10月8日から二十四節気は「寒露」となります。夜空に輝く星が冴える頃、秋が徐々に深まり夜は肌寒く、朝夕の露が一層冷たく感じられるようになります。七十二侯は「鴻雁来(こうがんきたる)」で、雁が北から渡ってくる頃という意味です。
これに対して半年前の七十二侯は「鴻雁北(こうがんかえる)」、雁が北に帰る頃で今年は4月10日でした。このように七十二侯は、季節の変わり目を気象変化や動物の行動変化で捉え、漢字3文字ないし4文字で表します。日本人の豊かな感性が育んだ暦といえます。
黒部川は、流れる水の透明度を増しながらサケの遡上を待っています。川沿いに設けられたやまびこ遊歩道には冷たい露に覆われた野菊が花を開き、紫式部の小さな実も色づき始めます。支流の弥太蔵谷に白鷺が現れるようになると、いよいよサクラマスの遡上が間近です。黒部峡谷も山粧う季節の到来となります。