鴻雁来(こうがん きたる)

<1993年院展出品作「刻」>
令和記念特別展「田渕俊夫 至極の日本画」より

10月8日から二十四節気は「寒露」となる。夜空に輝く星が冴える頃、秋が徐々に深まり、夜は肌寒く朝夕の露が一層冷たく感じられるようになる。七十二侯は「鴻雁来(こうがん きたる)」で、雁が北から渡ってくる頃という意味。

これに対して半年前の七十二侯は、「鴻雁北(こうがん かえる)」で雁が北に帰っていく頃で、今年は4月10日だった。七十二侯は、先人たちの豊かな感性が育んだ、日本の暦である。

田渕俊夫画伯の令和記念特別展も、いよいよ終盤を迎える。今回の秀作の中でもとりわけ目を引くのが、1993年院展出品作「刻」で、冬の函館山から、街の明かりが徐々にともり、日が暮れようとしている刻を捉えた名作である。

そこには、街の建物が詳細に配置され、無数の明かりが描かれている。函館山を包む、北の大地の冷え切った空気感も伝わってくる。画伯は昼から山に登り、寒さに耐えながら、明かりが少しずつ点灯していく様を捉えられた。

会期は10月14日迄。

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