
秋から冬場にかけての武鯛(ブダイ)は淡白で甘味があるので、味噌柚庵焼きにします。地酒の肴に合います。富山市岩瀬の満寿泉の純米吟醸がお勧めです。切れのいい純米酒で至福の時です。
季節のうつわは「焼締六寸皿」です。使うほどに味わい深くなるのが焼締の器です。焼締めは釉薬を使用しないので、土そのものの特長が表れ素朴で味わい深い作品になります。登り窯で長時間焼くため薪や藁の灰の付着があります。それが自然釉となり思いがけない景色の器ができることがあります。

秋から冬場にかけての武鯛(ブダイ)は淡白で甘味があるので、味噌柚庵焼きにします。地酒の肴に合います。富山市岩瀬の満寿泉の純米吟醸がお勧めです。切れのいい純米酒で至福の時です。
季節のうつわは「焼締六寸皿」です。使うほどに味わい深くなるのが焼締の器です。焼締めは釉薬を使用しないので、土そのものの特長が表れ素朴で味わい深い作品になります。登り窯で長時間焼くため薪や藁の灰の付着があります。それが自然釉となり思いがけない景色の器ができることがあります。

11月2日から七十二侯は「楓蔦黄(もみじつたきばむ)」で、二十四節気「霜降」の末侯となります。楓や蔦が黄色く色付き、紅葉が最も美しくなる頃という意味です。
宇奈月温泉周辺は黄色や赤に彩られ、日一日と色が濃くなります。黒部の谷では深紅がこれから鮮やかになります。黒部峡谷には楓の大樹が数多く自生し、なかでも赤く染まるのは、ハウチワカエデ、ウリハダカエデ、イロハモミジ、ヤマモミジ等があります。黄色く色づくものは、イタヤカエデ、ヒトツバカエデ等があり、針葉樹や常緑樹の緑と流れる水の青さなどが入り混じり、峡谷は極彩色に彩られます。
黒部峡谷・セレネ美術館の所蔵作品の中に、塩出英雄氏の「遠山初雪」があります。11月初旬、画伯を黒部峡谷鉄道の終点である欅平から工事用の立坑エレベーターを使い、展望台へとご案内しました。そこには初冠雪を戴いた白馬連山が神々しく輝いていました。左手の欅平側の名剣山は紅葉真っ盛りで、山々が赤と黄色に染まっていました。画伯は、黒部の渓谷は、宗教的な荘厳な輝きを帯びていると感嘆の声をあげられたのが印象に残っています。まさに極彩色を帯びた黒部奥山の秋です。

吊花(ツリバナ)は、宇奈月の山地の樹林内に生える、ニシキギ科の大形の落葉低木です。
全株無毛で、樹皮は灰色になり、本年枝は丸く細くて緑柴色です。葉は短柄で単葉で対生し、長楕円形で縁には細かい鋸歯があります。
5~6月、葉腋に柄のある集散花序をつけ、十数個の小花をまばらに下垂して開きます。花は淡緑色で5数性です。10月の終わりに球形の蒴果は、紅色に熟し5裂します。

朝晩の肌寒さが感じられるようになると、富山湾の旬魚が美味しくなります。
キジハタ、アラ、トヤマエビ、ノドグロ等の旬魚のお造りは格別で、地酒が進みます。
季節のうつわは「仁清色絵楓絵六五皿」です。
艶やかな色絵は秋の彩を楽しませてくれます。
いよいよ奥黒部の山々も紅に色づき始めます。

秋時雨で、急激に気温が下がると、紅葉の粧いが色濃くなります。
峡谷を流れる水は、ますます透明さを増します。富山湾では身が引き締まった魚が水揚げされます。
割鮮の 極めつけは、延楽特製の「煎り酒」です。
魚の旨みがしっかりと味わえる伝統の刺身ダレです。
合わせる酒は羽根屋大吟醸「翼」で、ふくよかな含香をお楽しみください。
季節のうつわは「仁清色絵紅葉六寸皿」です。
露天風呂に浸かりながら、黒部の秋の深まりを静かに味わえるお薦めの季節です。

紅津和井蟹が旨くなってきました。11月7日は本津和井蟹が解禁となります。
富山湾の秋の味覚から冬の味覚へと変わり、紅津合蟹に本津合蟹が加わり、ますます味覚が濃厚になります。
季節のうつわは「仁清色絵紅葉絵向付」です。
紅津合蟹が、色絵の紅葉に艶やかに映えます。

10月28日から七十二侯は「霎時施(こさめときどきふる)」で、二十四節気「霜降」の次侯となります。霎(こさめ)は、小雨ではなく通り雨で時雨(しぐれ)のことです。一雨毎に気温が下がり、冬が近づく頃という意味です。一雨毎に気温が一度下がるので「一雨一度」とはよく言ったものです。
秋晴れの下、黒部川河川敷から上流を望むと初冠雪を戴いた後立山連峰が白く輝いています。富山県と長野県の境をなしている連山です。左から白馬岳(2932m)、旭岳(2867m)、清水岳(2603m)の名座で、さらには五竜岳(2814m)、鹿島槍ヶ岳(2889m)と連なっています。いずれも黒部川を育む名座です。
秋時雨は、冬支度を始める合図で、黒部川の支流ではサクラマスの産卵が始まっています。黒部峡谷鉄道の最終駅である標高600mの欅平付近は、今が紅葉真っ盛りです。黒部峡谷の紅葉前線は、宇奈月温泉へと約10日間かけて降りてきます。山間の出湯を取り囲むは山々は、いよいよ錦繡の時を迎えます。

蔓苦草(ツルニガクサ)は、宇奈月の山野の林縁などに生えるシソ科の多年草です。
根茎は細長く地中を這います。茎は高さ20~80cmでシソ科特有の四角形で細かい毛があります。葉は対生し、長い柄があり長卵形で先は尖り、基部は細くなり縁には粗い鋸歯があります。
8~10月、上部の葉腋から総状花序を出し、小さな唇形花を多数つけます。

野紺菊(ノコンギク)は、宇奈月の山野や路傍に生えるキク科の多年草で、地下茎を出して増えます。野菊の一種である嫁菜によく似ていて、地方によっては変種もあるので見分けるのが困難です。
茎は、よく分岐して真直ぐ伸びます。葉は長楕円形で互生し、両面に短毛を密生してざらつきます。この点が、ほぼ無毛の嫁菜との違いです。茎の先端の花序はゆるい散房状で、頭花の周辺の舌状花は細長く紫色から淡紫色の野菊です。

秋風が吹くと真鯛は脂が乗り美味しくなります。新鮮な真鯛を薄く引いて昆布締めにします。純米吟醸のぬる燗に合う肴です。秋の夜長はぬる燗に限ります。
季節のうつわは「南京交趾長角向付」です。交趾とは現在のベトナム国の南部の古い地方名です。交趾焼とは中国河南省で焼かれた三彩陶磁の日本名で、磁胎と陶胎があります。この内、陶胎の三彩は桃山時代の美濃焼の黄瀬戸や楽焼のモデルとなり、磁胎の素三彩は江戸後期の永楽保全、偕楽園焼、長与焼の重要なモデルとなっています。