溝蕎麦(ミゾソバ) タデ科

<秋の妖精>

溝蕎麦(ミゾソバ)は、宇奈月の山路や谷間などの湿地に自生するタデ科の一年草です。 宇奈月のスキー場で、群落を形成します。

茎の高さは、40~70cmでまばらに分岐して、下向きの棘があります。葉は互生し、鉾型で毛がまばらに生えます。 花は枝先に花穂を出し10個ほどの米粒のような形の小花を集めて付けます。 萼は5裂し淡紅色、白色などの色があり花弁がありません。

和名は、花と葉の形が蕎麦に似て、溝などの湿った所に群生することに由来します。ミゾソバの群生は、秋の深まりを感じさせてくれます。

胡麻菜(ゴマナ) キク科

<葉が胡麻の葉と似ている>

胡麻菜(ゴマナ)は、宇奈月の山地の道端や林縁などに生えるキク科の多年草です。

葉は、両面に短毛のある長楕円形で互生し裏面には腺点があります。 9~10月にかけ茎頂に小さな白い頭花を散房状に密に付けます。 茎の高さは1.5mにも達する野菊なのでよく目立ちます。

和名は、葉の形が胡麻の葉に似ていることに由来します。 若菜は香りが楽しめ、おひたしや天婦羅として食すことができます。沢山の花をつけた胡麻菜が咲き並ぶ山路は、秋の風物詩となります。

穂躑躅(ホツツジ) ツツジ科

<淡紅色の小花を沢山つける>

穂躑躅(ホツツジ)は、宇奈月の山に生えるツツジ科の落葉低木です。 枝を束ねて箒を作るとこから山箒とも言います。

葉は楕円形で互生し先はやや鋭頭形です。 花は9月ごろから新枝の先に円錐花序を付けるところから、和名の由来となっています。 花序は直立し、淡紅色の小花を横向きに多数開かせます。 花弁は線形で3枚から4枚が反り返って丸まり、雄しべが長くまっすぐに伸びるのが特徴です。

全草にグラヤノトキシンという有毒成分が含まれます。 黒部峡谷の岩場を真っ赤に彩めるのがホツツジです。 宇奈月温泉周辺の紅葉の見頃は、11月7日前後です。

嫁菜(ヨメナ) キク科

<一般的な野菊>

嫁菜(ヨメナ)は、宇奈月の原野や道傍に生えるキク科の多年草で、代表的な野菊で日本特産種です。

茎は、緑色で紫色を帯び、よく分岐します。葉は、披針形で互生し、粗鋸歯があります。夏から秋にかけて、枝頂に頭花を1個開かせます。舌状花は、淡紫色で管状花は黄色です。

和名は、若菜は香りもよく美味しくて、花は花嫁のように美しいことに由来します。

虎杖(イタドリ) タデ科

<草地に群生する>

虎杖(イタドリ)は、宇奈月の日当たりのよい山野に生えるタデ科の多年草です。
地中に根茎が長く伸びて木質化し、各節から芽を出し、中空の太い茎を伸ばします。

葉は広卵形で先は細く尖り、基部は浅い切形で互生します。
夏から秋にかけて、上部の葉腋から花穂が伸び、複数状に白色の小花を付け、花弁がなくて萼片があります。春先の芽は、山菜として食されます。

黒花引起し(クロバナヒキオコジ) シソ科

<濃紺の小さな花が集まっている>

黒花引起し(クロバナヒキオコシ)は、宇奈月の林道沿いの草地に生える、シソ科の多年草です。 日本海側に多く分布し、日本の固有種です。

茎は直立して、シソ科特有の方形で、高さ50~150cmになります。葉は対生し、三角状広卵形で 縁に鋸歯があり、先は尾状に尖っています。

茎頂に円錐花序を作り、5mm程の暗紫色の小花をたくさんつけます。 花はあまり目立ちませんが、色が黒に近い濃紺なので、山野草の中では珍しい色です。 花冠は長さ5mm、合併で二唇形となり、下唇が大きくボート型に突出します。

引起しは、強烈な苦みがあり、弘法大師が瀕死の重病人に飲ませたら起きあがったという伝説から命名され、別名を延命草ともいいます。引起しの仲間には、黒花引起し、亀葉引起し、白山亀葉引起し等の種類があります。

晒菜升麻(サラシナショウマ) キンポウゲ科

<純白の花が美しい>

晒菜升麻(サラシナショウマ)は、宇奈月の低山から、亜高山帯の沢沿いに生える、キンポウゲ科の多年草です。

根出葉は大きく、長柄があって、1~2回3出複葉で、小葉が多くあります。早いものは9月の初めから、長い総状花序を付けます。花弁は白色で、山鳥兜と同時期に咲き出します。沢沿いに山鳥兜の群青と晒菜升麻の純白のコントラストが美しく映えます。

名前の由来は若葉を煮て水で晒して食べるところからきています。キンポウゲ科の植物はアルカイロイドを含んでいる毒性の物が多くあります。漢方の升麻は、この地下茎からとり古くから解毒、解熱用として用いられました。

青磁の花入れに鳥兜と生けると、葉の形も見事で最高の取合せです。

深山莢蒾(ミヤマガマズミ) スイカズラ科 

<光沢のある実>

深山莢蒾(みやまがまずみ)は、宇奈月の山地の明るい樹林内や林縁に生育するスイカズラ科の落葉低木で、高さが4mになります。若い枝は緑色でほとんど無毛です。

葉は対生し、托葉が無く広倒卵形で葉脈の走りは端正です。ガマズミに似ていますが葉先は長く伸び尖っています。花期は5~6月で、枝の先に1対の葉と共に散房花序をつけ、白色の多数の花を密に付けます。雄蕊は長く花冠から突き出ています。

果実はやや大きく、9月末頃から赤熟します。秋の照葉と赤い実が山路を美しく彩ります。

御山竜胆(オヤマリンドウ) リンドウ科

<高山型で小さい>

御山竜胆(オヤマリンドウ)は、宇奈月の亜高山帯の草原や湿地に生える、リンドウ科の多年草で、日本の特産種です。

葉は、広披針形で中央脈がはっきり出ていて、互生します。根茎は太く、株から複数の茎が直立し、高さが60cmぐらいになります。

花は、濃紫色で茎頂に複数付けます。花弁は5裂し、わずかに開き細長くすぼまった形です。

釣鐘人参(ツリガネニンジン) キキョウ科

<花柱が長い釣鐘人参>

釣鐘人参(ツリガネニンジン)は、宇奈月の山野に生える、キキョウ科の多年草です。

茎は、分岐せず直立し高さが1mぐらいになり、切るとキキョウ科特有の乳液が出てきます。根出葉は円心形で、茎葉は長楕円形で3~4個が輪生します。

花は、茎上部の節から、輪生する小枝の先に数個下向きに開き、全体が円錐花序になります。花冠は2cm位の釣鐘状になり先端はやや広がり、淡紫色で先は5裂になっています。萼片は糸状で鋸歯があり、花柱が花冠から突出しています。