夏海老根(ナツエビネ) ラン科

<樹林内に開く妖精>

夏海老根(ナツエビネ)は、宇奈月の渓谷や沢の周辺などやや湿った落葉樹林内に自生するラン科の多年草です。

ラン科の植物の地上茎の一部が肥大化し貯蔵器官となったものを偽球茎といいます。園芸分野でいうバルブのことです。夏海老根は、この偽球茎は球形になります。葉は、3~5枚が束生し、長さ10~20cmの広披針形で、表面は縦じわが多く先端は鋭尖頭です。

花茎は長さ20~40cmで、1、2個の苞葉があります。花径の上部に総状花序が付き、10~20個の花がまばらに並び、下方から開花していきます。苞は長さ1、2cmの披針形で、萼片は長さ5~20mmです。上部に位置する背萼片は狭卵形、中心の側萼片は斜卵形で、ともに先端はとがり反曲します。その下の側花弁は萼片よりやや短い線形で、先端はとがります。唇弁は心状広卵形で、萼片と同長で3深裂し、中裂片の縁は細波状に縮れ、先端は突出します。

和名は、夏に開花する海老根であることに由来します。