裏白瓔珞(ウラジロヨウラク) ツツジ科

<紅紫色の美しいグラデーション>

裏白瓔珞(ウラジロヨウラク)は、宇奈月の亜高山帯に分布するツツジ科の落葉樹です。黒部峡谷の欅平周辺によく自生します。

樹高は1m内外で、枝は細く輪状に出ます。葉は倒卵形で、枝先に集まって互生します。葉の下面は白色を帯びていることと、枝先に5~10個の筒状鐘形の花冠が、美しい紅紫色のグラデーションになり、ぶら下げっている様が和名の由来となっています。

瓔珞とは寺院内外の飾りや、仏像の飾りに用いる荘厳な輝きの装飾品です。ウラジロヨウラクにも特別な美しさがあります。

大大根草(オオダイコンソウ) バラ科

<雨上がりの大大根草>

大大根草(オオダイコンソウ)は、宇奈月の山の木陰や山道沿いに生えるバラ科の多年草です。

冬期間、根出葉がロゼット状に地表に広がり、大根の葉の形に似るところから和名が来ています。 大根はアブラナ科で、バラ科の大大根草とは種類が違います。

葉は羽状複葉で頂小葉は細長く先は尖っています。 茎はまばらに分岐して枝先に五角錐の蕾を1個つけ、上部から順次黄色に開花します。 5個の萼裂片は花時には反曲し、5枚の花弁はほぼ円形で雌しべ雄しべともに多数あります。

白色花の岡虎の尾や蛍袋と合わせて生けます。

座禅草(ザゼンソウ) サトイモ科

<周りには雪渓が残っている>

座禅草(ザゼンソウ)は、宇奈月の深山の湿地に生えるサトイモ科の大型多年草です。雪渓の消え際で平らな場所でよく見かけます。周りには、まだ雪渓が残っています。

先ず紫黒色の花が開花する際に発熱が起こり、周囲の氷雪を溶かして花序のぞかせます。開花後に葉が成長します。葉は、丸みをおびた心臓型で長さは30から40cmと大型です。葉脈は表でへこみ、裏では出ています。

花は一方が開いた仏像の背景の形をしています。このような形は仏焔苞とよばれ、和名は苞の形を禅僧の座禅に見立てたところからきています。

アメリカでは悪臭がするところからスカンクキャベツの呼び名があります。この悪臭は、蠅等の昆虫をおびき寄せ受粉をさせる手段だと考えられています。花の命名は国によって随分と違うようです。大変興味深い花です。

虫狩(ムシカリ) スイカズラ科

<亀の甲羅に似た葉は、虫食いが多い>

虫狩(ムシカリ)は、宇奈月温泉の落葉樹林内に多く見られるスイカズラ科の落葉低木です。雨上がりの林の中で、清楚な白い花を咲かせます。

葉は大きな円心形で葉脈が深く目立ちます。短枝の枝先に、大きい装飾化のある散房花序をつけます。花序とは花をつける茎の部分の総称や花の並び方をいい、散房とは花序の上の面が平らになったものをいいます。

和名の由来は、虫食いの葉が多いところからきています。葉の形を亀の甲羅に見立て別名、大亀の木(オオカメノキ)とも言います。秋には赤い実をつけ、虫食いの照り葉とあわせてお茶会に使われます。

鬼胡桃(オニグルミ)・雌花  クルミ科

<朱色の雌花>

鬼胡桃(オニグルミ)は、宇奈月の山間部の谷沿いに自生する、クルミ科の落葉高木です。日本列島に広く分布します。

葉は、大型の奇数羽状複葉で、沢胡桃よりも大きく広がっています。花期は5~6月頃で、風媒花で雌雄同株です。雌花は新枝の先に穂状になり雌芯は朱色で二股になっています。雄花は緑色で、前年の枝に房状に垂れ下がります。雨上がりには、胡桃の葉の新緑と雌花の朱色が美しく輝きます。

白雲木(ハクウンボク) エゴノキ科

<雨上がりに、ひときわ白さが眩しい白雲木>

白雲木(ハクウンボク)は、宇奈月の山地に生えるエゴノキ科の落葉高木です。

葉は大きく卵円形で、裏側は密毛があって白く、葉柄の基部は膨らんで冬芽を包んでいます。新枝の先に長い総状花序をつけます。柄のある白色の5深裂した筒状の花を多数垂下します。

満開の白い花を白雲に見立てたことが、和名の由来となっています。

空木(ウツギ) ユキノシタ科

<夏の訪れを知らせる卯の花>

 空木(ウツギ)は、宇奈月の山道の斜面でよくみられるユキノシタ科の落葉低木です。

葉は対生で楕円形になり、先は長くとがり縁には微細な鋸歯があります。 花は、短い枝の先端に円錐花序を付け開花します。 花序は、白色の花弁を5個持ち長楕円形です。 文部省唱歌「夏はきぬ」で歌われている卯の花です。

枝の中に幾分か空洞があるので空木と名付けられました。空木(ウツギ)は 姫空木(ヒメウツギ)よりやや大形で、葉や若枝に星状毛があり、ざらつきがあります。姫空木(ヒメウツギ)は、葉が薄く滑らかです。 よく似ているので見分けが難しいです。

鳴子百合(ナルコユリ) ユリ科

<鳥が羽ばたくような形です>

鳴子百合(ナルコユリ)は、宇奈月の山地の林内に自生するユリ科の多年草です。茎は、円形柱で上部は弓状に曲がり、稜角がなく滑らかなところがアマドコロとの相違点でもあります。

葉は披針形で互生し、主脈、側脈がはっきりしています。花は葉腋に散房状に下垂させ、花筒は緑白色です。和名は、花の垂れ下がった様を鳴子に見立てたことによります。根茎を乾燥させたものが生薬の黄精で、滋養強壮の効果があります。


深山莢蒾(ミヤマガマズミ) スイカズラ科

<全部が開花すると雪が積もったようになる>

深山莢蒾(ミヤマガマズミ)は、宇奈月の山地の樹林内や林縁に自生するスイカズラ科の落葉低木で高さは、2~4mになります。

幹は叢生して、まばらに分岐し若枝、葉の裏面、花序に星状毛が見られます。葉は単葉で対生し、葉身は倒卵状円形で托葉はありません。葉の表面は緑色で無毛で裏面は淡緑色です。花は新枝に散房花序を出し、多数の小白花を開かせます。

ガマズミは古くは万葉集に詠われています。「真鳥住む卯名手の神社の菅の根を衣に書きつけ服せむ児もがも」と、菅の根はミヤマガマズミのことで、赤く熟した果実を衣類の摺り染めに用いたようです。果実酒としても使われています。

白花空木(シロバナウツギ) ユキノシタ科

<まれに白花のタニウツギがある>

白花空木(シロバナウツギ)は宇奈月の山道の則面に生えているのが、まれに見られるユキノシタ科の落葉低木です。

葉は、谷空木と同様、対生で楕円形になり、先は長くとがり縁には微細な鋸歯があります。 花は、新枝の先端や葉腋に散房花序を出し、2から3個の花をつけます。 花冠は白色で筒状鐘形で上部が次第に膨らんで先は5裂しています。枝の中に幾分か空洞があり、白色なので和名の由来となっています。

原種は北海道や日本海側に多く見られます。そのほか宇奈月には沢山のウツギの種類が見られます。