白山一華(ハクサンイチゲ) キンポウゲ科

<お花畑を彩る白山一華>

白山一華(ハクサンイチゲ)は、宇奈月の高山帯の湿った草地に、大群落をつくるキンポウゲ科の多年草です。

花茎の高さは10~30cmで直立します。根出葉は柄があって掌状に裂けます。茎頂の総包葉の中心に1~5個の花を開きます。白色の花は萼片で5~7個あり花弁状となります。高山のお花畑を彩る代表的な高山植物です。

御前橘(ゴゼンタチバナ) ミズキ科

<4個の白色の総苞は、花びらではない>

御前橘(ゴゼンタチバナ)は、宇奈月の高山に自生するミズキ科の常緑小草本です。

地下茎から10cm位の茎が直立し、頂部に6個の葉を輪生してつけます。葉は、楕円形で先端は尖っています。花は、4個の白い総苞に囲まれています。同じミズキ科のハナミズキやヤマボウシに似ています。

小梅蕙草(コバイケイソウ) ユリ科

<大形の草本なので、ひときわ目立ちます>

小梅蕙草(コバイケイソウ)は、宇奈月の高山の草地や湿地に自生するユリ科多年草で群生します。初夏の山を代表する花の一つです。

高さは1mほどの大形で群生しますので目立ちます。葉は、光沢があり硬く葉脈がはっきりとした長楕円形で互生します。7月に穂の先に白い花をつけます。花茎の先端部は両性花で横に伸びる花は雄花です。

全草にプロトベラトリン等のアルカロイド系の毒成分を含みます。誤食すると嘔吐や痙攣を起こし、重篤な場合は死に至ります。若芽は山菜のウルイ、広葉雪笹、行者大蒜に似ているので、誤食による事故がよくおきます。

和名は、花が梅に似ており、葉が蕙蘭に似ていることに由来します。

峰薄雪草(ミネウスユキソウ) キク科

<日本版エーデルワイス>

峰薄雪草(ミネスユキソウ)は、宇奈月の高山の岩場や草地に生えるキク科の多年草です。唐松岳、白馬岳、旭岳、清水岳の登山ルートで見かけます。別名、白馬薄雪草(シロウマウスユキソウ)で知られています。

茎は高さ20~40cmとなり、葉は披針形で長さ4~6cmで無柄で両端は尖り、裏面は綿毛で白く、互生します。茎頂で短い枝を出し、白綿毛に覆われた苞葉の間に7月ごろ多数の頭花をつけます。頭花は綿毛に覆われた細い3裂の総苞片に囲まれて、頭花の周辺部には雌花が、中心部には両性花を付けます。

和名は、白い綿毛に覆われた状態を薄雪に見立てた事に由来します。

九十九草(ツクモグサ) キンポウゲ科

<ガスがかかると花が閉じてしまう>

九十九草(ツクモグサ)は、宇奈月の高山帯の白馬岳、清水岳山頂直下の岩礫地や稜線沿いの風衝草地に生えるキンポウゲ科の多年草で、日本固有の高山植物です。

全体が毛で覆われ、葉は掌状に細かく深裂します。細葉で複雑なパセリのようになります。花茎の高さは5~15cmで、茎頂に上を向いた漏斗状の6個の萼片が花弁状になり淡黄色の花となります。ガスがかかったり雨の日は、花は萎んでしまいます。外側を白い毛で覆った萼片は、晴れると開きます。

岩梅(イワウメ) イワウメ科

<葉は密で礫地を覆う>

岩梅(イワウメ)は、宇奈月の高山帯の岩地や礫地に自生する、イワウメ科の常緑小低木です。

枝は、風雪に耐えながら横に這い、厚い革質の葉が密生しているので木本には見えません。葉は倒卵状の楔形で丸まって、高山の岩場にカーペット状に広がって群落を作ります。花は、乳黄白色で枝先に長さ2cmほどの花柄を出し、その先に梅と似た花を上向きにつけます。花冠が5中裂するため花弁が5枚のように見えます。

群落とは、幾つかの異なった植物が同一環境に生育していることで、群生は同一種の植物が同じ場所に群がって生えていることです。高山帯では両方が見れます。

深山東菊(ミヤマアズマギク) キク科

<アズマギクの高山型>

深山東菊(ミヤマアズマギク)は、宇奈月の高山の乾いた礫地や礫の多い草地に生えるキク科の多年草です。

全体に軟毛があり、根茎に1~4cmの箆形の葉が多数つき、茎にも小葉が付きます。茎の先端に淡紅紫色の舌状花と黄色の筒状花からなる径3cmほどの頭花を1個つけます。稀に白色の白花深山東菊が見られます。

白馬山系は、地質学的に蛇紋岩が多いため、固有なものが多く生育し、白馬の生態系を作っています。とりわけ白馬山系の宇奈月側は、頂上から斜面がなだらかになっているので、蛇紋岩植物が生育する高山植物の宝庫となっています。白馬岳(宇奈月側)、旭岳(宇奈月町)、清水岳(宇奈月町)は、天空のお花畑コースになります。

岩弁慶(イワベンケイ)ベンケイソウ科

<岩場を彩る岩弁慶>

岩弁慶(イワベンケイ)は、宇奈月の高山帯の風当たりの強い岩場や岩礫地に生育するベンケイソウ科の多年草です。白馬岳から旭岳、清水岳に至る登山道沿いの岩場で見ることができます。

高さは4cm前後で、葉は多様な形の多肉質です。雌雄異株で黄色の花は雄株で赤色の花は雌株です。和名は、厳しい環境下でも強く生育することに由来します。

深山金梅(ミヤマキンバイ) バラ科

<岩場を黄金色に彩る>

深山金梅(ミヤマキンバイ)は、宇奈月の高山の岩場に自生するバラ科の多年草です。

茎は赤みがかり高さ10cmから20cmの小形で、根出葉は太い根茎上に数個つき、卵型で鋸歯のある3枚の小葉からなります。花は黄色の5片花で花びらの内側はオレンジ色です。

花は、信濃金梅(シナノキンバイ)とよく似ています。シナノキンバイはキンポウゲ科でトリカブトのように葉の切れ込みが深く、細く分裂しています。

高嶺茨(タカネイバラ) バラ科

<ガスが晴れると淡紅色の花が現れる>

高嶺茨(タカネイバラ)は、宇奈月の高山帯に自生するバラ科の落葉低木です。北海道や日本海側の高山に分布する野生の薔薇です。

樹高は1~2mになり、枝はよく分枝し刺針があります。葉は10cm前後の奇数羽状複葉で、小葉は5~7個で質が薄く、小柄をもち、楕円形で上部ほど大きくなります。 7月、小枝の先端に1個の花をつけます。花冠は径は4~5cmで紅紫色の5弁花で多数の黄色い雄蕊があります。果実は洋梨形で赤色に熟しますす。