麝香草(ジャコウソウ) シソ科

<長い唇形の花冠が特徴の麝香草>

麝香草(ジャコウソウ)は、宇奈月の山の谷間の木陰に生えるシソ科の多年草です。

茎は、シソ科特有の方形で高さ60~100cmぐらいになり、ほとんど分岐することなく、多くは斜めに生えます。葉は対生し、短い葉柄があり、葉身は長楕円形で先が長く鋭く尖っています。縁は上部の部分で鋸歯があり、基部はやや細くなって鋸歯がなく耳状心形になっています。

花は、上部の葉腋にでる短い柄の先に3、4個ずつ付け一方向に向いて開きます。花冠は淡紅色で、筒部は長い唇形で上唇は短く、下唇が3裂し中央部の裂片は長くなっています。全草に芳香があることが和名の由来となっています。 伊吹麝香草も同じ仲間です。

吐切豆(トキリマメ) マメ科

<大きな3枚の葉が特徴です>

吐切豆(トキリマメ)は、宇奈月の山野に生える蔓草で、他の植物の枝や茎に絡みつくマメ科の多年草です。

茎は細い針金状で、長く伸びます。葉は互生し、長い葉柄の先に3出複葉をつけ、小葉は長卵形で短い柄があります。花は、黄色で葉腋から短い総状花序を出して、花冠は蝶の形をした数個の蝶形花をつけます。

萼は、筒状で5裂し、旗弁は幅広く、龍骨弁は細長くなっています。龍骨弁とはマメ科の植物特有の蝶形花の下方の二花弁のことで、左右から接して雄蕊と雌蕊を包みます。

宇奈月温泉木管事件記念碑

(係争の地は、宇奈月ダムによって水没しました)

【宇奈月温泉木管事件碑の碑文】
宇奈月温泉木管事件は、戦前の大審院(最高裁判所に相当)が、初めて「権利の濫用」という文言を判決文の中で使い、所有権の濫用になる請求を許さなかった民事裁判事件として有名です。

大正6年(1917)黒薙川上流から宇奈月温泉まで引湯木管や木樋が施設された時、個人所有地のわずか6平方メートルほどの部分につき承諾を得ていませんでした。この土地と隣接地の買主が、土地所有権の妨害を強調して時価数十倍の高値での全部買収を要求し、これを拒否されたため引湯木管撤去と立ち入り禁止を求めて提訴したが、第一審・第二審ともに敗訴しました。大審院も買主の請求を認めませんせした。

この宇奈月温泉木管事件の大審院昭和10年10月5日判決の後、「権利の濫用の禁止」の同旨判決が続き、この法原則は、判例法として確立し、昭和22年の改正民法において第1条3項「権利ノ濫用ハ之ヲユルサス」と成文法化され、すべての私権に適用される重要なものになっています。
宇奈月温泉木管事件は、このような歴史的意義を持つため、きわめて多くの法律書や論文等に引用されている。事件の跡地があることを示すため、ここにこの碑を建立しました。
<高岡法科大学学長 吉原節夫>

現地は宇奈月ダムのとちの森トンネルを抜けた先にあり、ダム湖に面しているので眺めのいいところです。
温泉街から車で10分、徒歩で、やまびこ遊歩道を使って片道約1時間の道のりです。

赤七宝切込皿

<のど黒の塩焼き>

秋の気配が感じられるようになると、のど黒は旨味のある脂がのって美味しくなります。地元の生地漁港や魚津漁港には形のいい大物が並びます。のど黒のしゃぶしゃぶも絶品ですが、塩焼きは外せません。角のないまろやかな塩味で、料理に深みが増す岩塩を添えて味わってください。

季節のうつわは「赤七宝切込皿」で、朱色で七宝を図案化しています。
縁起のいい吉相文で、朱の濃淡が美しい一皿です。

唐糸草(カライトソウ) バラ科

<高山帯に咲く紅色の唐糸草>

唐糸草(カライトクサ)は、宇奈月の高山帯に生える、バラ科の多年草です。茎の高さは、40~80cmで直立して、上部で分岐し、葉はまばらに付きます。

根出葉の小葉は9~13個で、下面は少し白色を帯び鋸歯があります。茎葉は小形で毛があります。枝先に大形の紅紫色の穂状花序をつけて垂れ下がる。花弁がなく長い糸状の花糸は紅紫色で美しい。

