鶺鴒鳴(せきれいなく)

<旧山彦鉄橋:鶺鴒は水辺の小径でよく見かける>

9月12日から七十二侯は「鶺鴒鳴(せきれいなく)」で、二十四節気の「白露」の次侯となります。季節は中秋で、鶺鴒が鳴き始める頃という意味です。ちなみに、秋を三つに分けると初秋は、二十四節気の立秋、処暑の期間、仲秋は白露、秋分の期間、晩秋は寒露、霜降の期間となります。

鶺鴒(せきれい)は、温泉街周辺で春から秋にかけて観察することができます。川沿いの小径や山道でチチッチチッと高い鳴き声を発して、長い尾をしきりに上下に振りながらまるで道案内をしてくれるかのように小走りに動きます。黒部の渓流沿いや宇奈月谷などの水辺に棲んでいます。

鶺鴒は、古くは日本神話の国産みの神聖な鳥として日本書紀に登場します。白い鶺鴒の季語は秋で、我が国では白というと雪を連想しますが、中国では五行思想により、白は秋の色とされています。

五行思想では四季の変化は、五行の推移によって起こると考えられ、方角や色などあらゆるものに五行が割り当てられます。春は青、夏は赤(朱)、秋は白、冬は黒(玄)。四季に対応する色と時を合わせてできた言葉が、青春、朱夏、白秋、玄冬などがあります。北原白秋の雅号はこれにちなんでいます。

 

横笛型、兎丸型・珍味入れ

<秋の旬彩>

 秋の酒菜を彩りよく竹籠に盛り込みました。黒部の山の珍味と富山湾の海の珍味を盛沢山に取り揃えました。

秋の酒といえば「ひやおろし」です。黒部峡のひやおろしがおすすめです。新酒に火入れをして、ひと夏、蔵の中で寝かすとコクのある味わいになります。ぬる燗でゆっくりと味わって下さい。

季節の器は、 「横笛型珍味入」と「兎丸型珍味入」です。秋の夜長をお付き合いします。

秋の麒麟草(アキノキリンソウ) キク科

<秋の野草では美しく黄金色になる>

秋の麒麟草(アキノキリンソウ)は、宇奈月の登山道沿いに群生する、キク科の多年草です。低山地から亜高山へと開花が移り、標高が高くなるに従って小形化してきます。

茎の高さは、40~80cmで直立し、細くて強いです。葉は披針形で互生します。茎頂に散房又は総状に、多数の黄色の頭花を付けます。総苞は筒状で総苞片は4列です。和名の由来は、秋に咲く麒麟草のようであるところからきています。