栃の木は、黒部峡谷沿いや温泉街の近くの宇奈月谷沿いに、多く見られるトチノキ科の直幹性の落葉高木で、高さ30mにもなります。宇奈月栃の森は、江戸時代に加賀藩によって植林され、大切に守られてきました。栃の実は、飢饉の際の大切な食料になるので伐採を禁止されてきました。
陽射しを遮る大きな葉は、5個から7個の奇数の葉が掌状に集まった複葉です。中央の葉が最も大きく最大で40cm位になり、端になるに従って小さくなっていきます。 枝先に直立する15cmから25cmの円錐花序を作り、その枝側に径1.5cm位の花を多数つけます。花弁は4個で白色で中央は淡紅色を帯びます。秋には丸い実ができて落下します。その殻の中に栗に似た赤褐色の種子があり、地元では栃餅や栃粥として食べます。渋に含まれるアクを取るのに、真竹を焼いた灰を使います。
朴の木と栃の木を、見分けるには葉を調べます。朴の葉は、枝先の新しく伸びた部分に集まって互生しますが、束生しているので輪生状に見えます。栃の葉は 掌状なので違いが判ります。