輪島塗・青貝千鳥波蒔絵銘々皿

<青貝の輝きが美しい螺鈿>

才巻海老が旬を迎えます。才巻海老とは、車海老の小型のもので、味が濃くて天麩羅に最適です。

季節のうつわは「輪島塗・青貝千鳥波蒔絵銘々皿」で、 螺鈿(らでん)が美しく輝きます。使用される貝は、夜光貝、白蝶貝、黒蝶貝、川真珠貝(青貝)、鮑、阿古屋貝(真珠貝)などがあります。輪島の復旧、復興を心より願っています。

猩猩袴(ショウジョウバカマ) ユリ科

<長い葉を袴に見立てた猩々袴>

猩猩袴(ショウジョウバカマ)は、宇奈月の落葉樹林内の湿り気の多い斜面や湿原に生えるユリ科の常緑多年草です。宇奈月の亜高山の湿地帯ではやや小ぶりのものを見ることができます。

花は、花茎の上方に半開で淡紅色の六弁花を複数付けます。葉は倒披針形で根茎上にロゼット状につきます。

猩猩とは頭の毛が赤く猿のような顔をした中国の伝説上の動物です。和名は、赤い花を猩猩に見立て、ロゼット状に広がる長い葉を袴に見立てて付けられました。まさに宇奈月の早春賦です。

染付山水輪花向付

<白海老と湯葉との取り合わせ>

匠膳の強肴は、今が旬の白海老の「東寺巻」です。白海老と湯葉の両方の甘味が絶妙に溶け合います。 白海老は、淡紅色を帯びた透き通るような姿なので、富山湾の宝石と呼ばれています。

季節のうつわは、藍青色の「染付山水輪花向付」です。コバルトブルーの色合いに白海老がよく合います。

深山片喰(ミヤマカタバミ) カタバミ科 

<宇奈月の樹林内で静かに開く深山片喰>

深山片喰(ミヤマカタバミ)は、宇奈月の山地の林内や林縁に群生するカタバミ科の多年草です。

地下茎は太く古い葉柄基部に包まれています。茎は分枝せずに長い花柄の先に白い花を1個つけ、花弁は5枚で、古くから家紋として使われています。陽が当たらないと花は開きません。葉は、混生して長い葉柄があり3出掌状複葉で、小葉は広倒心形です。夜はしぼんでしまいます。

菊咲一華(キクザキイチゲ) キンポウゲ科

<赤みがかった葉で、白花の菊咲一華>

宇奈月の原野の雪が融け始めると、先ず開花するのは菊咲一華(キクザキイチゲ)で、キンポウゲ科の多年草です。宇奈月では白や淡紫色の花が多く、まれに淡紅色も見られます。

暖かくなると花が開き、夜や雨の時は気温が下がるので花を閉じます。上部に三枚の苞葉が輪生し、深く切れ込んだ葉はキンポウゲ科の特徴が出ています。多雪地の山地で普通に見られる可憐な花です。落葉樹林内でもよく見かけます。菊に似た花を一輪つけるところから和名の由来となっています。

鼠志野草紋高台皿

<厚い胎土で大ぶりな器>

早春の山菜の苦みは、揚げることによって和らぎます。タラの芽は甘みが出てきます。天ぷらで春の香りを味わいます。

季節のうつわは「鼠志野草紋高台皿」です。土の柔らかさと優しさが感じられる、厚みのある高台皿で、掻き落とした箇所が白く残っています。

志野は桃山時代に美濃で焼かれた長石釉を掛けた焼き物です。茶陶としての志野は、技法によって無地志野、絵志野、紅志野、赤志野、鼠志野、練上志野に分類されます。

深山黄華鬘(ミヤマキケマン) ケシ科

<林道沿いに咲く深山黄華鬘>

深山黄華鬘(ミヤマキケマン)は、宇奈月の山の林縁や林道沿いに一般的に見られるケシ科の越年草で、アルカロイド類を含む有毒植物です。

茎は株から叢生し、全体無毛で多汁質です。葉は柔らかく2回羽状に細裂します。花は長さ4~10cm程の総状花序にやや密につきます。黄色の花は、横に長い筒形で先が唇状に少し開き、一方向を向き横向きに咲きます。 果実は線形で数珠状にくびれます。

華鬘とは仏殿の内陣を飾る荘厳具です。それを飾るため金箔で装飾された花々が吊るされています。その様相から命名されています。赤紫の紫華鬘(ムラサキケマン)は、時期を遅らせて咲き始めます 。

錦手獅子見込八角中皿

<古伊万里の皿に、蛍烏賊と白海老の造り>

富山湾の春の風物詩は、蛍烏賊と白海老です。桜の花が咲く頃に旬を迎えます。
富山市中心部を流れる松川縁の桜は今が見ごろで、4月の中旬までです。
その後、宇奈月温泉周辺の桜が咲き始めます。

季節のうつわは「錦手獅子見込八角中皿」で古伊万里です。
錦手とは赤、緑、黄、紫、青などの上絵具を施した陶磁器のことです。
五彩、色絵、赤絵などとほぼ同義で、古伊万里などに多く用いられる呼称です。

玄鳥至(つばめきたる)

<清浄明潔、黒部川扇状地から望む白馬連山>

4月4日から二十四節気は「清明」に入ります。清明とは「清浄明潔」の略で「万物発して清浄明潔なればこの芽は何れの草としれる也」と江戸時代に出版された暦の解説書「暦便覧」に記述されています。まさに万物がすがすがしく明るく輝くころとなります。

黒部川扇状地から上流を望むと雪を纏った後ろ立山連峰の峰々が神々しく輝いています。正面奥から白馬岳(2932m)、隣が旭岳(2867m)と清水岳(2603m)と名座が続きます。いよいよ北アルプスを背景に、桜とチューリップが加わる彩り豊かな季節となります。清明ならではの壮大な情景です。

七十二侯は「玄鳥至(つばめきたる)」で二十四節気「清明」の初侯となります。幻鳥とは燕の事で、燕がやって来る頃と言う意味です。冬鳥が北に帰り、入れ替わるように南の国から燕がやってきます。温泉街で観察できるのは小形の岩燕です。岩燕は、尾羽の切り込みが浅く英名が「House Martin」、燕は大型で尾羽の切込みが深く「Barn Swallow」でマーチンとスワロウです。日本には繁殖のために飛来し、宇奈月では温泉街から山地にかけて集団で営巣します。宇奈月温泉が、待ちに待った観光シーズンの到来となります。

赤花唐草蓋向

<水蛸の柔煮>

水蛸が美味しい季節となりました。
柔らかくゆでて季節の野菜と合わせます。
しゃぶしゃぶにしても美味しくいただけます。

季節のうつわは「赤花唐草蓋向」です。
水蛸の白と野菜の緑と黄色が、赤絵によって美しく映えます。