白根葵(シラネアオイ) シラネアオイ科

<深山の谷間の雪が解けだすと現れるシラネアオイ>

白根葵(シラネアオイ)は、宇奈月の深山の木陰に生えるキンポウゲ科の多年草で、日本固有種です。

花は、茎頂に1個つき、花弁はなく淡紫色の大きな額片が4個あります。
その下に腎臓形の葉が2個、対生しています。
さらにその下には葉柄の長い、掌状に中裂した葉が互生します。
和名は、花が立葵に似て、日光白根山に多く産することに由来します。

野茨(ノイバラ) バラ科

<日本を代表する野生のバラ>

野茨(ノイバラ)は、宇奈月の日当たりのよい山野に自生する、バラ科の蔓性落葉低木です。

高さは2m位になり、よく分岐して繁みを作り、枝には鋭いとげがあります。
葉はバラ科に特徴的な奇数羽状複葉で互生します。小葉は2~4対で7~9個つきます。

枝先の円錐花序に、多数の白色の花をつけます。
花弁は5個、平開し芳香があります。

麒麟草(キリンソウ) ベンケイソウ科

<岩場に咲く黄金色の麒麟草>

麒麟草(キリンソウ)は、宇奈月の山地の岩場に自生するベンケイソウ科の多年草です。

葉は、肉厚の倒卵形でまばらに鋸歯があり、基部はややクサビ形で葉柄は無く互生しています。茎は円柱状で太く、茎頂に黄色の5弁花の小花の密な集散花序を出します。

花の後にできる実は、袋果で熟すと種が岩場に放出され、新たな芽を出します。

花苦菜(ハナニガナ) キク科 

<黄色の花弁が鮮やか>

花苦菜(ハナニガナ)は、宇奈月の山地や草原などに普通に生えるキク科の多年草です。

茎は細く50cm内外で、根出葉は広披針形で縁辺に不整の鋸歯があります。
茎葉の基部は、茎を抱き茎の上部が分岐集散状に多数の頭花が開きます。
黄色の舌状小花は8~10個あります。

茎は細く50cm内外で、根出葉は広披針形で縁辺に不整の鋸歯があります。
茎葉の基部は、茎を抱き茎の上部が分岐集散状に多数の頭花が開きます。
黄色の舌状小花は8~10個あります。

二輪草(ニリンソウ) キンポウゲ科

<花柄を2本だし白色の花を咲かせる>

二輪草(ニリンソウ)は、宇奈月の落葉樹林内で群落を作るキンポウゲ科の多年草です。早いところでは、5月初旬から開花します。

根茎は太くて短く、葉の形状は心状円形で3小葉に分かれ、小葉は3裂して切り込みが複雑なキンポウゲ科の特徴がでています。
総苞片は3個で茎の先につき、無柄で3裂します。

総苞片の中心から花柄を2本出して先端に白花を単生します。
二輪咲かせるのことが和名の由来となっています。
稀に緑色の覆輪の花を見ることがあります。

笹百合(ササユリ) ユリ科

<気品と芳香のある笹百合>

笹百合(ササユリ)は、宇奈月の山地の草叢に生えるユリ科の多年草です。

短い花柄を持った披針形で細い葉を互生し、葉先は尖り主脈がはっきりしています。
和名は、笹の葉に似ていることが由来となっています。
茎は分岐せずに長さは40~70cm位です。

6月ごろ、淡桃色の漏斗状鐘形の花を横向きにつけて開花します。
花に近づくと独特の芳香が漂うので、すぐに見つけることができます。
茎の最下部で切ると絶えることがあります。
栽培は極めて困難な山野草です。

衝羽根草(ツクバネソウ) ユリ科

<ひっそりと咲く花>

衝羽根草(ツクバネソウ)は、宇奈月の落葉樹林の林床に生えるユリ科の多年草です。

茎は、地下茎の先端から1本立ち上がって直立し、葉は4個で輪生し卵形で柄が無く、先は鋭く尖っています。
花は淡い緑色で、輪生した葉の中心から出た花柄の先に1個だけ付けます。
秋になると丸い黒い実を付け、披針形の萼片の部分が羽子板の羽根のようになります。
和名の由来は、花を衝羽根に見立てたところからきています。

蛍袋(ホタルブクロ) キキョウ科

<下向きに咲く蛍袋>

蛍袋(ホタルブクロ)は、宇奈月の山路沿いの草叢に自生するキキョウ科の多年草です。

全体に毛が生えていて、根茎は短いですが、長い匍匐枝を横に出して増えていきます。
茎は分岐することなく伸びて、茎葉は長卵形で互生し、縁に不揃いな鋸歯があります。

梅雨の時期に、茎頂と上部葉腋に白色の大型鐘状花で下向きに開くので、虫達がよく雨宿りします。花の内面に紫斑があり、先が5裂で、緑色の蕚も5裂ですが、その上部だけが反り返ります。

宇奈月ではほとんどが白花ですが、山を越えた長野県では赤紫色の山蛍袋(ヤマホタルブクロ)が多く、蕚の上部は反り返りません。

沢胡桃(サワグルミ) クルミ科

<緑黄色の若い果実>

沢胡桃(サワグルミ)は,宇奈月の沢沿いに自生する、クルミ科の落葉高木です。和名は沢沿いに自生することに由来します。若葉は、黒部峡谷を美しい萌黄色で彩ります。

峡谷沿いに多く直立し、高いもので30mになります。葉は大形で奇数羽状複葉で互生します。小葉は5~10対あり、洋紙質で先は鋭く尖り縁には細鋸歯があります。雌雄同株で雌雄異花。新枝の先に雌花序が垂下し、枝の基部から黄緑色の雄花序が多数垂下します。

果実は食用にはなりません。一般的に食用に適するのはオニグルミの実です。

七竈(ナナカマド) バラ科

<黒部峡谷の新緑を飾るナナカマド>

七竃(ナナカマド)は、宇奈月の亜高山帯に自生する、バラ科の落葉小高木です。
黒部峡谷・欅平周辺や、僧ケ岳登山道沿いなどに見られます。

葉は、奇数羽状複葉で互生し、小葉は5~7対の披針形で鋭い鋸歯があります。
初夏には新しい枝の先に大きな複散房花序をつけ、花は5弁の白い花で、朝もやの中で際立っています。

材は堅く、七回竃に入れても燃え切らないところから、あるいは炭を作る竃で、7日間も焼かなければならないという事が和名の由来となっています。
燃えにくいところから、神社では落雷除けの神木として植えられました。

宇奈月温泉では、街路樹として園芸品種のナナカマドが植えられています。
秋には葉が真っ赤に紅葉し、葉が落ちた後の赤い実はルビーのように美しく輝きます。
その実を啄みに、鳥たちがやってきます。