唐糸は絹糸のことで、長く伸びた花糸が絹糸のように美しいので、名前の由来となりました。

鶺鴒鳴(せきれいなく)

<旧山彦鉄橋:鶺鴒を観察できるは水辺の小径>

9月12日から七十二侯は「鶺鴒鳴(せきれいなく)」で、二十四節気の「白露」の次侯となります。季節は中秋で、鶺鴒が鳴き始める頃という意味です。ちなみに、秋を三つに分けると初秋は、二十四節気の立秋と処暑の期間、仲秋は白露と秋分の期間、晩秋は寒露と霜降の期間となります。

鶺鴒(せきれい)は、温泉街周辺で春から秋にかけて観察することができます。川沿いの小径や山道でチチッチチッと高い鳴き声を発して、長い尾をしきりに上下に振りながらまるで道案内をしてくれるかのように小走りに動きます。黒部の渓流沿いや宇奈月谷などの水辺に棲んでいます。 やまびこ鉄橋(黒部橋)の下でよく見ることができます。この鉄橋は現在線路をはずして「やまびこ遊歩道」の一部として使われています。大正13年に山田胖によって架けられた、わが国で最も古いスパンドレル・ブレストアーチ橋です。有形登録文化財となっています。

鶺鴒は、古くは日本神話の国産みの神聖な鳥として日本書紀に登場します。白い鶺鴒の季語は秋で、我が国では白というと雪を連想しますが、中国では五行思想により、白は秋の色とされています。

五行思想では四季の変化は、五行の推移によって起こると考えられ、方角や色などあらゆるものに五行が割り当てられます。春は青、夏は赤(朱)、秋は白、冬は黒(玄)。四季に対応する色と時を合わせてできた言葉が、青春、朱夏、白秋、玄冬などがあります。
北原白秋の雅号はこれにちなんでいます。

横笛型、兎丸型・珍味入れ

<秋の旬彩>

 秋の酒菜を彩りよく竹籠に盛り込みました。黒部の山の珍味と富山湾の海の珍味を取り揃えました。

秋の酒といえば「ひやおろし」です。黒部峡のひやおろしがおすすめです。新酒に火入れをして、ひと夏蔵の中で寝かすとコクのある味わいになります。ぬる燗でゆっくりと味わって下さい。

季節のうつわは 「横笛型珍味入」と「兎丸型珍味入」です。
すざく虫の音を聞きながら、月の明かりが清かな秋の夜長をお楽しみください。

秋の麒麟草(アキノキリンソウ) キク科

<秋の野草では美しく黄金色になる>

秋の麒麟草(アキノキリンソウ)は、宇奈月の登山道沿いに群生する、キク科の多年草です。低山地から亜高山へと開花が移り、標高が高くなるに従って小形化してきます。

茎の高さは、40~80cmで直立し、細くて強いです。葉は披針形で互生します。茎頂に散房又は総状に、多数の黄色の頭花を付けます。総苞は筒状で総苞片は4列です。和名の由来は、秋に咲く麒麟草のようであるところからきています。

金彩乱菊蓋向

<菊の花弁は金彩一色>

和食は世界文化遺産に登録されてから、海外のお客様から注目を集めています。料理に使われる食材や器に対する期待も、年々高まります。器も、染付を中心に磁彩、陶彩、赤絵などが人気があります。とりわけ金彩は人気が高いです。

季節のうつわは「金彩乱菊蓋向」で、菊の花びらを金彩で施してあり、とても華やかな器です。菊を食す重陽の節句に相応しい器です。

立薊(タチアザミ) キク科

<大形のアザミ>

立薊(タチアザミ)は、宇奈月の日当たりのよい林縁に生える、キク科の多年草です。北海道や本州の日本海側に広く分布します。

茎の高さは、1~2mになる大形の薊です。茎葉は長楕円形で、基部は半ば茎を抱いて互生しています。

茎の上部で、分岐した枝先に淡紅紫色の頭花を上向きに1~3個開きます。頭状花序は筒状花のみで構成されています。