沢鵯(サワヒヨドリ)は、宇奈月の日当たりのよい湿地に生える、キク科の多年草です。
茎は直立して分岐せず高さは50cm前後で、鵯花よりやや小型で、上部に縮れ毛が多く、あまり分岐しません。葉対生して鋸歯があり普通披針形で無柄です。茎の先端に散房状に多数の小花を付けます。1頭花あたり5小花があり、花冠は5裂して白色で淡紅紫色を帯びます。
深山髪剃菜(ミヤマコウゾリナ) キク科
深山髪剃菜(ミヤマコウゾリナ)は、宇奈月の亜高山帯の礫地に生えるキク科の多年草です。僧ヶ岳登山道沿いの日当たりのいい斜面で見かけることもあります。
根出葉はロゼットをつくって地表に広がります。開花時期は8月から10月で、分岐した枝の先に黄色の舌状花ばかりからなる頭花をつけます。
和名は、全体に粗毛に覆われて触るとざらつき、この硬い毛を髪剃りにたとえ、高山で見られることに由来します。
岩弟切(イワオトギリ) オトギリソウ科
岩弟切(イワオトギリ)は、宇奈月の高山の草地や礫地に生える、オトギリソウ科の多年草です。弟切草の高山型で日本固有種です。
葉は、長さ4cmの楕円形で対生し、一段毎に向きが違います。茎頂に1~3個の黄色の5弁花をつけます。花茎は2cm位でオトギリソウ科の特徴でもある、長いおしべが目立ちます。
和名は、岩場に咲く弟切草であることに由来します。
大花独活(オオハナウド) セリ科
大花独活(オオハナウド)は、宇奈月の山地の湿った斜面に咲くセリ科の多年草です。
開花時期がハナウドよりも遅く、高地に咲きます。 下界では猛暑が続く8月、冷たい雪解け水が流れている涼しい沢沿いでよく見かけます。 白い花は、5弁花で外側の花弁だけが細長くて大きいので、蝶が羽を広げているかのようです。 オオハナウドは山菜として人気の高い独活(ウド)の仲間です。
この他にもハナウド、シシウド、ホソバシシウドやヤマゼリなど多くのセリ科の植物が分布します。
輪島塗・盛器黒へぎ目 秋草絵杉蓋
二十四節気の「処暑」に入ると、宇奈月の山々では、秋の気配が漂うようになりました。長月の前菜は、富山の山海の珍味です。宇奈月の山野では、秋の野草が開花し始めました。
季節の器は、「輪島塗・盛器黒へぎ目 秋草絵杉蓋」です。秋の彩りが美しい盛器です。
信濃撫子(シナノナデシコ) ナデシコ科
信濃撫子(シナノナデシコ)は、宇奈月の高山の礫地に生育するナデシコ科の多年草です。
葉は線状倒披針形で先端は尖るかまたは鈍頭です。基部は細くなって葉柄につらなりますが葉柄は短く、各節に対生して付きます。頂部で茎が分岐して、各分枝に集散花序が付き、紫紅色の小花が開花します。
和名は、北アルプスの長野県側に多く見られることに由来します。
綿柎開(わたのはなしべひらく)
8月22日から二十四節気は「処暑」となります。処とは止まるという意味で、夏の暑さが収まるとされていますが、今年はしばらく猛暑が続きそうです。朝は、冷を含んだ川風が吹き間近の秋が感じられます。
七十二侯は「綿柎開(わたのはなしべひらく)」で二十四節気「処暑」の初侯となります。柎(はなしべ)とは、萼(がく)のことです。「綿柎開」は、綿の実を包んでいた萼が開き始め、中から綿毛が出てくる頃という意味です。
綿は、熱帯や亜熱帯に分布する繊維植物でアオイ科の多年草です。同じ科の木槿や芙蓉と同様夏の花です。寒さに弱いため日本で栽培されているのは、インド綿の変種で1年草です。茎の長さが1m前後になり、秋に結実した果実は卵形で褐色に熟すと割れて、中から種を包んだ白い綿花があらわれます。この綿毛を紡いで綿糸にします。
黒部の山々は、厚みのある夏雲から白い巻雲に変わろうとしています。行き合いの空は秋の訪れを感じさせます。そんな景色を望める露天風呂付きの客室があります。眺望絶佳で、眼下には岩を食む黒部川の激流を眺め、眼前には黒部の峰々を望むことができます。峡谷に轟く川の音を聞きながら湯船に浸かります。時折、爽やかな川風が頬に感じられ、至福の時が味わえます。
深山大文字草(ミヤマダイモンジソウ) ユキノシタ科
深山大文字草(ミヤマダイモンジソウ)は、宇奈月の亜高山の湿った草地や岩場に生えるユキノシタ科の多年草で、大文字草の高山型変種です。
花径は、大文字草より小さく、葉はすべて根生し長い柄があります。葉は腎円形で長さは10cm前後で縁は掌状に中裂します。茎は分岐せずに集散花序に白色の花をつけます。花弁は上側の3弁は長く下側の2弁が長くなります。
和名の由来は、花が「大」の字に似ることからきています。
岩菖蒲(イワショウブ) ユリ科
岩菖蒲(イワショウブ)は、宇奈月の亜高山の湿地に自生するユリ科の多年草です。
根茎は短くて、剣形の葉は、茎の下部から直立して出て、先は尖っています。細い茎の総状花序に白色の花をつけます。花被片は6個あり、長楕円形です。蕾の時に、紅紫色になることがあります。
和名は、葉の形が菖蒲に似ていることに由来します。
草紫陽花(クサアジサイ)ユキノシタ科
草紫陽花(クサアジサイ)は、宇奈月のやや湿った林内や山道沿いに生えるユキシタ科の多年草です。
地下茎は木質化して硬く、茎はその先から毎年出て直立し、冬には地上部は枯れます。 葉は互生し、長楕円形で縁には鋸歯があります。
茎頂に集散状の花序をつけ白色または淡紅紫色の小さな両性花の集団をつけます。 花序の周りには花弁状のガク片が3個ある装飾花をつけます。