紺なので、山野草の中では珍しい色です。 花冠は長さ5mm、合併で二唇形となり、下唇が大きくボート型に突出します。

引起しは、強烈な苦みがあり、弘法大師が瀕死の重病人に飲ませたら起きあがったという伝説から命名され、別名を延命草ともいいます。引起しの仲間には、黒花引起し、亀葉引起し、白山亀葉引起し等の種類があります。